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偶には乙女な話

昼休み、一年生組は仲良くお昼を食べていた。


「そういえば卯月ってこっち来るまではどんな感じだったんだ?」


弥生が聞いた。


「え、私?普通だったよ」


「普通ってあれでしょ、のんのん〇よりみたいな田舎だったんでしょ?」


葵が少し小馬鹿にしてくる。


「普通だからね、自転車で二十分くらいで駅に着くし」


「徒歩じゃないんですか?」


桜の「あれ?自転車と徒歩言い間違えてませんか?」的な言葉に少し傷ついた。


「田舎は車、私の暮らしてた所は自転車、都内は徒歩、オーケー?」


「・・・つまり・・・田舎」


「南・・・。うん、田舎です」


田舎だよね、うん、知ってたから・・・・・・。


「じゃあ帰り道で川遊びとかした?」


「うん、小学生の時とか」


「へぇー、詳しく」


「んーとね、帰り道って集団で帰ってたんだけどね、ちょうど川でみんな別れるの。それでみんな家帰ってから遊びに出かけるの面倒くさくてね、川で遊んでたんだ。水かけたりザリガニ探したりしてね」


「・・・臭そう」


「子どもだったからあんまり臭いとか気にしてなかったけど、確かに少し臭かったかも」


「あの、それって男女一緒に遊んでたんでしょうか?」


「そうだよ」


「田舎特有のハレンチだわこれ」


「え?葵どういうこと?」


「卯月さ、川遊びの途中から男子増えてなかった?」


「そういえばそうだったかも。家が全く別の方角なのにわざわざ一緒に遊んでたような。でもそれは友達と遊ぶからこっちに来てるって言ってたような・・・」


「多分卯月達女子と水遊びしたいからだな」


弥生は確信した。男子の性の目覚を。


「だよね」


葵は想像した。濡れて服が透ける卯月を。


「ブラジャーは着けてましたか」


桜は懸念した。胸のポッチがハッキリと見えていないかを。


「・・・ブラって・・・小学生からするの・・・?」


南は困惑した。ブラジャーは中学生からじゃないのかと。


「してなかったと思う。周りもしてなかったし」


卯月は答えた。ブラジャーは着けていないと。


「あー、うん。そうだ、みんなブラジャーデビューはいつごろだった?」


葵はこれ以上卯月の、いや、田舎の乱れを聞くことを恐れ、話題をそらした。


「弥生ちゃんはまだ着けてないんじゃない」


卯月はそういって手を弥生の胸に重ねた。


「あれ、着けてるや」


卯月の失礼な言葉に、弥生は手を払い除けて答えた。


「当たり前だろ、JKだぞ私」


「小学生が女子高生のコスプレしたって言われた方がしっくりくるくらいのロリっ子だから着けてないかと思った」


「確かに必要性はありませんよね」


「着け始めを聞いてるんだろ!なんで私がいじめられてるんだよ!」


「桜、流石に毒がすごいよ」


「卯月もだろ!」


責任逃れは許さないロリ。

もう少しおおらかになれば胸も膨らむのだろうか。


「・・・ブラは・・・ファッション・・・だから」


弥生程ではないがそれでも慎ましい胸を抱くようにして南がフォローした。


「そうだそうだ、それにパットを増やして胸を盛ることも出来るからな」


弥生がブラジャーの有用性を力説する。


「え、パット詰めまくってそれ?」


「あ・・・」


墓穴を掘る形で自爆した弥生はブラジャー話から戦線離脱した。


「結局、桜以外はみんな中学生からブラ着け始めたんだね」


「私は、もう小学生の時から膨らみ始めていたので」


「桜さあ、自分だけ胸がどんどん大きくなって不安とかなかった?」


「最初はビックリしましたけど、母もそのくらいの頃には膨らみ始めていたと聞いたので普通に受け止めてましたね」


「周りは絶対エロい目で見てたよね」


「現に卯月はエロい目で見てるしな」


「いや、興味深い胸だなぁって見てるだけだからね?エロい目とかじゃないよ?」


「あ、そういえば先生に相談された事があります」


「どういうこと?相談したんじゃなくてされたの?」


「はい、当時小学五年生だったのですが・・・」


「語り入りまーす」


ブラを着け始めた私は、最初こそ戸惑いもありましたが、胸は武器になるという母からの教えで前向きに自分の胸と向き合っていました。


「三浦さん、放課後、職員室に来てくれない?」


担任の先生が私を呼び出しました。

先生は美人で若い方で、教員生活三年目くらいだったと思います。


「なんでですか?」


呼び出されるのに心当たりのなかった私は、用件の確認をしようと一応聞いたのですが、先生は動揺していました。


「えっ、えーと、あれです。三浦さんの今後について個別に面談をしようと思いまして・・・」


「面談?三者面談なら五月にやったばかりですよ?」


「ダメ?」


困り顔の先生になんだか絆された私は、理由は分からないけれどとりあえず面談をすることになりました。

放課後、職員室へ行くと、ここでは面談が出来ないとの事で鍵のかかる空き教室へ連れていかれました。

鍵をかけ、カーテンを閉めた先生に、私は生徒のプライバシーを守ってくれる良い先生だなぁと思いました。

ドアに付いている窓も、黒いカーテンが付いていて、完全に外部と遮断された教室で面談が始まりました。


「三浦さん、最近どうですか?」


先生から面談を持ちかけてきたが、いきなりの抽象的な質問に面食らいつつ、胸の成長について答えることにしました。


「胸が、膨らんできたので、少し周りの目線が気になります」


「そうですよね、膨らみ始めたと思ったらあっという間に私より大きく・・・コホン、失礼しました。メンタル的に小学生の三浦さんには不安に思うこともあると思って、今回私が三浦さんの悩み相談役を引き受けようと思いまして、ええ」


急に声のトーンとスピードが上がっていくのに若干引きつつも相談することにしました。


最初こそ気持ちの持ち方や、将来は良い方向にいくだとかそれっぽい話をしていたのですが、段々とおかしい方向に話が進んでいったのです。


「先生のブラジャーってさ、A65なの、Aカップなの」


「は、はい・・・」


「先生さ、しかもパット詰めてるの」


「・・・はい」


「胸が小さくてフラれたこともあるの!背中かと思ったって!背中て!全然違うでしょ!乳首!乳首あるからぁ!」


「・・・・・・」


「三浦さんわかる?私の背中どっちかわかる!?どっちも膨らんでないから分からないよねぇ!?ごめんねぇ!!」


ついには机に突っ伏して泣き始めてしまいました。

私はどうしていいか分からなかったのですが、鍵は先生が持っているので外にも出れず、先生を慰めることにしました。

先生の隣に椅子を持っていって座ると、先生の背中を撫でました。


「落ち着いてください。先生は素敵な人ですよ。モデルみたいにすらっとしてて、私は先生みたいな人になりたいです」


「ぐすん・・・本当?」


突っ伏していた身体を上げて、先生は私を見つめました。


「本当です」


私は先生の顔を自分の胸に当てるように抱きました。


「先生の魅力は、胸がないくらいではなくなりませんよ」


「・・・あったかいね、三浦さん」


その後、落ち着いた先生は私に何度も謝ってきましたが、私も相談に乗っていただいたので、お互いに少し距離が縮まりました。


「という話なんですけど」


「オチは?オチなし?」


「いや、人の昔話にオチを求めるなよ。芸人じゃないんだから」


卯月の謎の芸人魂に弥生がツッコミを入れる。


「それがですね、最近家にその先生からハガキが届いたんですよ」


「へぇ、結婚報告とか?」


「豊胸手術の報告です」


「ぶっ・・・ふふ」


「オチあるのかよ!」



貧乳も普通も巨乳も虚乳もパットも、みんな違ってみんな良い。



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