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え、なんか都会って怖い

なんやかんやで四月一日、ゆりのささやきでの新たな生活がスタートする。


約二時間の電車での移動を終え、最寄駅の百合園駅で降りる。



「たしかここから徒歩十分だよね」



地図機能を頼りに歩いていくと、マンション街にさしかかる。

平均で二十階建てくらいのマンションがずらっと並んでいる。



「なんかアパートがある雰囲気が一切しないんだけど」



そこからほどなくして目的地に着いた………筈なのだが、目の前にあるのは辺りと比べても一際大きいマンションが建っているだけで、アパートはどこにも見当たらない。



「もしかして携帯の地図が少しずれてるのかな?」



とりあえず近くをしらみつぶしに歩いてみる。

しかし見かけるのはマンションと大きな街路樹ばかりで、やはりアパートは見当たらない。

少し不安になってきた。

後一時間探して見つからなかったら駅に戻って大家さんに電話をしよう。

別に今すぐ駅に戻ってもいいのだけれど、田舎者と馬鹿にされそうなのでもう少し足掻いていたい。



更に一時間程探し回ったが見当らず、最初に地図で示された大きなマンションの前に戻ってきてしまっていた。



「はぁー、もう疲れたよ……」



改めてアパートの写真を見てみる。

もしかしたら見落としているかもしれない。



「ん……あれ?アパートの外観の写真がないじゃない!」



そういえばそうだったかもしれない。

確か、アパート名が入ったやたら豪華な看板?のような写真と内装のみで、まともな外観の写っている写真はなかった。

それでも住所がわかるから大丈夫って思って特に気にしてなかったのを思い出す。



「こんなことなら大家さんに迎に来てもらえばよかったよー」



ふと目の前の看板が目に入る。



『Whisper lily』



「あれ?写真とそっくり……それにlilyってゆりだよね?」



写真との違いは日本語か英語の違いくらいで他は全く変わらないことに気付いた。



「もしかしてこの大きいマンションがゆりのささやき!?」



もしかしたらこの看板は建て替えたばかりで、連絡を忘れていたのかもしれない。



ゆりのささやき(?)の敷地内に入るとそこはまるで別世界だった。


大きな噴水が中心にあり、カフェテラスのようにテーブルがいくつも並んでいる。


ここが2万円で住めるの?

もしかしてオジサンと相部屋とか、いかがわしいサービスをしないといけないとか…………。



「と、とりあえず座ってもいいのかな」ワクワク



近くにあった席に座ってみる。



「うひょー、なんか都会に来たって感じするよー!…………コホン、紅茶を持ってきなさい、ダージリンで………なんちゃって」



紅茶ってあまり飲まないけどダージリンってあったよね?



「かしこまりました」



まあ別に誰も聞いてな………。



「え?」



後ろの方から声が聞こえた気がする……まさか、ね。


恐る恐る後ろに視線を移す。

五つテーブルを挟んだ席にウェイトレス(?)とお客さん(?)がいた。


うわぁー、恥ずかしい。お客さん(?)こっちガン見じゃん。

心の声を口に出すからこんなことに…………。



カラカラカラカラ


ウェイトレス(?)がポットやらなんやら色々のっている台車を押してこちらに向かってくる。



やばいどうしよう、ダージリンってどんなのだろう。苦くないよね?



「お待たせ致しました、只今お入れ致しますので少々お時間よろしいですか?」



「よ、よろしいです」



しまった!つられて変な口調になっちゃったよ、恥ずかしい………



「どうぞ、ダージリンです」



「どうも」



ダージリンの入れられた高そうなティーカップに口をつける。



ん、苦い。てか渋い?

ミルクティーしか飲んだことないからこのダージリンが美味しいのかどうか判断できないよ。



「…………」



ウェイトレス(?)さんずっとこっちを見てくるんですけど。

感想言わなきゃいけないの?

それとも都会ではこれが普通なの?



「お、美味しいです」



これでどう?正解?



「ありがとうごさいます」ニコッ




微笑んだってことは正解だよね?よし。



「こちらのダージリンはインドのヒマラヤ山脈の~でして、風味が~(略)」



原産地とか言われてもわからないよー。

どうにかして切り抜けないと……



「紅茶はお口に合いましたか、卯月さん」




「合いました………ってお客さん?」



先程までウェイトレス(?)と一緒にいたお客さんが話しかけてきたみたいだ。



「私はお客さんではなく、大森葉月と申します。以後お見知りおきを」



「あ、どうも。白井卯月と申します」



「はい、今日からこのゆりのささやきの仲間になる方と百合恵さんから聞いています」



ここがゆりのささやきで合っていたのか。

これでひとまず安心できる。



「そうでしたか、それであの……紅茶の代金はいくらになるのでしょうか」



ウェイトレス(?)に聞いているつもりだったのだが、葉月さんが答えた。



「代金なんてとったりしませんよ。だってこれから一緒に暮らしていく仲間、いえ、友達ですもの」




友達なのは嬉しいけど、それとこれとは別問題だと思うの……



「あの、レジは……」



私の発言に葉月さんは驚いた顔をした。



「あれ、へんなこと言いましたか?」



イマイチ状況がわからない。

なにこのアウェー感。



「もしかして吉澤さんのことをお店の人と勘違いしてない?」



「へ?」



お店の人じゃなかったらこんなウェイトレスのかっこなんてしないと思うのだけど。


まさか……



「吉澤さんは私のメイドなのよ」



「はい、葉月さま」



本物だったのね!

本物のお嬢様とメイドだったのね!


なんかそんな雰囲気は感じてたよ。

葉月さんなんて白いフリルが可愛いゴスロリのかっこだし。



今更ながら最初に自分がしたお嬢様の真似事が聞かれていたかと思うと恥ずかしい。




「それでは中へ案内しますね」



葉月さんが私の手を引く。



「あ、葉月さん、そんなに引かなくても一人で歩けますから」



「あら、私のことは葉月と呼び捨てでいいのよ?」



「いや、葉月さんも私のことさん付けしてるじゃないですか」



「私はそういうキャラだからいいのよ、だから葉月って読んでくださいね、あと敬語なしで」



「わ、わかりました」



「敬語なしで」



「わかったよー、これでいいでしょ?」



「はい、満点です」



私は葉月が満足そうでなによりだよ。








ダージリンは産地でしたね……


あまり紅茶に詳しくないので変なところがあったら教えてもらえると助かります。

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