「このゲームで君に対する褒美は、Death or Deathだ。
今回も厨二病成分てんこ盛りで、お送りしています。
稚拙な文ですが、よろしくお願いします!
12/26一部表現修正(ストーリーに大きな変化なし)
「(そりゃ驚くに決まってるよねぇ~。誰だって、自分が24歳で死ぬ運命だったなんて聞いたらねぇ~)」
俺はなんだか頭が重くなった気がして、死神姫を見上ていた視線を床に落とした。
それでも瞳孔は開きっぱなしなのに、もう暗闇ではなくなったはずなのに、目の前が暗くなった。
「(心が折れちゃったかなぁ?意志が揺らいで魔力が弱まっちゃったかなぁ~?現世の鬼でも、人間は人間だからなぁ。ん?なんかブツブツ言ってる)」
「4年で死ぬ。そんなことは仕方ない、事実を飲み込めばいいだけのことだ。一番厄介で、大事なのはここからだ……。4年で七つの塔を制覇するには、一年に1.75塔、約二つの塔を制覇しなくちゃいけない……。そんなの聞かなくたって無理なのは分かる、そんなにぬるいゲームなわけない。じゃあどうする、まず……」
俺は頭の中だけで整理できなくなって、口から声として出し現状の整理と打開策を考えた。
「(意志が揺らいで魔力が弱まるどころか、魔力が強くなってってる。)……キモ」
一通り考えを巡らすと、床に落とした目線をまた死神姫へと戻した。
何でか知らないけど死神姫は、左手で口を隠し引きつった笑顔をしてあたかも「聞かれちゃったかな?」と言いそうな表情をしている。何か言ったのだろうか、聞こえなかった。
まあいいかと思い、滞っていた会話を再開させた。
「4年か、分かった。4年で七つの塔を制覇すればいいんだな」
「そ、そうだよ。頑張って」
何を死神姫はテンパってるんだ?頑張ってとか絶対思ってない、ぽろっと口から出ただけだろ。
「じゃ、死後のゲームを始めようぜ」
爽やかに、それでいて不敵な笑みを浮かべた。
「そうだね、始めよう。この死後のゲームを」
「このゲームで君に対する褒美は、Death or Deathだ。しかし、何もないただのDeathと最愛の人を蘇生してのDeathだ」
「後者になるのを、祈るよ」
今まで人のトラウマに触れて遊んでいたどSお姫様とは思えない、優しい光りが全てを包む満月のような笑顔だった。
「じゃーね!バイバイ!」
未だ宮殿のなかで何も起きていないのに、ゲームが始まったのかも分からないのに、別れの言葉を言われ少し戸惑い周りを見渡した。
そしたら、ぽっかり俺の下に穴が空いた。俺より二回りくらい大きな穴だ。
死神姫を見ると、まだ手を振ってる。が、さっきとは明らかに笑顔の種類が違う。が、その憎たらしい笑顔を見れたのも、非常に残念ながら一瞬だった。俺は一瞬で宮殿から退場した。
下に広がるのは眼が眩むほどに星が美しい夜景に映える雄大な空島らしきもの。1つの大きな島を中心に、7つの中くらいの島が生えている。
そこまで真っ逆さまに落ちるようだ……。てか、もう落ちてる。
「なぁ夜叉会話できるのか」
「出来るぞ、我はお前の中に巣くうている。お前の頭に直接話しかけれる」
「……そうか。……今、俺何メートルのとこに居んだ?」
「……高度約35000フィートだ」
「……なるほど。約1万600メートル……だな」
守が穴に落ち、間違えた。守を穴へ落とし、見送りを終えた死神姫はドサッと王座にもたれ掛かる。
首を左右に曲げコキコキと疲労の音を出し、ふぅーとため息も出す。軽く目蓋を閉じ、ほんの数分前のことを思い出す。
「(死神との精神空間からこの我が家に帰って来ても、拘束は解けない。だから我輩が、わざわざ解いてから契約するのが普通なのに、白狼守は自力で解きやがった。)」(一話参照)
「(そんなことしたのアイツで、3人目かな……)」
静かながらもその存在を主張する蒼い湖
その上を走る新鮮な透き通った空気の爽やかな風
そんな風に優雅に踊る茂った木の葉を照らす光
麗らかな光は汗で少し潤った俺の肌も輝かせる
温まった体を優しく冷ます風は本当に気持ちが良い
揺れる木の葉が摩れて鳴る小気味良い和音
そして空を裂く剣の音と相まって実に素晴らしいものだ……。
高度約35000フィートから落ちてきて、小一時間後俺は『精霊王の泉』に(なんとか無事に)落ちて来て、慣れた手つきで軽く剣を振っていた。
「なるほど契約したことで、基本的な身体能力が上昇してるのか。運動能力が、人の域じゃねーな」
上では時間が無かった。というか貰えなかったので、落ちて来た今色々と情報の整理をしている。
「まぁ本当に戦闘をする時は、死神と魂を共鳴させる『クロスソウル』をしてもっと能力が上がるぞ。そして今着てる生前の服から、戦闘用の服になる」
夜叉は契約の時と違い、ゆるい声で話しかけてくる。
俺は剣を地面に刺して、太い幹の木にもたれかかった。そのまま幹をなぞるようにストンと腰を下ろした。
「よしと、第一の塔に行くか」
「え、えーと?は?たった今レテに来たばっかだぞ?」
「一応言っておくが、ここは精霊王の加護の下にある泉だから敵対生物も低性能だ。しかも同時出現数もそんなに多くない。いわばゲームでいうチュートリアルだからな?ココと比べれば塔の周辺の敵ですら、バケモン並みの性能だぞ」
夜叉のキョトンとした顔が目に浮かぶ、声だった。(実際は狐の面付けてるから、顔わかんないけど)
「別に制覇しに行こうってわけじゃない。塔の敵はバケモンなんだろ?なら、そのバケモンぐわいを見に行かなきゃこの先の計画が立てられない」
「は、はぁ……。なるほど~あったまいい」
本当に契約の時と雰囲気が違う。契約の時は、嵐の前のような静けさだったが、今はなんだかゆるゆわだ。
「で、第一の塔にはどうやって行けばいいんだ?」
レテに初めて来たのだから知らなくて当たり前だ。なのに契約してから今までずっと気持ち悪いぐらいの頭脳を持ってる守でも知らないことがあるんだと、夜叉が少し驚いたのを俺は知る由も無い。
「えーと、レテに落ちてくる時に1つの大きな島とそれにくっ付く7つの島が見えただろ。あれは、時計でいう約2時の場所が第一の島で、時計回りで数が増えて12時の場所が第七の塔だ」
「ここは大きな島、レテ本島の中心にある公園の狩場。レテ本島は公園を中心に『娯楽区』『居住区』『通商区』が、放射状に出来ている。そこらへんの『魔力電子掲示板』を見れば、地図が出るから細かいのもわかるぞ」
俺は立ち上がるために、「なるほど」を「どっこいしょ」の代わりに気怠く吐き出した。活き活きと茂る木々の先に、夜叉の言っていた魔力粒子掲示板を見つけ歩き出そうとした。
「枝に掛けたマフラー忘れるな」
「あぁ、大丈夫忘れてない」
ここは現世と季節の回り方が違うらしい。一年に春夏秋冬が2度あるそうで、俺が死んだのが11月くらいだったハズなので、今は2回目の秋だ。
今の服装は、ボーダーの入った淡い肌色の薄いセーターの下に所々に模様のある白いYシャツを着て、ズボンは少しダプッとしたボトムス。赤いチェックの入った灰色のマフラーとか片耳ピアスとネックレスも、忠実に再現された生前の服だ。
秋と言ってもまだマフラーは早いし、軽くでも動いたので、ガッツリ冬服の俺には少し暑い。だからマフラーは枝に掛けたし、袖は肘までまくっている。
心地のいい木漏れ日を歩く間に数回浴びて、林を抜けて綺麗に舗装された道に出て魔力粒子掲示板を見た。
魔力粒子掲示板には、レテの地図だけではなく、この世界の多くの情報が記されてた。
数分の間スワイプしたり、タップしたりと忙しく魔力粒子掲示板の情報を眺めた。
「ふーん、瞬間転送円陣術っていうので何処にでも素早く移動できるんだな」
「レテには自動車の類がないのに、島の面積はバカでかいからな。徒歩だとキツいから、一定間隔に配置されてる。各所重要施設にも繋がってる。」
「なるほど、割と便利だな。でも第一の塔直通は、ないんだな」
「えーと、じゃあ『第一の塔大橋前』に飛べばいいんだな」
レテに来る(落とされた)時に、さっきまで振ってた剣と一緒に支給されたデバイスを使って移動するらしい。デバイスにも、多くの情報が記されている。いわばルールブックや説明書といったものに近いだろう。
それの操作に手こずっている間に夜叉から、各塔の島へ行くには適当な大橋以外に道がない、ということも聞いた。
魔力粒子掲示板の隣にある瞬間転送の円陣術式の上に行き、デバイスで行き場所を指定すれば術が発動しその場所に行ける。
早速試した。少し緊張を含んだ指が、移動先の確認ボタンを素早くタップすると、足元の円陣術式の見知らぬ文字が光るのと同時に回り始めた。
見知らぬ文字が宮殿に居る時に拘束された文字と同じ(一話参照)で、見知らぬものではなかったと気づいた時には、さっきの光に包まれ優しい緑に溢れた公園から、西洋式の外観で低い建物が連なる街へと来ていた。
〜レテ本島第一大通り街〜
空島の一番外側ギリギリに飛ばされたので、優しく吹く柔らかな冷涼の風を裂いて
「(○○前とかいいながら、全然○○の前じゃないって思う田舎のバス停かよ)」
なんて思いながら、少し離れた大橋に向かって歩を進めた。
街の風景は西洋式の外観以外は、現世とあまり変わらず見慣れたものだ。違和感を感じるなら、高い建物がないことと、地形に高低差が無さすぎることぐらいだろうか。
ニュースや広告の映像が流れる空中に浮かぶ魔力電子掲示板の画面が、唯一現世らしくない。
そんな風に全てが真新しい世界を見渡していると、ふいに声が聞こえた。何かを懇願する爽やかな青年の声と、それを一切受け付けない独特な声色をした老紳士の声だ。「お願いします」「嫌じゃ」を壊れたかのように飽きることなく、ループしているのが響き渡っていた。
まあ、そんなことはどうでもいいと聞き流しつつ、ついに『第一の塔大橋』に着いた。
「……よし!」
顎を引き、微量の手汗を握り、いつもより気持ち大きめに一歩を踏み出した。8歩弱歩いてまた足を揃える。目の前には、さっき使ったやつの何倍もある瞬間転送円陣術が門のごとく構えていた。
俺は門に微笑をかまし、凛として門に吸い込まれて行った。
デスデス第2話どうだったでしょうか?
死神姫のもとを去ったため、ただでさえ少ない登場人物がさらに減ってしまい会話が少なくなってしまいました。でも次は、増える予定。(予定!)
夜叉としゃべってるまもるんって、この世界だから皆分かってくれてるからいいけど、はたから見れば1人で会話してる人だよねw(設定上原則契約した死神の声は契約者にしか聞こえない)
死神姫は当分でて来ないかな~?でも、そうなると大事なセクシィーキャラが居なくなるので、別のキャラを出す予定。(予定!!)
コメント等々よろしくお願いします。槇でした!