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こんにちは、エレベーター

歓迎会の準備をするみたいなので私はフードコートをあとにして、十階にあるという自分の部屋に向かうことにした。



「十階だし、エレベーターでいこうかな」



たしかエントランスホールにエレベーターがあったはず。



エントランスホールに着く。

エレベーターは人が待っていたのですぐわかった。



エレベーターを待っているってことはここの住人ってことだよね、多分。

とりあえずあいさつしてみようかな。


「こんにちは」


エレベーターを待っている人は同世代くらいの女性だった。


雰囲気は地味目というか、落ち着いた感じがする。



「………………」



返事がない?

この距離で聞こえないはずないし、もしかして日本語が通じないのかもしれない。

このゆりのささやきにはお嬢様に合法ロリもいるんだ、帰国子女がいたっておかしくはない。


「…ハロー」


通じない?



「………………」



「ニーハオ」



「…………………」



「アンニョンハセヨ」



「…………………………」



「グーテンターク」



これでもない?



「…………………………」



「ブォンジョルノ」



「…………………………」



「ナマステ」



「……………………」



「ボンジュール」



これでもない?



「………………………」



「ジャンボ」



「…………………」



「イランカラプテ」



「…………………………」



「fuck you」



「………………………」



一体どこの国の帰国子女なの?

あと知っている国ってどこだろう…………


ってあれ?

結構時間経つけどエレベーター来てないよね。



エレベーターの階層が表示されている数字を見てみると、二十階で止まっていた。



これもしかしてボタン押してないんじゃないの?



「あの、すいません…ボタン押してないんじゃないですか?」



「……………………」



やはり通じない。


仕方がないので横から手を伸ばし、ボタンを押す。


するとエレベーターの階層表示の数学が下がっていく。



やはり押していなかったようだ。

しかし何故?


気になって女性の顔を少し覗いてみる。



「ん?なんか目つぶってない?」



正面に回り、よく見てみる。



「うん、目つぶってるね」



これはどういうことだろう。

エレベーターの前で目をつぶって立っている。



うん、全くわからない。



「もしかしてこれ、寝てるの?」



人間って立って寝れるっけ?



とりあえず肩を揺らしてみよう。



ゆさゆさ



「すいませーん、起きてくださーい」



ゆっさゆっさゆっさゆっさ



「あのー、大丈夫ですかー?」



ゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさ



「おーーい!」



ガクガクガクガクガクガクガクガク



「Vaffanculo!!!」



「うわっ!なになに!?」



うわっ!いきなり起きた!?



「スラマッソーレ?」



「えっと………なに?」



普通に日本語だった。



「あっ、ごめんなさい。あいさつをしても反応がなかったので日本語が通じないのかと思って」



「そう、ごめんなさい。普通に寝ていたわ」



いや、なにが普通なのかちょっとよくわからないですね。



「それにしてもさっきの言葉……たしかヴァッファン…………」



よりによってそっち!?



「ち、違いますよー。スラマッソレですよね!スラマッソレ!それはインドネシア語でこんにちはって意味なんですよ!ね!スラマッソレスラマッソレー!」



「スラマッソレ?そうなの、インドネシア語なんて使わないから初めて聞いたよ」



「あはは、私も使わないです。インドネシア語」



なんとか誤魔化せたみたい。



「エレベーターが来たみたいだし、とりあえず乗ろうか?」



「そうですね」



エレベーターの中に入る。


やはり中も豪華な作りになっている。

しかし、この大きな鏡はなんの意味が?



「何階で降りるの?」


「あ、十階です」


「了解、そういえば見ない顔だけど、もしかして今日からここに住む……」



「はい!今日からこのゆりのささやきでお世話になる白井卯月といいます、よろしくお願いします!」



「よろしくね。私は北村紅だよ。それにしてもあなたがねぇ」



「え?なんですかその含みのある言い方」



嫌な予感がする。



「いやなに、あなたがあの、美少女白井卯月なんだと思って」



「ゴブォルァ」



まさかこの人まで私の黒歴史を知っているなんて。

なにこの認識度の高さ。

もはや歴史の教科書にのっているレベル。



「美少女と名乗るだけあって可愛いから感心していたんだが……大丈夫?」



「だ、大丈夫ですよ?あはは」



「そろそろ十階だね」



「そうですね、じゃあ私はこれで」



「そうだね、じゃあね」



「はい、また」



北村紅と別れ、ようやく自分の部屋にたどり着いた。



「やっとついたー」



それにしても広いなぁ。

家族で住めるくらいあるよね。



「いろいろ見てみたいけど、とりあえず疲れたから寝よう」



ダブルサイズのベッドに横になる。


ああ、すごくふかふか。

こんなベッドなら疲れがとれそう。


そんなことを考えながら、やがて意識が遠のいていく。





ガチャッ



「ハァハァ」



さわさわ


「ハァハァハァハァ」


さわさわさわさわ


「もう我慢できないよ」


ガバッ


「うぉぉあぁぁいっ!敵襲か!?」



突然何者かが私に覆い被さって……まさか!



「……………葉月、なにしてるの?」



「ふょえ?あああっとね、歓迎会の準備が出来たので卯月さんを呼びにに来たのよ。そしたら寝ていたので起こしていたのよ?決して寝込みなら大丈夫とか考えてないから安心してくださいね」



とりあえず葉月が人を起こすのに向いていないことはわかった。



「わかった、ありがとう。じゃあ起きるから私の上からどいてくれると助かるんだけど」



「そ、そうね」



葉月はゆっくりと私の上からどいた。



「じゃあ行きましょうか」



「そうだね」








次回、いよいよ歓迎会




誤字脱字などあったら教えて下さい

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