前世なのか?
神話とかでイメージする天使と、巨大な昆虫の群が飛び交う戦場で、
「悪いな、こんな事に付き合ってもらって、」
「それは言わない約束でしょ、」
《[「コノ業ハ、ヤツラノ行イ、知恵ヲモツヒツヨウノナイ、矮小ナモノガ、知恵ヲモツ、》〕〉
それは球体だった。銀と金を合わせたような輝きを放つそれは、雲を割いて降りてきた。
《[【愚カナモノヨ、知恵ヲウバイ、コノヨヲ正シク正正ダダシシガナゲレッババ、』」]
何と説明すれば良いだろうか?光の筋のような、暗闇から光を見つけたような、そんな感覚だ。
良くわからないって、察してくれ。まあ洞窟やエレベーターに閉じ込められ、ようやく救助が来たときに、最初に浴びる光と言えば良いだろうか?まあわからなければ、人が本能的に安心する、それで察してくれ。
その球体は、地面すれすれまで降りてくると、そこで止まり、ゆっくりと姿を変える。その球体は、水銀のような滴となりて、天へと崩れ落ち、その水滴は、天使の輪を思い出す輪を浮かべ、マネキンのような姿になり、こちらを向く。
「どうやら、あの亜神達は、自分等で敵わないと知り、己の力の根源である、この星の意識、神と言うべき上位の存在に、助力を求めたのだろう。」
水色の宝石を散りばめたような、白い着物にを着たような姿の二人は、少しの間黙り混む。
「神と戦うのは怖いかい?全く情けない男だよ、自分が死にたくないからって、亜神の土地を奪い生き永らえようとして、その上自分の彼女を危険にさらすなんてね。」
「そんな事ないよ、貴方は一人は嫌だと言う私のわがままを聞いてくれた、安心して、貴方は私達の先祖の誰もが実現できなかったことをしようとしているの。」
「ただ自分の巣を作って、好きな者と一緒に暮らしていたいだけなんだけどな。」
「それは、凄いこと、安心して私がついてる。」
「そうだね、私は貴《[「神罰ヲ、実行ジマズジバヤダ、〕》』じゃないとね。」
神の光がこの世を覆う。
「うん、いつもの貴方に戻ったよ。」
・・・・・・
[狭間 賢]それが私の名前だ。
当時、中学生だった私は、もやしで、とても臆病で自分でもそれを自覚していた。そのうえ責任感に弱くそれが嫌いで、すぐに楽な方に流される人間だった。
またお金や高価な物が好きで、お年玉も一割ほどしか使わず、残りは貯金するような、少し奇妙な性格だった。
また趣味は、食事でそこそこ舌が良くたまに外食に言ったりするし、ゲームや漫画等よりも、食べ物の方に金をかけていた。
後は読書、本が好きで一年間に数千冊、漫画や雑誌も合わせれば倍ほどと、周りに比べれば普段からよく本を読む少年だった。
まあそのせいかどうかはわからないが、友達が少なく教室ではよく趣味でボッチをしていた。
この日の昼休み、普段なら教室で本を読んでるはずだった私は、何の気まぐれか、廊下で数少ない友達と談笑していた。あの時は転生ものの漫画の話をしていた。
「なあ、転生するとしたら何になりたい?」
「それってモンスターからだろ、」
「やっぱ俺はドラゴンかな、」
「ありきたりすぎるだろ、」
「そう言えば賢は?」
どんな流れでこの話になったのか、誰がどんな事を言ったのかは覚えていない。けれど、私が何と答えたのかは覚えている。
「ん、そうだな蟻かな、」
「えっ、理由は?」
「楽そうだからかな、蟻の中には怠け者の個体が三割ほどいるという、そのうちの三割になりたいな。働き者に任せて自分は楽に的な。」
「「プッ、ハハハ、」」
「ああ、お前らしいな。」
二人が笑い、一人がそれを肯定する。
今思うとあれがフラグと言う奴なのだろう、あの後地震のせいで屋根の一部が崩壊し、それに巻き込まれて死ぬとは、死をいずれ体験してしてみたいと思ってたけど、せめてあと一世紀ほど後がよかったなあ。
それに死ぬとわかってたなら、年一万円のお年玉を貯めた、あの十万円を使っておけばよかった、まだ行きたい店や温泉が思い出せるだけでも数百は、でも海外とかもあるんだよな、北海道の寿司とかも、ああ富士山の見える旅館も捨てがたい、でも交通費と言う問題ががあるんだよな、
【鑑定】
ん?違和感が、なにか見えた気がする。
まあいい、ふと死後の世界について考えてみる。死んだあとは寝てる時と同じように、ずっと夢を見るのだろうか?と、何と例えれば良いか?意識のある夢を見てる、そんな感じだ。
これが死なのか、病院で寝ているのかはわからない。だが内蔵が飛び散り、潰されていたのは覚えている。なら死んでいるのだろう。
これが死か、死んだ後に夢を見るのなら、弟に食べられたケーキ(期間限定、値段は千円弱)も、出して食べれるのでは?
そんなことを考えると
【時空操作】
頭の中に文字が浮かび、目の前にケーキが現れた、私は夢を見てると仮定する、そして、それイコール好きなものを呼び足せるのでは?という考えが出るまで、さほど時間はかからなかった。
ここまでくれば俗物的な願の塊とも言える私は、欲に目がくらみ、ありとあらゆる財宝やあまたの食材を思い浮かべていく。私は夢の中でも、お金を拾おうとする人間だ、そう簡単に止まるはずはない。
「ハハハ、ハハハ、」
私は笑っていた、子供のような笑顔で、次々と現れるそれらに目を輝かせながら、ただ無邪気に笑っていた、ただ何に目を輝かしているのかが分かれば、とても俗物的で醜い姿であったが……
そうして気が付けば意識を失っていた。
どれだけ時間がたっただろうか、ふと目を覚ます、身体に多少の違和感が有るが、それでも私は生きている。