社畜さんは微睡む
とりあえずボチボチとありふれたテーマでの新しいお話です。
社畜さんは微睡む
柔らかに差し込む光、全身を心地よく包む爽やかな風、そして頬に感じる肉感的と言うよりは筋肉質で赤銅色の太ももを枕に、米谷 伸司は質素な衣装を身に纏いながら微睡んでいた。
そして優しく太ももに乗せ、耳に掛かるほどの伸司の黒髪を撫でるのは、赤銅色の全身に虎の腰巻きだけを身に着けている、それはまさに鬼そのものであった。サイズ的にはそう人と変わらない鬼は、なぜか聖母の微笑みを厳しい鬼の顔面に浮かべながら、小さな島にある草原の樹の下で膝枕をしている。
髪を撫でる手の皮膚は硬く頑強さを感じさせるが、それでも心地よいものは心地よく、伸司は一人微睡みの中で自らの状況を考えるが、考えても意味がない事に気付き鬼の膝枕の上で呟く。
「さてはてさてはて、何がどうしてこうなったのやらね・・・。」
ここは最初で最後とも言われるVRWORLD、【CHAOS】の世界。
ここで現在、米谷 伸司は一人デスゲームのような物に興じている真っ最中であった。
読んでいただき感謝です。
ゆっくりとお付き合いいただければ幸いです。