04
そうして、ほんものの夜が明けた。
「本っっ当に行かれてしまうのですか?魔法使い様」
……ちょっと、もしもし?カオが必要以上に近いデスヨ、お姉様。ラズが引いてる引いてる。
翌朝。
何となく予測はしてたが、姉ちゃんはラズを引きとめに掛かった。貴重な魔法使い逃がしてたまるか、って勢いだ。
……頑張れ、ラズ。ちょっと俺助けらんない。
「え……えええぇっと、と、とりあえず基礎の基礎、っていうかこれだけは、っていうのは教えといたんで、大丈夫かと思うんです、が……」
姉ちゃんの勢いに押されるようにして半歩後ずさったラズが、引き攣った笑いを浮かべながらそう言った。
って、これだけは、っつーのはアレか。昨日の遠足の注意事項みたいなノリのアレか。
…………基礎の基礎?
「この愚弟にそれだけで足りるとは到底思えないんですけれども…」
ちょっと素でひっどいこと言っちゃってるそこのお姉様、弟に対する愛とか何かないですか? …………ないとか言い切られそうで嫌だな。
「マリアさん、無理を言っては駄目ですよ。魔法使い様にも都合というものがあるのですから」
姉ちゃんの隣で親父がおっとりとそう窘めた。それは判ってるんだけど、と言いながらも姉ちゃんはまだ納得していない表情だった。そんっっなに信用ねぇか? 俺。…………ないだろな。
コンマ数秒で自分で出せてしまった結論にちょっとばかりヘコんだ俺の内心なんて知りようもないだろうけど、ラズは俺を見て次にローズを見て、ふんわりと微笑った。
あの、不思議な笑い方だった。
「大丈夫です。確かにシエルには知識とか足りないものいっぱいありますけど、それでも一番大事なものは備わってますから」
ラズが口にしたその台詞は、あまりにもきっぱりと言い切られたせいか、妙な説得力を持って耳に響いた。
ってか何だろ、コイツの言葉は不思議とするっと抵抗なく入ってくる。疑うとかそういう以前に、するっと。姉ちゃんでさえ、ラズの言葉にそうですか、と素直に頷いた。
ていうか、一番大事なもの……?
「俺そんなん備わってんの?」
「うん。判んないんならそれでいいよ」
あっさりとラズはそう言った。つまり、説明してくれる気はないわけだな。
小振りのリュックを肩に掛け直したラズは、俺を見上げながら口を開いた。見上げてきたその眼差しが、思いの他真剣なものだったんで、内心でちょっとばかりたじろぐ。
「昨日も言ったけどね、魔法使いになる気が少しでもあるんなら、『学院』で魔法の基礎からきっちり学んだ方が良いと思うよ」
そうだな。確かに昨日もそう聞いた。
だから、考えてみたんじゃねぇか。難しいこと考えんの苦手なこの俺が。
……答えは、割とすぐに出たけどな。
「オレに言えるのは、ここまで。あとはシエルが決めれば良い。進むも戻るも自由だよ。ただ――……」
魔法使いになる気がないんなら、そのコとの契約は破棄するべきだけどね、と。
最後の言葉は、足元にいるローズにも届かないぐらいの小さな声でラズは言った。
「…………」
…………そういうことを、言うわけだな?
自分の目つきが剣呑なものになるのを、自覚した。
知ってるくせに、と思う。知っててなお、そういうことを言うわけだな……?
さっき旅支度を整えてたお前に、王都までの旅の手段とかどんぐらい金が掛かんのかとか ―――― 果ては学院に入るのに必要なものを訊いた俺に対してそういうことを言うわけだな? お前は。
「……判っててそういうこと言うのは嫌味だぞ」
憮然と言い返した俺に、ラズはいたずらっぽい表情で「まぁ、ご家族への説明も兼ねてみた」と悪びれなく言った。ああそうかい。
決めたことがある。
今まで割とその場のノリで生きてきた俺が、ちゃんと考えて決めたこと。
魔法使いになる、って。
それだけは、はっきりと決めた。
「『学院』……」
親父がポツリと呟いた声が響いた。
「はい。王都にある魔法使い専門の学校なんですけど……ご存知ですか?」
その呟きを拾ったラズが親父へと視線を移した。どうでもいいけどラズ、お前敬語微妙に似合わねぇ。
「えぇ、良く知ってます。―――― そうですか……」
「親父……?」
ふと、そこに覚えたのは違和感。
口調は普段と何ら変わりない、おっとりとした親父のそれだ。だけどそこに挟まれた感情が、何かいつもと違ってた。
姉ちゃんもそれを感じ取ったのか、俺と同じようなカオをして親父を見上げてる。
「……ひとつ、訊いてもいいですか?」
「はい?」
「シエルくんは、魔法使いになれると思いますか……?」
……父よ、根本のそれ訊いちゃうぐらいに俺は信用ないですか。
ていうか、隣であーあ、言っちゃった、みたいなカオしてるお姉様、アンタが一番ひどいです。
内心で結構真剣にヘコんだ俺を余所に、親父は真剣だった。その視線を受け止めて、だけどラズはさっきまでと同じように笑ってみせた。
「はい。オレの勘ですけど、きっと良い魔法使いになると思いますよ?」
……躊躇いのない肯定は何か逆に居た堪れないというか……何つーかそんなカンジだ。
どういうカオをしたものか選びかねて、結果びっみょーな表情になった俺を尻目に、親父が微笑んだ。もうそこに違和感は覚えなかった。いつもと同じように微笑って、親父はそうですか、と呟くように言った。
「貴方がそう言うのなら、きっとそうなのでしょう。―――― 魔法使い様」
「ええぇっとあのそこまで言われると面映いってかとりあえず『魔法使い様』ってのやめませんかっ?」
何気にラズも動揺したらしい。息継ぎなしの一気台詞だった。
微妙に顔も赤いラズの訴えを、親父は緩やかに首を振ることで退けた。
「―― いいえ。私にとって貴方は『魔法使い様』です。小さな頃から変わらず、憧れの」
「え、あ、いや、あの……え、ええぇぇっ!?」
今度は直球で動揺したらしい。……ちょい見てて面白ぇ。
ラズは目を丸くして顔を更に赤くした後、何故だか今度は青くして落ち着き無く視線をうろうろと彷徨わせた。そして。
「……あの、まさか ―――― 知ってたり、します?」
何をだ?
恐る恐るといった問い掛けに、首を捻ったのは俺と姉ちゃん。頷いたのは親父だった。
「私の母も、魔法使いでしたから。何より『あの時』、私もいたんです。あの場所に」
ばーちゃんが魔法使いだったとか、初耳なんですが、お父様。
っても、アレだ。そのばーちゃんってオレや姉ちゃんが生まれる前に死んでるから、知らなくてもまぁ不思議じゃねぇんだけどさ。
え、そーなの?って隣で訊いてる姉ちゃんに再び頷いて、親父はラズへと向き直る。
「よく、覚えていますよ」
「ううぅああうあ出来れば即行忘れて貰えると嬉しいんですがっ」
何をそんなに狼狽してんだかは判んねぇけど、ラズが勢い込んでそう言った。必死だった。……やっぱ見ててちょい面白ぇんだけど、コレ。
親父が笑う。いつもと同じような ―――― いつもとはちょっと違う表情で。
「忘れるのは、無理です。ですが、他言する気もありません」
はっきりとした言葉に、ラズは一瞬虚を突かれたような表情になったけど、少しの沈黙を挟んで「ありがとうございます」と呟いた。ぶっちゃけ、取り残された感のあるこっちにはワケの判らん会話だ。が、首を傾げる俺に構ってる余裕なんてないカンジで、何でかラズは頭を抱えてた。
「ううう、何だこの最後のカウンターパンチみたいなの……」
「今の会話のドコにそんな破壊力があったって?」
沈黙5秒。
「……ないよ? うん、ないない。気のせいでしたごめんね」
もう何てコメントしていいのかも判んねぇよ、その反応。
ただもうひたすらに怪しいラズの言動は、敢えてそのまま流すことにした。追及したら面白そうだがそれ以上に面倒臭ぇ。
「『学院』に、戻られるのでしょう? 道中、お気を付けて」
親父の言葉に、ラズは気を取り直したように顔を上げた。
「あ、はい。お世話になりました! あんまり力になれなくてごめんなさい」
「……いっぱい、たすけてもらった、よ?」
……お?
「たくさん、王様には助けてもらったよ? ―――― だから、ありがとう」
俺の身体に隠れたまんまだったけど、視線はしっかりとラズを捉えてローズはそう言った。
あー、よくできました、とか褒めたくなる瞬間ってこういう時か? なんてアホなことを考えながら俺はローズの頭をくしゃりと撫でる。
ていうか、王様って何だ……? なーんか昨日もそんなの聞いた気がすんだけど。
……後で覚えてたら訊いてみるか。
「……どういたしまして」
ラズが微笑った。どことなく照れ臭そうな、年相応のカオだった。
「さて、と……それじゃ、オレ行くね」
「おー、ま、何だ、そのうち会うこともあるだろうし、そん時はよろしく」
「あはは。こちらこそ」
俺がひらりと振った手に、同じように振り返して、ラズはじゃあね、と踵を返した。
返した後で、あ、と振り返って姉ちゃんや親父にぺこりとお辞儀をしてく辺り律儀なヤツだと思う。
小さくなってく背中を、何となく俺はそのまま見送ってた。
多分、アイツとはまた会うことになるだろう。そんな気がする。
というか、絶対どっかで会うだろな。
俺が魔法使いになるって決めた以上 ―――― アイツが魔法使いである以上、それは必然だ。
俺の隣で同じようにラズの背中をじっと見ていたローズの頭を何となく撫でる。やべ。何つーか、もうクセになってるこれ。だってちょうどいい位置にコイツの頭があるんだもんよ。まー、ローズに嫌がってる様子もないし、むしろ喜んでるみたいだから良しとするけど。
結局俺とローズ、それから何故か親父も、ラズの背中が完全に見えなくなるまで家の前に突っ立ってた。
その間、ラズが地面と仲良くなること3回。その手前で何とか踏みとどまったのが1回。人とぶつかったのが2回。
…………いや、何つーか……本気で気ィ付けろや? お前……。
* * * * * * * *
夜は明けた。
成すべきことを、見つけた。
どこか不安の残るラズの背中が完全に見えなくなって。
一足先に家の中に入った姉ちゃんの後を追おうとした俺は、そこでふと思い出して「そういえば……」と傍らのローズを見下ろした。
「“晶石”ってお前に預けたまんまだったんだっけ?」
「あ、うん。はい、コレ……」
で、差し出された紅水晶を、何の気なしに受け取ったわけだが。
……ん?
「何かコレ、ちょっと違う……?」
違和感、というほど酷くはないけど、昨日持ってた時と違う感覚を伝えてくる石をまじまじと見ながら呟けば、ローズがびっくりしたように瞳を見開いた。
「ごしゅじんさま……わかるの?」
「判る、っつーか……って、やっぱ何か違うのか?」
見た目は全然、何も、これっぽっちも変わってるところはない。飾り気のない紅水晶のまんまだ。
なのに、違うと感じる。コレは一体どっから感じるものなんだか。
首を傾げた俺に、たどたどしいながらもローズが説明を試みる。
「石から、“イルアラ”の名前がなくなったの」
「あ?“イルアラ”って……」
昨日も聞いたよな、その名前。一番最後に聞いた、重要情報。確か ――――……。
「前の君と、君の主の名前ですね」
ポン、と答えがあらぬ方向から投げて寄越された。
……え?
「親父……?」
振り返った先、親父がローズを見て笑ってた。
って、今の……え?
「なんで……」
ローズが呆然と呟いた。
何で、知っているのかと。それを訊きたいのは俺も同じで。
親父はローズを見て、それから俺を見てゆっくりと口を開いた。
「いいこと、教えてあげましょうか。シエルくん」
視線の先で、親父が微笑む。
何かちょっといたずらっぽい笑みだった。
珍しい、と思ったけど、警戒心なんぞ皆無だった俺に対して、親父はさらっと爆弾発言をかましてくれた。
「こう見えてこの子、君よりはずっと年上だと思いますよ?」
「……え?」
この子、と言いながら親父が視線を投げたのは、ローズで。
……んん?
なかなかに衝撃的なナニかを言われたような気がするんだけど、内容よりもまず引っ掛かったのはそれを語る親父の口調だ。アレ、え、ちょっと待てよ……?
「僕が物心ついた頃には既にこの姿形だったですしねぇ。軽く40年以上前のことですけど」
「ちょい待て、親父」
脳内でヤな結論が出た気がすんだけど、ちょい本気で待つ気はないか、父よ。
ストップを掛けた俺の内心なんてまるで知ったこっちゃねぇ、っていうのんびりさ加減で親父は首を傾げると、「いいことを教えてあげましょう」ともう一回言った。
「イルアラは、僕の死んだ母の名前です」
…………そうくるか。
声もなく俺は頭を抱えた。
何となく聞き覚えのあった、“イルアラ”という名前。―――― 当たり前だ。
それ、ばーちゃんの名前じゃねぇか……。
もっと早くに気付け、って話だよな。あぁ姉ちゃんに知られたら絶対馬鹿にされる。
「ルゥト……?」
瞳を真ん丸に見開いて、ローズが親父の名前を呟いた。うわ、決定打。俺コイツに親父の名前教えた覚えなんてねぇぞ。
はい、そうですよ、と親父が嬉しそうにそれを肯定してる。……マジにそうくるのか。
しゃがみ込んで頭を抱えた俺の背に、ローズの「ご、ごしゅじんさま大丈夫!?」の声と、親父のくすくす笑いが降ってくる。
「迂闊な子ですねぇ。何でその石がウチの物置にあったのかとか、考えてみなかったんですか?」
「今、まさにそう思ってるから、追い討ちかけるの止めてクダサイ」
あぁホント、我が父は案外イイ性格をしてたんだっけな、と今久々に思い出したところだよ。完っ全に楽しんでるだろこの状況っ!
くすくすと本当に心底楽しそうに笑う親父は、笑みを含んだままの声で告げた。
「だから、というわけでもないですけど、行きたいのなら、別に反対はしません」
くしゃり、と傍らのローズの頭を撫でながら、親父は笑った。
「全部、シエルくんが決めなさい。行くも行かないも君の自由です。―――― この子と共に生きるも、何もなかったことにして普段の生活に戻るも、全部君の自由ですから」
「…………それって何気なく俺に選択肢ってなくねぇ? ……って、待て! そこで早速泣きそうになるな、ローズ!」
「だ、だってぇ……」
ナニを想像したのやら、泣きそうになってるローズの頭を、あーもー、とぐしゃぐしゃと撫でた。
今更 ―――― そう、今更だ。
ここまで来て、中途半端に投げ出すなんてことはしねぇよ。
最初は、成り行きでしかなかった。
石を見つけたのも、ローズに名前を付けたのも ―― それが『契約』になっちまったのも、全部成り行き。
だけどさ。
「別にお前と一緒にいるのがヤだなんて言ってねぇよ」
「ホ、ホントに……?」
「あぁ。けど、お前と一緒にいるには、俺には足りないモノがたくさんあるんだってさ」
例えば、魔法に関する知識とか素養とか一般常識とか……知識とか知識とか知識とか。主に知識。実践はどうとでもなる。
使い魔は、知識無き者が連れてると無用の混乱を引き起こす ―――― そう言ったのはラズだ。
魔法使いであれば当たり前に持っている知識、それがなかったせいで起こる危険があるかもしれないということ。経験に基づく言葉だよ、と言ってたラズのそれは真実だろう。
「だから俺は、王都に行こうと思う」
『エルグラント王立魔法学院』。
魔法使いになる気が少しでもあるんなら、『学院』で魔法の基礎からきっちり学んだ方が良い、と言ったのはこれまたラズだ。その方が手っ取り早いとも言っていた。『学院』では、基礎知識から実践までひと通り教えて貰えるっつーハナシだから、まぁ確かに手っ取り早い。
それでも、どれぐらいかかるかは判んねぇけどさ。
「お前はどうする? ローズ」
「一緒に行くっ!」
迷いの無い返答に、俺は笑んだ。
さっきまで泣きそうになってたのはどこへやら、ローズは今は満面の笑顔だ。つーか、そもそもどんな想像してたんだ、お前。
腕に纏わりつくローズをそのままひょいと抱き上げて、俺は親父を見やった。
「―― っつーワケだから。俺、王都行って『学院』に入ろうと思うんだけど」
「言ったでしょう? 反対はしません、って。僕もそれが一番良い方法だと思いますしね」
少し、寂しくはなりますけど、と親父は苦笑した。
あー、そうか。俺が出てくと、この家親父と姉ちゃんの二人だけになるのかぁ……。
…………そこはかとなく不安になるのは俺だけか?
そんな俺の不安を余所に、親父は朗らかな表情で話を進めてゆく。
「『学院』ですか……しばらく王都、というか『学院』内部で寮生活することになりますねぇ」
「え、寮とかあんの?」
「ええ、確かあるはずですけど。あぁ、そうだシエルくん、何か欲しいものとかあります? 餞別にあげますよ?」
「旅費 ―――― と当座の生活費。出世払いで返す」
「……現実的なコですねぇ」
しみじみと呟くな、父。
いやだって、いる、っつーか……必要だろ?
「あー……、あと『学院』入るのに、紹介状? 何かそういうのがあった方が入学手続きとか楽かもー、みたいなことをラズが言ってたんだけどさ、その辺のツテとかある? 親父」
「心当たりがなくもないですけど……紹介状がここに届くまでに時間が掛かりますよ?」
「あ、じゃいいや、別に。どうしても必要っつーモンでもねぇだろうし。つか、ラズが書いてくれりゃそれで良かったのにな」
アイツも一応魔法使いだろうに。例え自分で「……多分?」とか言っちゃうようなものであったとしても。
オレが書くと多分面倒なことになるとかどうとか、ワケ判んねぇこと言って書いてくんなかったんだよなー、と言うと親父が変なカオになった。え何デスカ、その反応。
「いえ、まぁ……それはやめておいた方が賢明でしょうね」
「何でさ?」
「…………いやぁ……」
何故そこで視線を逸らすか、父よ。
なーんか、ラズもこの話振った時、似たような反応してたよなぁ?遠ぉーい目して、渇いた笑いを浮かべる、っつー…………何なんだ?
「まぁ……多分、そのうち嫌でも判ることだとは思うんですけどね……」
「だから、何が?」
「……敢えて僕の口から言うのは止めておきましょう。他言しないと約束もしたことですしね。ホントにそのうち嫌でも思い知ることになると思いますから、判った時に思い切り驚きなさい」
「え、ちょ、何その命令形かつ確定的言い回しっ!?」
判った時に驚け、って……え、驚くこと前提? 前提なのかっ?
……大前提です、って言い切っちゃったそこの親父…………俺にどう反応しろと?
俺と親父のやり取りをきょとん、と見やっていたローズは、首を傾げていたかと思えば直後一人で納得したみたいにうん、とひとつ頷いてた。……何だ、お前のその仕草も意味ありげで気になんぞ、オイ。
親父が言う。
「世の中にはね、びっくりするようなことが結構その辺に転がってるものなんですよ。シエルくん」
……んな諭すように言われても。しかも、その辺て。
つーか、そこまで言われるラズってホントどんなよ?
その時はまだ、ちょっと……いや、かなり? 疑問に思っただけ。
実際に『ソレ』が判って、俺が親父の言葉通りに驚くのは ―――― もう少しだけ、先のことになる。
夜明けのうた編、終了。
お付き合いくださいました皆様、どうもありがとうございました!
次は閑話を挟んで、光の王様お目覚め編となります(※タイトルは違います)




