行こうか相棒
今回も森視点です。
たまにはこういう熱い展開もいいですよね?
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ、ど、どこだ江國さん」
俺は走って大学に着いた。
そして平塚に聞いた偽の俺が送ったとされている
メッセージの場所に向かった。
しかしそこには何も残っていなかった。
「くそッ‼︎いねぇ‼︎どこに行ったんだよ‼︎」
俺は焦っていた。
ーー俺があんな茶番をしなければ
ーー俺が服をさっさと選んでおけば
ーー俺が早く彼女に告白をしておけば
そんな後悔が俺を責め立てる。
「まずは探してみるか・・・行くぞ俺‼︎」
それからというもの、大学の敷地内を走り回り
探したのだが一向に江國さんは見つからない。
途中、織田が合流して一緒に探しているのだが
全く手がかりすら発見出来ない。
「くそッ、遅かったか・・・なると既に外に出たか」
「おいおい外って言ったらほぼ無限じゃないか」
「凛子さんがいくら女子であっても1人の人間だ。
人、1人隠すって結構労力とかが必要だし
何せ隠す場所が限られる・・・なると外にもう出たか」
「俺は何してんだよ・・・‼︎」
「森・・・?」
改めて自分の無力さを感じた。
今までも国木田先輩と色んな事に関係してきた。
織田と与謝野が付き合った時も
平塚の時も
全部、国木田先輩がカッコよく解決してきた。
その時俺は何をしていた?
「あん時も俺は後ろで見ていただけじゃないか‼︎
ちくしょう‼︎」
「森、落ち着けって‼︎お前まで冷静で無くなったら
見つからなくなるぞ‼︎」
織田が必死になだめているものも俺の耳には入らない。
「結局は俺はあの先輩がいないとダメなのか・・・」
この状況でも国木田先輩ならカッコよく解決して
そして彼女ーー江國さんに告白をビシッと
決める事が出来るんだろうな・・・
それに比べて俺は何だ?
重度のコミュ症と人見知りでまず人と話せない。
かと言って、作戦とか裏方が得意な訳ではない。
いつも部活とかで問題が起きた時は国木田先輩の
後ろにいるだけだった。
(ハハ・・・俺って何もしてないじゃん・・・)
そう思うと身体から力が抜けていく。
「おい、森しっかりしろ‼︎」
「わりぃ、身体に力が入らない・・・
笑いたきゃ笑えよ」
と言うと織田は俺の服の胸ぐらを強く掴んだ。
「そんな事言ってる暇があるなら探せよ‼︎
お前は凛子さんが好きなんだろ⁉︎
じゃあ探して告白しなきゃダメなんじゃないのか⁉︎」
織田の言葉から織田の真っ直ぐな気持ちが伝わる。
・・・何故言われたまんまが癪に触った。
「じゃあどこを探せばいいんだよ⁉︎
今大学にいないって事は郊外だろ?
そんなん広すぎるだろ‼︎」
「んなんでも探すんだろ‼︎」
「俺は国木田先輩みたいに頭良くねぇんだよ‼︎
あの人みたいにポンポン、作戦思いつかねぇんだよ‼︎」
ーーあの人は凄かった
ーー俺が思いつかない事もさっとやってのけた
ーーいつもならあの人がいる
ーーだが今はいない
「今、国木田先輩はいないだろ‼︎
それでも俺達は探さなきゃいけない‼︎」
「俺達でも国木田先輩には半分も足りてねぇよ‼︎」
「ーーいや、それ普通足りてると思うけどね?」
「「えっ」」
後ろから聞き覚えのある声がして後ろを振り向くと
そこには・・・
「僕はそこまで崇められる様な人物じゃないし
更に付け足すと頭も良くないぞ?」
俺が尊敬して、今1番頼りになる人
「「国木田先輩⁉︎」」
「叫ぶなうるさい・・・僕は別の用事で徹夜なんだから
声が頭に響く・・・」
いつものテンションで、いつものノリで
彼ーー国木田拓海先輩がそこにいた。
「く、く、国木田先輩⁉︎今までどちらに⁉︎」
「そ、そ、そ、そうですよ‼︎」
「ちょっと別件でね。
ーーとりあえず森、織田、行くよ?」
「いや、どこにですか?」
「そんなの凛子さんを取り返しに行くに
決まってるでしょ?それ以外にどこに行くんだい?」
「先輩は場所知ってるんですか⁉︎」
「まぁ、さっきまでじんも
ーー人に聞いていたからね?」
「いやいや今尋問って言いかけましたよね⁉︎
何しているんですか⁉︎」
俺はたまにこの先輩に恐怖を感じる。
・・・いつもは尊敬しているんだけど。
「とりあえず森」
「な、何ですか?」
「僕は君が思っている程凄い先輩じゃない。
どっちかと言うとあまり凄くない先輩だからね」
「でも、俺から見れば・・・」
と俺が言うと先輩は微笑みながら
「それでも僕が自信ありげに色々と出来るのは
森、君のおかげだよ?」
「俺のおかげ?」
この先輩は何を言っているんだろう?
俺のおかげだって・・・?
「そう、僕は君が背中にいるから安心して
色々と行えるんだ。だから自信持ってよ、ね?」
「でも・・・」
「大丈夫さ、森は君自身が思っているよりも
すげぇ人物さ。君が尊敬する僕がそう言うんだ
心配すんなって」
「先輩・・・」
この先輩はたまにこういう真っ直ぐなところがある。
そしてその感情を普通に口に出してしまう。
(多分、俺はこの先輩には敵わないな・・・)
全く・・・この先輩はカッコいいよ。
「森行けるか?」
「・・・行けます‼︎どこにでも行けます‼︎」
「ん、いつもの顔に戻った様だね。
ーーそんじゃあ行こうか相棒」
「へっ、今なんて・・・」
今俺の事、相棒って言ったよな・・・?
「だから行くよ、僕の相棒」
どうやら聞き間違いでは無いようだ。
「お、俺が先輩の相棒ですか?」
「・・・普通、僕の面倒事に巻き込まれてほぼ皆勤賞
の奴が何を今更・・・僕の相棒は君ぐらいしか
出来ないでしょ?」
「そ、そうですか・・・
分かりました‼︎先輩の相棒として頑張ってみます‼︎」
「そう、その意気だよ。
じゃあ森、織田、さっさと取り返しに行こうか‼︎」
「「はい‼︎」」
と俺らは目的地に向かった。
(待っててくれ・・・江國さん‼︎)
ショートストーリー〜とある少女の思い〜
「ここはどこなの・・・」
私が目を覚ました場所は知らない場所だった。
「やっと目を覚ましたね・・・俺のお姫様」
目の前には明らかに変な男性がいた。
私は普段泣かないが今日は涙が溢れた。
「助けて・・・森先輩・・・‼︎」





