「俺はシシオよろしく、鬼怒田君」
今回は思考錯誤をしていたら字数が少々増えました。
また次回も書き方等々を変えてやっていきたいので、読みずらいかもしれませんがよろしくお願いします。
誤字脱字、稚拙な文、厨二病成分に気を付けて読んでください!
傾いた日が地平線に少しかじられた頃、俺は目の前にある天を衝くほどに大きな塔の影覆われて、いなかった。
前回『俺は門に微笑をかまし、凛として門に吸い込まれて行った。』とか(恥ずかしいこと)書いたけど、ここは『レテ本島第一大通り街』時間も日が地平線に少しかじられた頃ではなく、頭の真上に来る少し前。
いや、『インウィデアタワー』通称『第一の塔』がある『第一の島』に行ってないわけではない。
塔へ行くまでの道に出る敵対生物いわゆるモンスターと戦いながら魔力試したりモンスターとの実戦をしていたら、予想以上にモンスターがバケモン性能で剣がボロボロになってしまい新しい剣が必要になったから、たかが数十分後で微笑をかましたこの場所に戻って来たんだ。
「はぁ、まさか第一の島に鍛冶屋が無いとは。宿泊施設と飲食店だけじゃなくて鍛冶屋とかもあるべきだろ」
島には小さな村があった。意気込んで行ったぶん、そこに鍛冶屋が無いことに大層ご立腹だ。
鍛冶屋を探して建物に沿って歩いていると、瞬間転送でここに来た時も聞こえた。何かを懇願する爽やかな青年の声と、それを一切受け付けない独特な声色をした老紳士の声が聞こえてきた。
あれ?瞬間移動した時に聞いてから30分は経っているはず……。30分ずっとこれやってたか?しかもなんでその声の出所が鍛冶屋なんだよ……。
~レテ本島第一大通り街『鍛冶屋:錬刀斎』~
「お願いします!僕に剣を作ってください!お金ならあります!だからお願いします錬刀斎さん!!」
「さっきから、嫌じゃと言っておろうが。儂は気が向いた時にしか作らんのじゃ~、そこらへんに置いてある剣でも買って帰んな」
「じゃあ気を向かしてください!!」
「無理言うんじゃないわい」
錬刀斎はメガネの青年の居る方向すら見ていない。足を組み新聞をバサバサと音をたてながら読みコーヒーを啜っている。
メガネの青年はカウンターに両手を着き、会計に居るそっぽを向いている錬刀斎に前傾姿勢で話しかけていた。
「分かりました。じゃあここに妖刀ありませんか?名だたる剣豪がそれを腰にしたことで悲運の死をとげたり、知らずに使っても死んじゃうような妖刀ですよ!」
「それがあるなら俺は左腕をかけて、その妖刀と自分の運どっちが強いか試しますから!そしたら作ってください!」
「やめろ!やめろ~!これ以上国民的海賊少年漫画の名シーンを汚すな!しかもおぬしの腕は再生するじゃろ!」
そっぽを向いていた老紳士が一瞬だけ振り向いたが、またすぐ向きを戻す。
「何回言われても、どれだけ金を出そうと儂は絶対作らんからな」
そして錬刀斎は店の前に立つ俺に気付いたのか、これ以上は営業妨害だ。とも付け足した。
俺は、泣く泣く&しぶしぶ店から出る肩を落とした青年と入り口ですれ違った。青年は魂が半分抜けているみたいに気力がない。
「れ、錬刀斎さん?えーと剣見るのと、1つ質問いいですか?」
さっきまであんな茶番をしていたので、なんとなく確認を取ってしまった。
「ん?おぉ、もちろんいいぞ~」
口調、声音、雰囲気、表情、基本的に良い人みたいだ。
「この世界で役に立つ、強い剣がほしいんですけど」
「ふむ」
「現世の刀の目利きなら多少出来るんですが、魔力なんて科学や自然の法則を飛び越えた超常的なものが存在する世界で、現世の強い剣とレテで強い剣の定義はまるで違うはずです。だからこの世界での剣の目利きを教えて貰えないかと」
「ふむ……お前さん名前は?」
「白狼守です」
「レテに来てどのくらい経ったんじゃ?」
「えーと、12時間くらいは経ったと思います」
「……ふむ。12時間か……」
錬刀斎は飲みかけのコーヒーを置き、読みかけの新聞を少し雑に畳んで置き、俺の方向を、俺の目を見てきた。
「よし、いいだろう。だがその前にお前さんの今使ってる剣を見してくれ」
「え?今使ってるやつですか?い、いいですよ……」
俺は夜叉を呼んで剣を受け取り、そのまま錬刀斎に渡した。
レテに来たときに貰ったのは『回復ポッド』と記載された試験管に入った液状の薬のようなものが3個と、瞬間転送などに使う『デバイス』が1個、なんの変哲もない両刃の長剣1本だ。前者2つは少し大きめのメディスン・バッグに入っていたが、剣は死神が持ってくれるらしい。
錬刀斎は受け取った剣を最初は鞘から少しだし、次は完全に鞘から出した。
「(ふむ……まぁ普通の初期剣じゃな。刃こぼれがすごいのう、だがこれは切り過ぎたからじゃないのう。内部からのエネルギーに負け刃こぼれしたようじゃ、つまり剣が内部からくるこやつの魔力に耐えられず壊れたんじゃな)」
錬刀斎は剣を少し降ったり、何度も裏表をひっくり返したり、なめまわすように見たり、眉間に皺を寄せて俺の剣を見ていた。
「(初期剣と言っても並大抵の魔力に負けるような剣じゃない……。さっきもそうじゃ、12時間であれに気付く奴はそーはいない。あれが本当なら、12時間でこの世界に順応したことになる)」
「(剣を破壊させるほどの魔力といい、驚異の順応性といい……面白い)」
剣をしまうのと同時に錬刀斎は、ニヤリと笑った。そして俺のボロボロの剣をカウンターに優しくコトッと置くと、ニヤリと笑った口を開けた。
「お前さんに、剣を作ってやろう!」
「え!?あ、ありがとうございいます」
ああ、ホントに嬉しい。嬉しいけど、嫌な予感がする。嫌な音もする……向かいの団子屋から鍛冶屋にむかって走ってくる音が……。
「ええええぇぇぇぇぇぇぇええええ!剣作るんですか!じゃあ僕のもおねが…」
「嫌じゃ!」
「ええぇぇえ!なんですかぁー」
~レテ本島第一大通り街『薬草団子屋:団薬』~
「えっと、僕は鬼怒田白羅よろしくね」
あの後また懇願と拒絶の応酬があったのは、言うまでもない。今回は10分程度で終わってよかった。
「俺はシシオよろしく、鬼怒田君」
「(おぉ~守、平然と偽名ぶっこみやがったなw)」
応酬が終わると錬刀斎は、目利きは教えてやるが剣作り終わった後なといってカウンターの後ろの作業場らしきところに行ってしまった。
だから白羅に誘われたこともあって、向かいの薬草団子屋に来た。そして店前のベンチで、団子とお茶を飲んでいる。
「シシオ君の死神の名前ってなんていうの?」
「ん?あ~、夜叉だよ」
白羅はムシャムシャ食べていた『薬草団子:疲労回復~橙~』を喉に詰まらせかけた。
「や、夜叉!!?凄いね!」
「な、何が……?」
「え?夜叉がどんな死神か知らないの!?」
「う、うん」
俺がレテに来て12時間だと伝えると、白羅は驚いてメガネがずり落ちた。それとテンションの差が天と地である。
白羅はお茶を飲み一旦落ち着いてからデバイスを取り出し、拡張表示にして『死神ウィキャ』という画面を空中に映し出した。
「いいかい?死神にも位というのがあってね。それを『弐拾五神位』と言ってね第壱源王位って言うのが一番高くて、第弐拾五獣位って言うのが一番下なんだ。そして夜叉はなんと第拾四明王位!だから結構高い位に位置するんだ」
「しかもなんと夜叉は、今一番新しい21年前にレテを攻略した人に契約していた死神なんだ。そう死神ウィキャにも書いてるし」
いきなり話が大きくなったが、なんとなくわかった。にしても夜叉がそんなにすごい奴だったとは……。
「じゃあ1つ質問、今一番強い奴の死神の神位は何なんだ?第壱源王位なのか?」
「いやたぶん今強いのは、ギルド『エンブレムズ』のリーダーが契約してる火山の烙印で第拾参眷獣王位じゃないかな。第壱位は魔力の源や属性となってるから、人とは契約しない。ちなみに第弐精霊王位は死姫だよ。死姫も人とは契約しない」
「僕は第弐拾四鬼位なんだけど、弐拾五位と弐拾四位は大して変わらないから実質一番下だよ」
「…………へ~」
自嘲する白羅の引きつった笑いに、なんだか下っ腹に気持ち悪さを感じた。でもそれは苦い薬草団子のせいだと思いながら、お茶を飲んだ。
「羨ましいなぁ、錬刀斎さんに刀作ってもらえるなんて~」
「あの人そんなにすごい人なのか?」
「うん!レテで3本の指に入る匠だよ。レテでは今、錬刀斎さんが自ら作った剣がシシオ君をいれて3本しかない、そのうえ全部伝説級の代物なんだ」
「そーいえばさっき言った『エンブレムズ』のリーダーの剣も錬刀斎さんが作ったらしいし。今までの歴代攻略者で錬刀斎さんの剣持ってた人もいっぱいいたんだ」
「へぇー、そんな凄い人に認められるとは嬉しいねぇ」
団子の皿は片付けられ、俺はお茶の入った湯呑をクルクル回していた。
「シシオ君レテ来たばっかなんでしょ?この世界にも強盗や盗賊のような奴らがいて、ゲーム用語がもとで『プレイヤーキラー』通称『PK』って呼ばれてて他の人の所持品を狙って襲って来るんだ」
「シシオ君は錬刀斎さんに剣を作って貰うから、すぐ魔力粒子掲示板にニュースとして流れると思う。そしたらPKの標的だ。だから僕と組まない?大したことはないけど君よりは、長くレテに居るしさ!」
苦い団子を食べ終わったのに、いや食べ終わったせいか、いっそう下っ腹の気持ち悪さが増す。……吐きそうだ。
「いや、結構だ。―――なんだか舐められてるみたいだし」
「えっ!?いやっ……。ちょっとまっ」
俺はお茶を全て飲みきり立ち上がり、そのまま真っ直ぐ『鍛冶屋:錬刀斎』に行った。
~レテ本島第一大通り街『鍛冶屋:錬刀斎』~
「おぉ丁度良いタイミングじゃ!」
店に入るとちょうど仕事を終えたのか、額に少し汗をかいた錬刀斎がカウンターに出てきていた。
「できたぞ!これがお前さん用に作った剣、|竜の剣 『アスカロン』じゃ!」
俺は両手でしっかりと受け取り鞘から抜いた。
すると周りの声は一切聞こえなくなり、手に持った剣との静黙な空間になった。
アスカロンは重すぎず軽すぎず心地いい重さで、強張った俺の顔を映す刀身は清々しい銀色だ。日本刀かと思ったが、鍔は異様な形をしていたし全体的に何か少し違った。
この剣を非力な俺が形容するならば、まるで一匹の竜のようである。としか表せずただただ美しかった。
「どうだ!気に入ってくれたかい?」
遠くからそう聞こえたので段々に周りの音が耳に入りだし、剣を鞘に戻した。
「は、はい。なんというかとても惚れ惚れするものですね」
「はは、照れるねぇありがとう」
錬刀斎はそう言いながら、額の汗を拭い渋い笑顔を見せた。
「いいか、この世界で剣に求められるのは『性能』と『能力』じゃ」
アスカロンを俺に渡し残っていたお茶を全て飲んだ錬刀斎は、当初の目的である目利きについて話し始めてくれた。
「まずは『性能』じゃな。これは切れ味や重さ、使い心地など現世の目利きと同じところが多いのじゃが、1つ現世にはない概念がある、それは『魔力伝導率』じゃ」
「魔力伝導率は、剣がどの位魔力を伝えるかという事じゃ。極端なことを言うのなら伝導率が0%ならば一切自分の魔力を剣から出すことは出来ないのじゃが、相手の魔力も一切伝わらない。伝導率が100%ならば自分の魔力が抵抗なく出せるのじゃが、相手の魔力に対しても脆くなってしまうのじゃ」
「なるほど性能は、強度と伝導のバランスが大事なのか。」
「そうじゃ、流石の飲み込みの速さじゃのぅ。次に『能力』これはまったく現世にはないものじゃ。デバイスをかざせばすぐに参照できて、色々な特殊能力による特別補正があるんじゃ」
俺は右手でメディスンバックに入ったデバイスを取り出し、<武器能力参照>という項目を選択しカメラでアスカロンを映した。
<<アスカロン>>
刀工―錬刀斎
備考―とある門を守る鉄壁の番竜の現身
能力―魔力に対する圧倒的な耐性を持つが、内部からの魔力に対する抵抗は少ない。
「アスカロンは性能に力を入れたせいで、能力は多くないが性能補助のシンプルで強いのが付いたようじゃな」
「その言い方だとアスカロンみたいな性能を強化する能力以外にも能力があるんだな、どんなのがあるんだ?」
「えーと、オートで防御してくれたり刀身を盾や植物に変化させるものなど様々じゃよ」
なんでもありかよと、お互いに苦笑いをした。
「そしてこれが大事なんじゃが、レテには魔力というのはあってもスキルなんていう都合のいいモノはないのじゃ。つまりは自分の魔力を、どれだけ工夫して使えるかが問題なんじゃ。」
「だから剣の能力と魔力の組み合わせで、どれだけやれることを増やせるかが重要ってことだな?」
またお互いに気持ち悪い笑顔で見合わせた。
~レテ分岐『第一の島』インウィデアタワーへの順路途中~
第一の塔大橋から第一の島に来て、鍛冶屋のない村を抜けて軽く歩いた所に少し苔の生えた石のベンチがある。そこにおもむろに座り独り言の様に、だが声は大きく言葉を発した。
「出てこいよ、目的は分かってる……。今出てくればチャンスをやるぞ―――鬼怒田白羅」
次回――白羅「俺のマグナムが火を噴くぜ!!!」のだんっ!
はい!最後まで読んでくれてありがとうございます!お疲れ様です。
この回は必死系メガネ優男の白羅の初登場回ですね~(とうさいも)まぁこのダブルホワイトコンビで化学変化を起こしていけたら良いなぁっと思っています!
まだ女キャラは出てきてませんが、次は運が良ければ2人ぐらい出るかな?
とにかく登場人物が少ないので、次回は爆発します。
そして次回から文の書き方も大きく変えていきたいかなとおもっています。そのせいで今回すごく中途半端に終わりました。終わらせました。引きつけ感ゼロ……
なので、また投稿期間が空きます。半年以内には投稿したいけど……。うん、頑張る。
ではでは、コメント等々(誤字脱字指摘もwelcomeで)よろしくお願いします。
槇でした!