後輩と喧嘩?
結局その日の授業は身に入らず
帰っても平塚さんを見ることはなかった。
自分でも何故自分がこんなにモヤモヤしているのか分からず
珍しくその日の夕食に何を作ったのか覚えていなかった。
次の日
ピンポーン
「はい?」
ガチャ
「おはよう〜ございます〜〜!! 朝です!!
平塚です〜〜!!」
「おやすみ」
パタン
僕はそのままドアを閉めた。
……2日連続深夜に電話は辛いから眠い。
「ちょっと、目の前にこんな美少女がいるのに自分の性欲より睡眠欲ですか!?」
……女子がなんてこというんだい
「僕は眠いんだ……まだ7時だよ。
あと1時間は寝ていられる」
「じゃあ早く起きてください!!
そして朝ごはん一緒に食べましょうよ〜〜」
「……ちなみに寝たら?」
「先輩が勝手に女子の部屋に……」
「わかった。着替えるから出てくれ」
「分かりました」
と僕の家に入り込んでくる。
「君は僕の話を聞いていたのかい?」
「ええ、聞きました。ので玄関から出ました」
「……確かに玄関のエリアから出たかもしれない。
ただ家に上がっていいとは誰も許可を出してないが」
「上がるなとも言われてませんよ?」
(屁理屈得意だな〜〜)
「分かった。着替えるから勝手にして」
と僕が脱ぎだすと平塚さんは慌てだした。
「えっ!? ほ、本当に着替えるんですか!?」
「そりゃ、スエットのまま大学に行けないでしょ」
「女子いますよ?」
「知らんがな」
「わ、私出ます!!」
と家から平塚さんは出ていった。
「流石にやりすぎたかな?」
着替えた後、罪悪感と少しの彼女を言いまかした幸福感という相反する感情を抱きながら
彼女の家に向かいチャイムを鳴らした。
「平塚さん、国木田です」
「どうしましたか変態の先輩?」
と先ほどのテンションはどこに言ったのか暗い口調だった。
「いやいや待って。誰が変態なのさ」
「今私の家の前に立っている先輩です」
「……酷くないかい?」
「女子がいる前で、着替えるなんて
そっちの方が酷くないですか?」
(これ話長くなる予感するな……こういう時は!!)
「平塚さん!!」
「……何ですか、変態の先輩?」
「すまなかった!!デリカシーなさすぎた!!」
……とりあえず謝ることにした。
親から
「あなたは無自覚に女性を怒らす癖があるから
女性が怒ったら、拓海からあやまりなさい。
たとえ自分が悪くなくてもね、貴方から謝ること」
と言われていた。
そのため今回は謝ることにした。
「……先輩、本当に悪いって思ってますか?」
ギクッ!!
「流石に女性の前で着替えるなんて僕がどうかしていた。
すまんかった!!」
「……分かりました。なら2つお願いをしても
いいですか?」
(よし、何とか怒りは収まったみたいだ)
「空を飛べとか僕に出来ない事以外なら大丈夫」
「まず1個目ですが、朝ごはんをこれから毎日一緒に
食べてください」
「ん?それぐらいなら僕からお願いしたいぐらいだよ?」
「本当ですか!?」
と声のトーンが随分明るくなった。
「ここで嘘をついても意味ないでしょ。
そして平塚さんぐらい可愛い子と一緒に朝ごはんだよ?
テンション上がるって」
(そりゃ1人で食べるよりも2人以上で食べた方が
楽しいしね)
「……ありがとうございます。そしてもう1つですが
来週からゴールデンウィークじゃないですか?」
「言われてみればそうだね」
「ちなみに先輩のゴールデンウィークの予定は?」
「後輩の面倒を見るのと森と遊ぶぐらいじゃないか」
「……出来れば先輩に都内を案内してもらいたいのですが?」
「僕でよければいいよ」
(丁度、上野で恐竜展やってるし)
「やった〜〜やりましたよ与謝野先輩!!」
「与謝野さんがどうした?」
「な、何でもないですよ⁉︎とりあえず朝の事は許しますから
朝ごはんにしませんか?」
「そうだね。僕の家で今から作るからどうだい?」
と聞いたら、ドアが開き平塚さんが出てきた。そして
「はい!!」
僕自身でもありきたりな表現だとだと思うが、そこには太陽のような笑顔があった。
(さて、今日も2人分の朝ごはん作りますか!!)
と自分でもよくわからないが妙にウキウキした気持ちで朝ごはんを作るのであった。
その日の部活
「って事が朝あったんだよ」
「先輩、それは俺に対する当てつけですか?」
「どうした森、全く朝から喧嘩は辛いよ〜〜」
「先輩、それは喧嘩じゃないです。それは世間では
痴話喧嘩っていうやつですよ!?」
「そうか?」
「自覚ないんかい〜〜!?」
人物紹介
国木田拓海
……趣味はゲーム、読書。よく大学の学生証を使い
博物館に行くこともある。
森結城
……趣味はゲーム、アニメ、サバゲー。
国木田とはお互いの家でアニメ鑑賞会をしている。





