社畜さんの休日
社畜さんの休日
ようやく訪れた伸司にとっての久々の休日。
これと言った趣味もない伸司は、何もすることないなと散歩を兼ね、なぜか足はスーパー鳩山へ向かっていた。
並ぶ野菜、見慣れた景色、気付くパートのおばさま方。このスーパーにおいて勤続六年であっても伸司は一番の新米であり、そして働いているおばさま方に可愛がられる存在であった。
「今日休みでしょ、どうしたの伸ちゃん?」
「ちょうどよかった、これ重いのよ。手伝ってくれる?」
「これ重くないけど手伝ってくれる、伸君?フフッ。」
長いパート歴を持つおばさま方に翻弄されながらも、喜々として手伝いを始める伸司。一応休みということもあり、気を抜きながらの手伝いではあったが、それでもたっぷり2時間の手伝いを終える。
そしてようやく帰ろうとした時、夕方のシフトに入っている山中さんが子供が風疹で来れないとの一報がスーパーに入ってきていた。
薄くなった髪を申し訳なさそうに擦りながら、鳩山店長が伸司に告げる。
「悪いけど伸司、頼めるか?」
「いいですよ店長、どうせ帰ってもする事もないですし。」
安堵の表情を浮かべる鳩山店長に、伸司はあっさりなんでもないといった風に答えていた。
休みは休みではなくなり、こういった休日も悪くないかとエプロンを身に着け普通にシフトに入る。
身も心もそれなりに頑丈であった伸司は、仕事まみれな日常でもそれなりの成果を出していく。
それでも少しづつバランスは崩れ、最初にオーバーヒートを起こしたのは心の方であった。
なかなかVRには辿り着きません。
とりあえずしばしお時間を。