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頭文字・爺  作者: 綿坊
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農道のポルシェ

昔、S県のばっちゃん家に行った時、ばっちゃんがよく言ってた。


「こんのあだりには、おっかないくらい速いぽるしぇっつうのがおるんよ」


まだ小さかった私は、「ぽるしぇ」というものがよく分かっていなかった。


そうして高校生になって自動車に興味が出てきたころ、湾岸○ッドナイトという漫画の虜になった。


そこに出てくる車の一台にポルシェと呼ばれる車があり、


ああ、ばっちゃんはこの車のことを言っていたのか。とおぼろげに思っていた。




その後、18で免許を取り、スイフトスポーツを買った私はばっちゃん家の近所にある峠を毎晩のように走りこんでいた。いつかばっちゃんが言っていたポルシェに出会うかもしれないと期待していたのだ。


しかし、一向にポルシェは来ず、ローリング族と毎晩のように暴走行為を繰り返すだけになっていた、そんなある日……



いつもの集会の帰り、深夜二時過ぎだろうか。


峠を軽く流していると後ろから追ってくる車が見えた。


こちらをパッシングしてくる……



「勝負か……?ここらは俺の地元。誰だかしらねえが俺のスイフトでちぎってやるぜ!」


アクセルを踏み込み、峠のアタックを開始する。


唸るエンジン、かっ飛ぶ様な加速。


峠では軽さこそが命であると私は考えていた。


「次のコーナーで差を広げてやるぜ!」


トラクションを前輪にかけ、鋭くコーナーを曲がる。



決まった。



そう確信し、バックミラーを見たその時だった。



シュゴォォォォオ!ガフォオ!!



右からターボの吸気音が聞こえたかと思うと、その車はスイフトをあっさりと追い抜かしていった。



「嘘だろ……?」



「“あんなの”に抜かされるなんてありえねぇ!!」



さらにスイフトのアクセルを踏み込むが、コーナーを抜けるたび差が広がっていく。




「なんてこった……俺は悪夢でも見ているのかも知れない……。







軽トラにちぎられるなんて……ありえねえよ……」




それは、農道のポルシェ


【スバル:サンバートラック】


であった。

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