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葉月とティータイム

弥生との食事は十二時までかかってしまった。


普段ならこのまま昼食をとらずに過ごしてもいいのだが、またしても約束があるのだ。


とは言っても自分からお願いした手前、断りづらいので悩んでいる。


「もうお腹いっぱいなんだよね………オムライスとカレーで」





心なしか自分の顔面からカレーの匂いがする錯覚のようなものに囚われてしまっているので、このまますぐに昼食というのがかなり辛い。「からい」じゃなくて「つらい」ね、カレーだけに「からい」じゃないからね!




「あら、卯月さん。こんにちは」



「あ、葉月ー。こんにちはー」



「もしかしてもうお昼食べました?カレーの匂いがぷんぷんと……」



錯覚じゃなかった!

体臭がカレーってもう乙女じゃないよ!



「あはは、実はさっきまでカレーとオムライスを弥生ちゃんと食べてたからお昼はいらないかなーって……」



やっぱりだめ?




「弥生さんと、二人で?食べさせ合いでもしていたのですか?」



おふょ!?

こいつァなかなか勘が鋭い。

嘘は見破られる。



「いやぁ、ねぇ。こいつァアレでさぁ。わっちが弥生姫との密会に遅れちまいまして、それのお礼ってやつでさぁ」




「卯月さん、口調がおかしいどん」




おっとこいつァ失礼しやした。

オブラートに包むつもりが半紙に包んでしまったようだね。半紙じゃ食べられないしね、一本取られた。



「って、葉月も語尾がおかしいよ」




これで、話題がそれる。いや、それろぉ!




「ならお昼は無しで、ティータイムにしましょう」




「え、放課後?」



「いえ、食後ですけど」



あっはい。







葉月に連れられてカフェテラスにやってきた。

春らしい心地のいい風が吹き抜ける。



「卯月さん、紅茶でいいですか?」



「うん、大丈夫だよ」



「ダージリンですか?ダージリンはファーストフラッシュの良いものがありますよ」



え、ロイヤルストレートフラッシュ?

ちょっとポーカーはわからないなぁ。



「えっと、ダージリンってあれだよね。私が最初にいれてもらったのだよね」



「そういえばそうですね」



あれか、少し渋かったなぁ。



「今日は他のがいいかなぁ」



「でしたらニルギリのレモンティーなんてどうでしょう」



煮る切り?

煮るのか切るのか良く分からないけどレモンティーならいいかな。



「うん、レモンティーがいい」



「わかりました。吉澤さん、ニルギリのレモンティーをお願いします。あと適当なお菓子も」



「かしこまりました」



ぬお!なんか吉澤さんがにょきっと出てきた。

この人は一体どこで待機していたんだ………。




「葉月はいつもティータイムとかしているの?」




「そうですね、小さい頃からの習慣のようなものです」




小さい頃からティータイムって、それどこの英国人?




「すごいね、私なんて小さい頃のティータイムっていったらせんべいと緑茶だよ」



我ながらすごいババくさい。



「お待たせしました。ニルギリのレモンティーとクッキー、スコーンです」




「ありがとう。ではいただきましょう」




「う、うん」



どうしよう。

これってなに、先にレモンティーを飲むの?それともクッキー?

葉月はどう……………って、こっち見てるし。

うーん、自分の今までの経験を思い出してみればなんとかなるか。


ティータイム、せんべいを食べて喉が渇いたら緑茶を飲んでた。

だめだ、参考にならない。


うーん。


あ、ラーメン!


確かラーメンは先にスープを飲んでた気がする。

そう考えるとこの場合はレモンティー!

レモンティーが正解だ!



ゴクッ



「このレモンティー美味しい」



どうだ!




「それはよかったです」


もぐもぐもぐもぐ



あれ、なんか普通にクッキー食べてるよ。

なんかこうティータイムのルールみたいなものとかは無いの?

まあ無い方がいいんだけどね、考えてた私が恥ずかしいみたいな?まぁ、恥ずかしくないですけどぉ!?




「そういえばクッキーとビスケットって何が違うのかな?」



「そうですね………どちらも一緒だった気がしますね」



「日本だとクッキーとビスケットってほとんど一緒だよね」



うーん、わからない。



「ビスケットは元々フランス語で二度焼くから来ているものだったと記憶しています」




またしてもにょきっと吉澤さんが現れた。




「そうなんですか、クッキーとの違いってあるんですか?」



「そうですね、日本ではクッキーとビスケットは製菓の方でなにやら線引きがされているらしいですが食べる分にはあまり変わりないかと」





「アメリカではクッキー、イギリスではビスケットと呼ぶのを思い出しました」



吉澤さんに対抗してるのかな?

一応褒めとく?



「へぇ、葉月も物知りだね」



「ふふ、そんなことはないですよ」



「ちなみに、アメリカでいうビスケットは日本ではスコーンに近いものをさすようです」



ピキピキ



吉澤さんやめて!

葉月がピキピキいってるから!



「…………イギリスではそういう焼き菓子を総称してビスケットと呼ぶそうですよ」



ほ、褒めなきゃ。




「葉月すごい!初めて知ったよ!」



「ふふ、それはよかったです」




ふぅ、なんとかなった。




「じゃあ、スコーンでもたべようかなぁ」



「スコーンならジャムかメープルシロップをかけると美味しいですよ」



「じゃあ、メープルシロップにしよう」



スコーンにメープルシロップをかけて食べる。



「んー!美味しい、こんなお菓子滅多に食べないからすごく幸せ」



「あら、シロップが口に……」



口元についたシロップを葉月が指でとり、舐めた。



「ぺろっ……ふふ、甘いです」




「そうだね、シロップだもんね」



「次は直接………」



なんだかこの数時間で口元にすごい危険が………いや、気のせいか。

うん、気のせいだ。





「卯月さま、口元にジャムが、お拭きします」



ピキピキ







ティータイム。

吉澤さんには要注意しないといけないと思いました。


にわか知識なので間違っている可能性があります。


ごめんなさい。

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