青銅国第三騎士団団長
日刊一位・・・
あれ? 夢だったっけ? 寝てたのかな?
MJの受け止めきれるキャパをこえますたw
おどろいてムーンウォークしちゃったよー
ぴーががががが ちゅどーん! ←作者爆発により死亡(笑)
みなさん本当にありがとうございます!!!
「ほ 報告です!」
第三都市ハイルンの騎士団詰所にたベルンフリートの下に、慌てた騎士団が走り込んできた。あの会議を終えた翌日に、ベルンフリートはギルド長マインツにどうにかして仕返しをしようと策を練っていた。対外的には騎士団が正しい行いをしているように見せて、ギルド長を地の底叩き落す計画だ。
リザードマン襲撃の時は、騎士団が動き出したのは最後の最後だった。ギルドと軍、そして街の民が手を組んでリザードマンと闘っている間、騎士団は王女リリアーデ殿下をお守りすることが第一であると言い張った。ハイルンの城の一室に無理やりリリアーデを押し込めて、そこを防衛するためだけに総勢1,000人の騎士で城を警護したのだった。これは全て街で出た被害をギルドへ押し付けるためだった。
第一都市ヴァルゴークへの報告書には、ギルドの監視が緩んでいたこと、街の外の防衛ラインでギルドがリザードマンを打ち漏らしたこと、その所為で騎士団は身動きが取れなかったと事実を捻じ曲げたのだった。
「何事だ?」
「はっ 北の魔境から約数千のモンスターの群れが、此処へ向かってきています!」
「そうか…… それは良いことだな……」
「は?」
報告しに来た騎士は、ベルンフリートが全く慌てる様子が無く、むしろこの時を待ち望んでいたというような笑みを浮かべていることに、疑問に思った。
「下がってよい。警鐘は30分後に鳴らせ」
「ですが、それでは防衛が間に合わないのでは――
騎士が疑問をぶつけようとすると、ベルンフリートは腰に下げていた宝剣を引き抜き、その切っ先を騎士の喉元に添えていた。騎士は恐怖で言葉が止まる。
すると、ベルンフリートが騎士の耳元でささやいた。まるで悪魔の囁き。邪悪なオーラに騎士は、怯えその場に固まる。
「我々騎士が守らねばならないのは、リリアーデ殿下だ。わかるな?」
「はいっ」
「お前は頭が回らんのか? リザードマン襲撃でこの街の防衛機能などとうに死んでいる。ならばどうやってその魔物の大群から殿下をお守りするつもりだ? 良く考えろ。 ……この街をすてる。ギルドと民を囮にして殿下を第一都市ヴァルゴークへと逃がすのだよ。我々はその護衛だ」
ベルンフリートはここにきてハイルンを捨てる作戦にでたのだった。そのすべての責任をギルドに押し付けるつもりである。前回のリザードマンの件でベルンフリートの事実を捻じ曲げた報告の所為によって、ハイルンのギルドの印象は青銅国の貴族や王族の間ではガタ落ちしている。そして、あらたなモンスター襲撃で、街が崩壊すると読んだベルンフリートは、モンスターの対処をギルドが行っている間に、自分たちはリリアーデを守り抜いて第一都市ヴァルゴークへお届けしたという功績をあげようとしたのだ。
街を見捨てることはベルンフリートの中ですぐに決まったことだった。故にわざと警鐘を遅らせることで、モンスターへの対処が遅れた街は崩壊を免れないだろう。北の魔境のモンスターはそこらの雑魚とは桁が違う、たとえSランクの冒険者が居ようがギルドもろとも壊滅するはず。その事態を全てギルドの不始末で起こったことであると、第一都市で暴露するようにすれば。もしもギルド長マインツが生き延びたとしても地の底へ叩き落せる結果となる。
「私は殿下の下へ行き連れてくる。その間に、城の外に隊列を組んでおけ! すぐにこの崩壊する都市を出る! 行動は迅速にだ…… いいな?」
「しょ 承知しました!」
完全に怯えきった騎士が逃げるように去ろうとしたが、ベルンフリートが騎士を呼びとめた。
「まて!」
「ひぃ!」
「そうだな…… キミは警鐘が鳴り響いた後に、Sランクパーティー【ブリザード】を此処へ呼びたまえ」
「あ、後にですか?」
「そうだ。その頃に我々はここにはいないだろうがな。少しでもSランクには防衛に出るのを遅れて貰おうではないか。あのパーティーはクソ忌々しいマインツと交友関係があると聞く。我々が殿下をお連れしたことを知れば、どう動くのかが楽しみだ。防衛に参加するのか、我々を追いかけてくるのか、まあどちらにせよ、行動は遅れるに変わらないだろうけどな。遅れれば遅れるほど、街の崩壊は進んでいく。ふははは!」
「自分は此処に残ると言うことですか!?」
「殿下をお守りするためだ。騎士の本望だろう?」
再びベルンフリートに向けられた邪悪な思想に、騎士は恐怖で飲み込まれたのだった。
目が虚ろになった騎士が出ていった後に、ベルンフリートも行動を開始した。すぐにハインツ城へと向かった。第三騎士団団長という肩書は、身分を調べる必要も無く城へ入ることができる。くわえて、城にはリリアーデが指揮権を持っている駐留軍がいるが、そのほとんどがベルンフリートの元部下だった。この事実はリリアーデもマインツも知らない。特に城に残ってリリアーデの警護をしている軍人は、リリアーデの命令よりもベルンフリートに指示を仰ぐような程に洗脳されている。
すんなりと城へ入ったベルンフリートは、リリアーデの自室へと無断で入り込んだ。「お控えください」などというリリアーデの従者は、軍人に黙らさせる。勢いよくリリアーデの部屋の扉をあけ放った。
そこには、ネグリジェすがたのリリアーデが短剣を片手にソファーに腰を下ろしていた。湯あみの後だったのだろう、濡れた金色の髪や、潤いのある肌が、艶めかしい。
「騒がしかったのは、あなたの所為でしたか騎士団長さま」
「緊急事態だった故です、殿下。 お許しください」
頭を下げるベルンフリートだがその顔は笑みで歪んでいる。リリアーデは短剣をよち強く握りしめた。
「緊急事態であっても、無断で入ってくるのは罪に値しますわ。 すぐに出ていきなさい!」
「……それは出来かねます。 殿下の命の危機に、私がいち早くはせ参じたのです」
「何を言っているんですの?」
「あの時のようなモンスターの大群が此処に迫ってきています」
「なんですって! ——っ!? ということはまた閉じ込めになるつもりですの?」
「いいえ。今回は外へ出ますよ。こんな街に籠っていてはモンスターの餌食になるだけです。流石に我々でも今回は守り通せるかどうかわかりませんので、襲撃される前にお逃げします。そのために我々騎士団は、第一都市ヴァルゴークへ護衛を進み出たのですよ」
「寝言は寝て言いなさい! 私にこの街を見捨てろというのですか!」
「……まったく殿下の聞かん坊には毎度苦労させられますね。お前たち! 殿下をお連れしろ!」
「「は!」」
軍人たちがベルンフリートの命令で動き出す。「はなしなさい!」と喚くリリアーデの言葉を無視して、手にしていた短剣を奪い、口に猿轡を噛ませ、身動きが取れない様に体にロープを巻きつけた。そして、外に待機していた騎士団の馬車へと放り込んだのだった。
「これでマインツもこの街も終わりだ。 私は、殿下をお守りした功績で昇進するだろう! ふははは! はーはははは!」
同じ馬車に乗り込んだベルンフリートは、リリアーデが流す涙を見下ろしてほくそ笑んだ。
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あれ? この点って小数点だっけ!?