プロローグ
初連載となります。
今、あたしはすごーく困惑している。まさに、こんらんしてうごけない、だ。
うん。まずは状況整理をしよう。気分はちょっとした探偵気分さ。
ええと、まずあたし、望月梨花、十六歳、高校一年生。誕生日は四月十四日。とっくの昔に過ぎてます。
この時期ってさあ、クラス替えのすぐ後で仲良くなる前じゃん。すると誕プレもらえないんだよねえ。しばらく経ってから誰かが、誕生日いつ〜?って訊いてきてみんなが自分の誕生日言ってる中で、ごめん過ぎてる、って言わなきゃいけないこの気持ち分かるか?大体微妙な空気になるし、結果、人に誕プレあげても自分は貰えないし。かといって自分から誕生日言うのはせがんでるみたいで嫌だし。まあ貰えないのは長期休暇に被ってる面々もだけど。
はあ。……え?脱線しすぎ?いいじゃない愚痴くらい。
……一人ボケツッコミって虚しいね。
仕方ない状況整理に戻ろう。ええと確か夏休みだった。うん、次。文月か葉月か、そこが問題だ。……ごめんなさい、ちょっとカッコつけたかっただけです。
……ってあれ?真面目にどっちだ?確か8月2日が幼馴染の誕生日。あのクラスメイトに祝って貰えないっていう。で、あたしはその可哀想な幼馴染と祝いもかねて遊びに行くのが恒例のイベントになっている。
そのイベント、ちゃんとやったっけ?
確か今年は高校生初の夏休みだってのでちょっと遠出しようってなったんだ。夜行で大阪に行ってあのテーマパークで遊んで一泊し、次の日大阪観光をして新幹線で帰るって予定を立てた。行きと帰りで乗り物変えたかったんだ。
うんうん、よかったよかった。だんだん思い出してきた。あいつ乗り物酔いしやすいのに絶叫系乗って気持ち悪くなってたわ。見栄を張るから。カッコつけたいってのは分かるけどさ。まあ人様に迷惑をかけるようなことはありませんでしたよ。
二日目はかの有名な道頓堀に行って、あの夜に輝く走る人を見てきた。中国人っぽい人が日本人よりも多くってびっくりしたんだったっけ。
ということは、八月にはなっていた。
始業式をまだやっていないから九月ではない。あ、今年は九月一日は火曜日なのでその日に始業式をやることからわかるんです。
あとは八月何日か。うちはお盆に——お正月もだけど——お祖母ちゃん家に親戚一同集まるのが暗黙の了解になってる。それも行って……帰ってきた、な。
それから、どこか覚えていそうな予定予定っと。って……あ!
そうだ。あの日、だ。あの日あいつと大型ショッピングモールに行って、いつものごとく別れたんだ。
別れて直ぐだった。避けろ危ない、っと叫び声が聞こえて振り返ると。
乗用車がこっちに向かってきていた……。
避ける暇なんかなかった。気付いた時にはもう遅かったんだ。
最期に見たのは、こっちに凄い勢いで向かってくる車とその向こうの驚愕の表情を浮かべたあいつだった。
つんざくような悲鳴が耳の奥で響いた気がした。