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弥生のひとりでできるもん

熱を出した弥生は百合恵さんに看病されていた。


「なんで...私だけこんなことに...」


「なんでかしらねぇ」


「うぅ...そういえば中学の修学旅行の時も......で、......」


弥生はぶつぶつと過去の失敗を振り返り始めると長いのを知っている百合恵は静かに部屋をあとにした。



月曜日、学校にて。


「弥生さん、おはようございます」


教室に入ると桜が挨拶をしてきた。


「おはよう」


私は挨拶を返すと自分の席に着いた。

すると桜も私に付いてきて、私の横で止まった。


「えっと、桜、何故私の横で止まる?」


何故自分に付いてくるのかがわからなかった為、桜に聞いてみた。


「何故と言われましても、離れていては話しづらいでしょうから」


ああなるほど。

そういうことか。


「そうか、残念だが今日は卯月と葵と南は休みだ」


「そうなんですか、皆さん同時に休まれるなんて、何かあったのでしょうか」


「土日で一泊二日の旅行にみんなで行ったんだ。それで集団で風邪をひいたらしい」


「それはお気の毒に。しかし、馬鹿は風邪をひかないとはよく言ったものですね」


「おい、何故私を見ながら言うんだ。言っておくが私は行ってないぞ」


「そうなんですか、じゃあ弥生さんも私と一緒でハブられたのですね」


みんなの中に自分が入ってないことを気にしていたのか。

なんか少し誤解があるようなので解いておこう。


「別に桜を仲間はずれにした訳じゃないんだ。私達はみんな近所に住んでるから学校以外でも付き合いがあって、それで今回は卯月の思いつきで葉月の別荘に行ったわけなんだが、当日になって私は熱を出してしまってな。一緒に行けなかったんだ」


「それで、今度は別荘組が仲良く風邪をひいていると。なんか、弥生さん、残念ですね」


「残念っていうな」


「それで、葉月さんというのは、もしかして、あの有名なお姫様の大森葉月さんでしょうか?」


「そうだが」


「ということは、弥生さんはお姫様とプライベートでお付き合いが?」


「まあ別荘に招待されるくらいには」


本当は卯月に頼んでもらったからなんだが、それは伏せておこう。どうやら葉月の学校での地位はかなりのものらしいからな。本当のことをいうより都合が良いはずだ。


「では今度、お姫様に私を紹介してくれませんか?学校で見かけても親衛隊と筆頭騎士が常に周りにいて近付けなくて」


親衛隊?筆頭騎士?

なんかよく分からないが、葉月に合わせれば私が舐められないことだけは分かった。


「ああ、任せてくれ」


あとで卯月に頼もう。



昼休み。


「何故私の横に立つ?」


桜がまた私の横に来たものだから、理由を聞いた。


「何故って、話しやすいようにですが」


ああ、なるほど。

葉月に会わせてくれるということで、ゴマすりにきたのか。


「あの、宮野さん、呼ばれてますよ」


喋ったこともない同級生に言われて教室の出入口を見ると、紅がニコニコしながら立っていた。


「ちょっ、弥生さん、筆頭騎士ですよ!?筆頭騎士の紅さまですよ!?」


筆頭騎士って、葉月のぼっち仲間じゃないか。

まあここは桜に合わせよう。

しかし、紅は風邪をひいてなかったか。

もしや、馬鹿か?


立つのも面倒なので、紅を手招きして自分の席の前に呼び寄せる。

教室が若干ザワついたようだが、気にしないでおこう。


「どうしたの?わざわざ教室まできて」


「いや、一緒に昼食べようかと」


「飯くらい独りで食え」


「あ、そこのキミ、弥生の友達?良かったらなんだけどお昼一緒に食べてもいいかな?」


私の発言を一切無視して桜から崩していく作戦か。

まあ別に一緒に食べてもいいんだけど。


「は、はい!是非!」


こうして私、紅、桜という微妙に話が合わなそうなメンツで昼休みを過ごすことになった。


「で、葉月がさぁー......」


「すごいですね!」


「......で、葉月がね...」


「羨ましいです!」


「...そこで葉月の一言が...」


「それは驚きですね」



めっちゃ話が合った。私を除いて。


「弥生もなんか喋ろうよ」


「くっ、食ってる時は黙ってるタイプの人間なんだ」


話題に入ろうとしたけど葉月小噺を持ってなかっただけだ。


「それにしても紅って葉月好きだよな」


「ばっ!はっ?ンなわけねーし。葉月なんて全然好きでもなんでもねーし」


何故好きな人を当てられた男子中学生見たいな反応をするのか。


「そういや葉月、卯月と結婚するらしいな」


「ああ、別荘で聞いたよ。親を欺くための仮だって吉澤さんが言ってた」


「偽装なのか、じゃあ卯月の正妻は私で決まりだな」


「あの、弥生さん、それはどういうことですか?(正妻って、女×女じゃ...?)」


「どういうって、(生涯の)相方だよ」


「なるほど、(漫才の)相方ですか。普段から息ピッタリですもんね」


「そ、そう見える?具体的にどの辺が?」


「ノリですね」


「ノリ?」


私の反応を紅がニヤニヤしながら見ているのが気になる。


「紅、ニヤニヤしてどうしたの?イライラするからやめて欲しいんだが」


「あはは、ごめんごめん。なんか面白くてつい。私も二人はピッタリだと思うよ(漫才的なノリが)私はそろそろ自分の教室戻るね。桜ちゃんお邪魔しちゃってごめんね」


「いえ、こちらこそ楽しいお話をありがとうございました」





その後、南と弥生の一幕。


「なあ南、私と卯月がピッタリって紅と桜から言われたんだけど、南からみてどう?」


「......まあ、合ってると思う......」


「具体的にどこが?」


「......ノリ?...」


「またノリかぁ。ノリなぁ...。自分だとイマイチ分からないけどノリが合ってるのか、夫婦のノリが」


「......いや、漫才のノリだと思う...」


「は?漫才?」


「...卯月のボケにツッコミ入れたり...時にはボケ返したりが...息ピッタリ...」


「は...え?息ピッタリって、でも相方って...あ!漫才の相方か!」


「...残念ロリ...」





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