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動き出す恐怖 ⑥

突然に起きた地震によって、白金国の元英雄に運よく勝つことができた。冒険者たちが勝鬨を上げる中で、ミーアは街の方を見て驚愕してた。


「うそ…… あれはなんだってーの」


ミーアが指差した方向に皆が顔を向けると、そこには街を軽く潰してしまうかもしれないほど大きな顔とそこに生えた大量の手が怨念をばら撒いていたのだ。


「ふざけんなよ! モンスターはもう倒したし、元勇者も倒したってのによ! なんなんだよ!」


「終わりだ。あの町はもう終わりだ」


冒険者たちは口々に諦めてしまった。それほどまでに多面百手巨人(ヘカトンケイル)は驚異だった。見ただけで戦意を失うほどにその怨念は強かったのだ。


ギンはリリアーデを抱きかかえあげる。リリアーデの頬に泣いた跡があるのを見てギンは一層リリアーデを抱きしめる力を強くした。


「もしかして騎士団はあの化物が現れるのを知ってたんじゃないか?」


「それはないと思うわ。たぶんあれは北の魔王の多面百手巨人(ヘカトンケイル)だともうの。伝説上の化け物よ」


マイアの言葉にギンは驚きを隠せない。リリアーデを救い出せたことに歓喜してはいたが、実際はこのまま

第一都市ヴァルゴークへ逃がした方が正解だと頭によぎる。


「マイア、どうするってーの?」ミーアは驚いた物の流石はSランク。戦いに行く意欲があった。それに冒険者たちは引いていた。


「イロリ様がいるから大丈夫。それに、なにかもっと嫌な予感がする」


「嫌な予感?」とギンがうかがい、多面百手巨人(ヘカトンケイル)を遠目で眺める。


「レイってさっ元勇者が言ってたのが気になるんです」


「……」


ギンとマイアが何者かの悪意と陰謀があるのではないかと難しい顔をしていた。


「もう! イロリが居たってあの化物には対応できないでしょ! 早くいくよ! マイア!」


ゴン! 「ぎゃーーー! いたいー 何すんのよマイアー!」


マイアのゲンコツがミーアの脳天に炸裂する。今にも一人で多面百手巨人(ヘカトンケイル)の元へ行ってしまいそうだった。


「私たちが行ったところで邪魔にしかならないわ」


「でも何もしないのも……」とギンが悔しそうな顔をする。何としても街を守りたい。リリアーデが愛した街を守りたかった。


街の北で目視できるほど大きな多面百手巨人(ヘカトンケイル)が暴れている姿を見て、此処にいる誰もがしり込みしていた。いや絶望と言った方が正しいかもしれない。山のように大きな化物を相手に自分たちが何ができるのかでは無くて、もしもあの化物の前に立った時に生きていられるのか。そんなことが頭によぎり、本能が死を訴えてきていたのだ。


しかし、勇気あるものの一声で皆の目が覚めた。


「ハイルンという都市は終わりかもしれませんが、まだ民をあの窮地から助け出せます。ここには騎士団が逃げるために使った馬車がこんなにたくさんあります。どうか私に力を貸してくれませんか? 少しでも街のみんなを避難させませんか?」



一同が顔を向けたそこには、ギンによって支えられて立っているリリアーデの姿だった。街を愛した青銅国第三王女のその瞳はまだあきらめという淀みはなかった。ギンに「ありがとう」というと、自分の力で立ち上がって、マイアやミーア、そして冒険者たちへとその頭を下げる。


「お願いします!」


燃え尽きかけた火が再び燃え上がった瞬間だった。


「王女様にお願いされちゃあ ことわれねーな! それぐらいならやってやるぜ!」


「「「おおー」」」


一致団結して街を救うために動き出した。




「リリ…… 本当に無事でよかった!」


「ありがとうギン」


抱きしめ会ってイチャイチャする二人を見て、恋愛に目が無いマイアがキャーキャーと体をクネクネし、ミーアは「ちょっ なにやってんのよー!」と顔を真っ赤にして顔を伏せるのであった。










その時の街の北側では――


安眠妨害因子(スリープレス)を確認。排除のため、スキル【夢喰(ナイトメアイーター)】を発動します』


不吉な声が聞こえたかと思うと、一方的な殺戮が始まったのだった。


イロリはいったい何が起こったのか、理解できなかった。気持ちよく寝ている春眠から、声が聞こえてきた。すると、多面百手巨人(ヘカトンケイル)と美女の激戦がピタリと止まったのだ。


三者三様で、春眠から立ち上る黒い何か(・・・・)を見て戦慄したのだ。蛇のように蠢く黒い何か(・・・・)がまるで獲物に狙いを定めたかのように、その触手が多面百手巨人(ヘカトンケイル)と美女へと向けられる。



『おおおおおおおおおお――』


「あらあら? なんな――」



黒い何か(・・・・)がイロリを避けるようにして、多面百手巨人(ヘカトンケイル)と美女に反応もできない一秒にも満たないほんのわずかな刹那に包み込んだ。


そして、イロリが見た光景は、多面百手巨人(ヘカトンケイル)の大きな顔の半分が黒い何か(・・・・)によって飲み込まれ、紫色の体液をまき散らして蠢く姿で、美女の方は黒い何か(・・・・)に飲み込まれて影も形も無く消え去った後だった。




塾のテスト終わりました! 

三日間死に物狂いで勉強したった! 

ふはははは! ふあははははは! あっーはっはっはっは!


(注)三日オールして精神おかしくなってますw え? 元から狂ってる? うるせー! 





大変長らく?お待たせしました、連載再開します! 

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