表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ヤクザ千明組  作者: 阿漕悟肋
鏡面相克都市・ファウラ=ラド 上
87/130

086話.プロローグ

 果たして、それこそが神の御姿でした。

 十かそこらの子供の身体。

 陶磁のごとき白い肌、髪は雨後の蜘蛛の巣に似て、編まれた緒が腰に/肩にかかる。肉の薄い手足を長衣で覆い/無邪気に晒し、腰帯には無骨なツルハシが/金と貴石で飾られた槌が吊るされています。

 目を伏したまま/両目を革帯で覆い、聖性すら漂う無垢な面差しを伏見へ/三ツ江へと向けました。

「まつろわぬ君よ。この争いを――止めては、くれぬだろうか」

 まるであべこべ。

 願われるべき神々は、祈るように指を組み、乞うたのです。

 違う時、違う場所、違う相手に、けれど声色だけは同じまま。

 開かれた唇から唾液に濡れた真っ黒の口腔が覗き、無機的な肌の白さのせいか、よく目を引きました。

 かつて、二柱の神さまは一つのものだったのです。分かたれたのはそう昔のことではありません。

 お顔も体付きもそっくりそのまま。纏う衣が違わなければ、互いの姿は鏡写しのように見えたことでしょう。

 願いを受け、伏見は/三ツ江は考えあぐねたように首を捻り、やがて口を開きます。

「いやぁ、ウチはただのヤクザなんで、そういうのはちょっと」

 無理だなァ/無理っスねぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ