化け物
「本当に、魔法を習得したのですね、」
「ええ、ルリア姉さん。」
「その言葉を本当の事と信じ、女王様に伝えますね。」
ここで、偽ればどうなるかを知った上で、心配してくれたのだろう。
「ええ、」
「リサ、ルナこの子を連れて行きなさい。」
「「わかりました。」」
さて、魔王と呼ばれ、この国を滅ぼした化け物にご対面と言うわけか。
黄金の扉の前に来た、分厚い扉越しに強大な力を感じない!?普通はこう驚くほど強い力を感じるはずだ、例え気配の様なものを感じなかったとしても【神眼】で、魔力は見れるはずだが、全く見えない。
その疑問は、女王の間に着いたことで溶けた。女王の魔力は分散していた、いやこの巣そのものが女王だった。恐らく巣との一体化が、女王としての種族技術なのだろうは。
彼女は、純白の巫女服に青い飾りを付けたような甲殻の、美しい人形の様な姿をした、女性?雌だろうか。
「そのガキが魔法を使えるようになったのか、ほお確かに優れた魔力だ。」
魔力を見ることが出来るのか、
「光栄にございます。」
とにかく深く頭を下げる。
「フッ、試してみよ、」
そう言うと、巣の壁が動きだし、蜂の形をとる。なんだか笑われた気もするが、まあ気にしない事にする。
さて、どのような魔法にするべきか、そもそもの話、何も考えず魔力を流すだけで発動させるのが技術、頭の中に、魔法や魔術の式の様なものをたて、それにあわせて魔力を流す。まあ魔法技術は知ってるかどうか、知識の有無である。
まあ、魔法についての基礎を思い出し、心を落ち着かせる。
私は、こう見えて、発表会とかで発表するのとかが苦手なタイプだ。
【時空操作】は、切り札として隠しておくか、ならば光などが良いだろう。
「では、僭越ながら。」
そう付け加え、光魔法を使い、人形を跡形もなく焼き払う。
「おめでとう合格だ、君は歴代の魔法蜂の中でも優秀だな。」
「滅相もありません。」
「下がってよい、そ奴に班長のフェロモンを、」
「ハッ、」
そのフェロモンで、階級を判断するのだろう。
ロイヤルゼリーの様な物を渡された。それを飲み込むと、体中が輝きそして収まった。
成程、魔力でフェロモンを変えることが出来るのか、【神眼】で確認すると、特別なことが無い限り、その印は一生変わらないことが分かった。
「「ドドン」」
「何が起きた?」
「今、調べさせます。」
「ふむ、」
何だろう、何でこっちを見てるんですか女王様、何ですかその、何かを試すような感じで笑っているんですかねえ、今の、いいことを考えた的な顔をしているんですかねえ、ああテンプレか、
「おいお前、もし外敵を排除できれば、中隊長の権限をやろう。」
「百もの姉妹を、この弟に指揮させるのですか。」
「それだけの相手と言う事じゃ、」
断れるはずが無い、例えるなら会社を辞めたくないアルバイトが、社長の命令に、いやこれ以上は労働何とかの法を守る、清く正しい会社に非難されそうだ。とにかく
「わかりました。」
としか言ええないのは確かだ。
迫る脅威を前に、ろくに空を飛ぶ感覚を楽しめないまま空を飛ぶ。
ここからでも判る強大な魔力、恐ろしい気配、化け物だ、あれも十分化け物なのだが・・・
後ろを振り返る。
あれはあれで化け物だ、今までは巣にいたからこそ気が付かなかったのだが、離れてみればよく分かる。巣と一体化した化け物の様な魔力、圧倒的な存在感、虫の魔王と呼ばれる伝説の魔物、ではその化け物が脅威と判断したほどの存在、それはどのような化け物なのだろうか。
うん、そこまで考えれば大体どうなるか分かっているような物なのだが、分かってはいたのだが、ここまでとは。
それは、体長五百メートルになるだろう巨大な龍、もはや伝説の魔物になった大地龍の龍王。
背中には、休火山と森を乗せ、重量感ある陸ガメのような動きで、丘を踏みつぶし、川の流れを変え、森を雑草を搔き分ける様に進む。
まるで災害の様な相手だ、まるで蟻か、蜂にでもなった気分だ、私の種族だけに。
とにかく片っ端から魔法を撃ち込む。が、私にはテンプレはまだ早かったようだ、そんな捨て台詞を残し、尻尾に弾き飛ばされれるのであった。
まずいな、一撃で瀕死かよ。