2話 この思い(重い……)
廊下を歩くボク。
その胸には、お父様からいただいたクラリネット。
このクラリネットの歴史は古く、先祖代々受け継がれてきたオンボロで上手く吹かないと出ない音だらけの気分屋だ。
こんなクラリネットを学校に持って行くのは恥ずかしいけれど……。
今、学園の吹奏楽部は1度廃部になり再結成されたばかりという事もあり、楽器が殆ど無く、生徒の持ち込みに頼っているのが現状らしい。
歴史と風格はあるが金は無い。それが導勇学園。
学園の規模はそんなに大きくはない。むしろ小さい。
ならば新しいクラリネットを自分で買って持ち込めば!! とも思うけれど。
このクラリネットを受け継ぐというのも、理事長でもあるお祖父様の言い付けなので仕方がない…。
他の楽器を使っていればすぐにお祖父様の耳に入るだろう。
そんな訳でオンボロを持って、吹奏楽部の部室にやってきた。
ガラガラ…
「失礼します」
ガタッ!!
「確保っ」
は?
あれよあれよという間に部屋に居た3人の部員と思われる生徒に取り押さえられる。
素早い動きだったのに、持っていたクラリネットはいつの間にか取り上げられていて、そっとクッションの上に置かれてれいた。
オンボロだから丁寧に扱ってくれて助かります。
いやいやいやいや!!
楽器は丁寧に扱って、ボクは床に貼り付けって酷くない!?
特に上に乗ってるの女生徒が重…… ぐぇ!
心を読まれた?
急に圧迫が増した気がする。
「ようこそ!! 導勇学園吹奏楽部へ!! 」
部長かな?
1人だけボクを押さえつけてない生徒が、にこやかにそう告げた。
この吹奏楽部に入って『友達たくさん計画』は大丈夫かな?
心配になってきた。