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三つの依頼

ひさびさの投稿で、本当に申し訳ないです。

Sランクパーティー『ブリザード』らによってハルミは、リリアーデの待つ城へと連行されたのであった。


騎士団が居なくなったハイルンの城はガランとしていてどこか寂しいさを感じさせる。ハルミはマイアにおんぶされながら舟をこいでいると、とある会議室の中へと入っていった。


中にはリリネル、ギン、そして二重人格の裏側の人格であるイロリが、数十人が同時に会議できるであろう大きな机で話し合いをしていた。


「遅れて申し訳ございません」


「このダメ猫がだだこねてなかなか出てこれなかっただけだってーの!」


「すぴー すぴー」


マイアとミーアはそれぞれ頭を下げつつ、三人の元へと移動する。相変わらずのハルミは鼻ぢょうちんを作ってすっかりおねむだった。


「大丈夫ですよ、急に呼んでしまったのだから」


リリアーデは怒ることも無く、三人に座るように椅子へと視線を向ける。マイアとミーアは寝ているハルミをイスに座らせてから、イロリの横へと腰を下ろした。


「まーた寝てやがったのか?」


「しかもお風呂でね。大迷惑だったってーの!」


ギンが呆れたようにハルミを眺め。

イスに座ったまま机に突っ伏して幸せそうな寝顔を見せるハルミを、叩き起こすことだけはやめておこうと密かに思っていたりする。


「ハルミさんにもお聞きしてほしかったのですが・・・ お願いしてもいいですか?」


リリアーデの後で伝えておいてほしいという意図は伝わったのか、マイアとミーアがうんざりした様子で頷いていた。


「それじゃあ本題に入る。 三つの依頼をこなしてもらいたい、かなり危険な依頼になるかもしれないからな。お前らにしかたのめねーんだよ」


話を切りだしたのはギンだった。リリアーデの名前を愛称で呼ぶようになった辺り。二人の仲はかなり進展していたりする。


「というと?」


イロリが愛用の鉄扇えをハチリとならす。


青銅国第二王女リリアーデ、ハイルンのギルドマスター代理であるギンによって依頼されたものは三つ。


一つは、護衛の依頼。

あの一件で、騎士団が居なくなってしまった今現在。リリアーデを守る人間の数が激減してしまった。そして『ブリザード』は。Sランクでもあり、メンバーが全員女性と言うこともあって、リリアーデをかなり近い状況で護衛を頼みたいと言うことだった。期間は第一都市である王都から新たなる騎士団が派遣されるまでの間。


この依頼に関しては、イロリはすぐに承諾した。


そして二つ目の依頼は、リリアーデの護送任務だった。

新たに派遣される騎士団が到着次第、リリアーデは王都へ向かい。あることを父親である国王へ宣言しに行くというのだ。それに同行してほしいという内容だった。

それならば、新たに派遣される騎士団にやらせたらいいだけの話では無い。どの派閥の息のかかった騎士が派遣されてくるのかも知らされていないリリアーデにとって、そんな信用の無い騎士を近くに置ける筈もないのだ。


この依頼についてもイロリは受諾するのだった。宣言する内容は、ハルミ達がやってくる前にすでに知っているだけあって。この依頼は断りはしない。


「そして最後の依頼なのですが、断ってもらっても構いませんわ。それだけ危険であることは理解しているつもりですの」


リリアーデの表情が硬くなる。


「今回の一件の首謀者を懲らしめてでありんすか?」


イロリはリリアーデが口を開く前に、その依頼の内容を当てたのだった。

リリアーデは驚き、目を大きく開ける。ギンもすこし動揺しているようだ。


イロリが鉄扇を再び閉じてパチリと言う音が、会議室に静かに響き渡る。


「二度にわたる魔物の暴走に収まらず、謎の騎士団壊滅でありんす。おまけに城壁斬りと唄われていた白金国の元勇者でありんす。」


「それにジジイの失踪もな。王都に行ったきり消えやがった」


「何かある・・・そう思わざるを得ませんの。首謀者がいる。そう思ってしまうと」


イロリは言うべきか言わざるべきか、悩んでいた。

首謀者は間違いなく、ヘカトンケイルと闘ったあの女である。自らをアワタールと名乗っていたレイを思い出していた。アワタールの存在自体が眉唾物のような話だ。しかし、本当に存在した。その強さも以上だった。ハルミが居たおかげで、イロリもこの第三都市ハイルンも存続しているようなだけだ。


「首謀者の判明は荷が重すぎるでありんす」


「そうですわよね」


「申し訳ないでありんす。ですが王都に行った際はギルマスを捜索するでありんすよ」


リリアーデは重くなった会議室の空気を払うように笑顔になった。


「・・・はい! では護衛と護送、そしてマインツさんの捜索の三つの依頼。おねがいしますわ」


「了解でありんす」


「もちろんですよ。任せてください」」


「全力でやるってーの!」


依頼へ意気込むイロリ、マイア、ミーア。そして気持ちよさそうに寝ているハルミ。


「すぴー すぴー」


「まだ寝てやら」




結局のところイロリが選択したのは、アワタールとは関わらないという道だった。

しかし、ギルマスであるマインツを探すことがアワタールへとつながるとは思いもしていなかったのだった。









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