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異世界じゃないよ?  作者: 乱読家
異世界じゃないよ?
17/30

<星の未来>


 一晩寝て少しは気持ちも整理できた。

 秀吉は犬小屋が気に入らなかったようでなぜか俺のベッドで一緒に寝ている。

 とりあえずなでる。


 昨日教えてもらった、今後の船の人工知能の予定としては、

 1.異星人が残したと思われるナノマシンの所為で異常動作している人類製のナノマシン(以降モンスターと呼称)を全て破壊する。

 ※人類文明代表が俺で、異星文明代表がナノマシンか!? 文明の対決!

 やりたくねぇ……

 2.それが達成され次第地表上のナノマシンは全て破壊し類似災害が発生しないようにする。

 3.地球化の完遂。


 こんな感じらしい。


 俺が手伝いを依頼されたのは「1」に関してのみ。


 実際には「2」のあと「3」が終わるまではまだ相当な時間がかかるそうなので「1」が終わった段階で俺は自由にしていいらしい。


 それと、さすがに素手であんなのを相手にする気は無いのでそれなりの装備を作ってもらった。


 攻撃を受けても大丈夫なように装甲服……装甲服……どう見ても着ぐるみです。はい。

 ……装甲服を作ってもらった! 見た目はテディベアだけどな!


 勿論秀吉用もある。


 あるんだが、犬が熊の着ぐるみを着るシュールさがなんとも。

 船の人工知能はどこかおかしい気がする。

 長旅で故障したのか?


      ◇     ◆     ◇


 船の人工知能(以降人工知能と呼ぶ。)の依頼を果たすため、モンスター討伐部隊を率いて、今俺は森の奥深くを進んでいる。


 俺の率いる部隊以外にも人工知能が率いるぬいぐるみ部隊が、山狩りでもするようにほぼ横一列に並んで互いの位置が見える状態で緩やかな輪を作ってこの輪で惑星を包み込むというとんでもない人海戦術(人じゃないけど)を実施中だ。


 今も他の部隊のぬいぐるみが少し離れた所でシルエットになって見えている。


 総動員数は……しらん(笑)


 まあ、船としてはモンスターの完全殲滅が目的なわけだし、静止軌道上から的確な指示が出せるからこういった戦術もありなんだろうけど、正直これだけの戦力があれば俺の活躍の場は無いと思うのだが。


 ただ、これまでは優勢だった殲滅作戦が、突然変異を起こして増殖数の跳ね上がった個体の為に現在進行形で破綻の可能性があるそうで、それの相手を俺にして欲しいとのことだ。


 人工知能の操るぬいぐるみ降下兵は単純な数の力押しは得意だそうだが個性に欠けていて、たとえるならRTSリアルタイムストラテジーで使用する単純な行動しか行わないユニットをきれいに整列させて行軍させているような状態だということだ。


 勿論接敵すればぬいぐるみ達も戦闘は行うのだが、あくまでも数的に優位な状態でなければ戦力としては不安だということらしい。


 がさり、がさりと下生えを踏み鳴らしながら自分のものとは思えない巨大な足を進める。

 部隊編制は俺と秀吉のほかは全てナノマシンをベースにした巨大なテディベアや動物達のぬいぐるみだ。


 物凄く緊張感に欠けるこの部隊だが、戦力は相当なものだ。

 俺の左右には自分が装着しているものと良く似たテディベアタイプの装甲服のシルエット。


 右側は秀吉の装着した四つんばい状態の少し小柄な……テディベアのように見える装甲服。かわい……くない。理由は後述。

 左側は俺よりは小柄な2m程の、これもまたテディベアタイプの装甲服(中身はナノマシン)。


 この個体は実は以前一度遭遇した空から降ってきたテディベアだったりする。

 あの時はほんと、助かりました、ありがとうございました。


 以降テディと呼ぶ。

 これ以外に後2体ぬいぐるみ降下兵を従えている。


 ちなみに俺以外の装備はみな接近戦用で、テディに関してはご存知の通り20cmの刃渡りを誇る10本の爪。


 そして秀吉は噛み付くのが得意なようなので……テディベアなのに牙が生えている。悪夢だ。口元が怖すぎる。

 残り二体のぬいぐるみ降下兵も似たような装備だ。たいして重要なことではないのでここでは割愛する。


 俺の武器は固体圧縮されたケースレスの肥料を高速で打ち出す電磁投射砲。

 しかも凶悪なことに、ホローポイント弾の一種であるダムダム弾と同じ構造を使用している。


 目標のモンスターを倒すためには総質量の30%以上を削りきらねばならないのでこういった工夫が必要になるのだ。


 まあ、接近戦なんて頼まれても出来そうにないし、今回の目的を考えると多数の敵を相手にして一方的に殲滅出来るだけの火力がないと正直心もとない。


 電磁投射砲から俺の背中に向かって繋がっている蛇腹は弾体供給用ベルトだ。

 背中には総数1万発を超える圧縮肥料(以降、弾と呼ぶ。)


 この弾は電磁加速で投射されるので、そのために若干だが鉄を含んでいる。


 初期加速速度はマッハ4、あまり初期加速をあげすぎると弾がプラズマ化してしまい、発射時にプラズマが噴出してしまうらしい。

 それに今回の弾の形状的にあまり高速で撃ち出すと目標に当たる前に空中で分解する恐れがあるのだ。


 弾に使っている鉄の供給源は、人工知能に聞いたところによると、降下艇が着陸している湖の真ん中に生えてた岩山で、あれは昔落下したこの星の衛星の核にあたる部分で豊富な金属元素を含んでいるそうだ。


 そのむき出しの鉱山とも言える資源を好きなだけ利用出来るのでこういった装備も簡単に調達できるというわけだ。


 逆に、昔の地球のように火薬式の武器や純粋な金属を撃ち出す兵器を使用してしまうと環境へ与えるストレスが高いということで船の人工知能が作成も使用も認めてくれないのだ。


 今のところこちらが抜けのないように追い立てている所為か、俺の前にモンスターはまだ姿を見せていない。

 静止軌道上から得られる情報では、順調に敵集団は一箇所へと集まって(集められて)いるようだ。


 逆に集めすぎて殲滅が不可能になったとか言わないでくれよ…。


      ◇     ◆     ◇


 一日二日で惑星を徒歩で歩きつくすのは現実的に不可能なので、実際にはこの装甲服と呼んでいるものは簡易的な住居としての機能も持たせてある。

 エアコン完備で、搭乗者が仮に寝ていても自動的に最低限の動作は行ってくれる優れものだ。


 食料に関してはこの星の豊かな自然が問題なく提供してくれている。

 ただ、俺は人間なので問題になるのはトイレだよなぁ……。


 それに身体も洗いたい。

 こういうときだけは、自分だけ不便だなと痛感する。


 秀吉の場合はもともと犬なのでしたいときに好きなようにしている。

 それにここでは糞の持ち帰りは求められていないしな。


 どっちかというと生物が栄養を惑星上に攪拌してくれるほうがありがたいそうで、放置推奨されてるくらいだ。


 行軍は俺の私的な理由でたまに止まる。

 どんな私的な理由かはここまでの内容から察しろ。


      ◇     ◆     ◇


 そうやって何ヶ月もかけて、少しずつ包囲を狭めながら、散発的な抵抗を排除しつつ、いよいよ大詰めの段階にやってきた。


 普通、物語なら主人公は弱いモンスターを相手に最初は苦戦して、努力や仲間との友情でそれを乗り越えて強くなるんだろうが、こちらには最初からコレ(電磁投射砲)がある。

 いうなれば、はじめから最強武器と最強の鎧を装備した状態だろう。


 これまで、散発的にしか遭遇しなかったモンスターが集まりすぎた(集められすぎた)所為で少し先にうじゃうじゃいるような状況になっている。

 集まったモンスターは大きさも形もてんでばらばらだがまるで生き物のように、追い立てられたことへ怒っているようにも感じる。


 ふと、疑問に思ってしまった。


 なぜ、機械的にしか動かないはずのモンスターが追い立てられたからといって逃げたのか?

 生存欲求? 自己保存本能? そんなものがナノマシンにあるのか?


 なにか大きな勘違いをしているんじゃないか?


 もしかしたら……


 そこまで考えた時、こちらが気をそらしていたことに気付いたのか、それとも一番でかい個体を狙っただけなのか、数匹のモンスターが恐ろしい勢いで俺に襲い掛かってきた。


 とっさにテディ達が盾になって防いでくれなければ危なかった。

 というか、多分死んでいた。


 そうだ、今は余計なことを考えて良いタイミングじゃない、生き残るために必死にならないといけないのは本来自分のほうだったはずだ。


 あの日森の中で初めてモンスターと出会った時に感じた死の足音を思い出せ。


 今だって、装備が強いだけで自分が強いわけじゃない。

 戦わなければ、死ぬのは自分だ。


      ◇     ◆     ◇


 そこからあとは電磁投射砲の弾がなくなるまでひたすら撃ち続けた。

 撃ち終った電磁投射砲をそれでも構えたまま、目の前の光景を眺める。


 あれほど居たモンスターはすでに居らず、その存在を証明する死骸も残さず構成素材に戻り今は地表に粉のような状態になってぶちまけられている。


 「ああ、終わったんだな」


 ほっとするのと一緒になにか寂寥感も感じる。

 確認したわけではないが、モンスターは多分生きていた。


 俺達と同じではないにしろ何らかの生命を感じた。

 あれは、ああいう形の生き物だったんだろう。


 だが、生存競争という苛烈なルールのもと殺しあった結果がこれだ。

 恨むなとは言わないがあきらめてくれ。


 状況によってはやられていたのはこちらだったかもしれないしな。

 すぐそばでこちらを見上げていた一寸怖い装甲服姿の秀吉をなでながらそんなことを考えていた。


      ◇     ◆     ◇


 あの戦いを最後に地表でのモンスターの活動は確認されていない。


 人工知能は現時点でモンスターの殲滅を状況から認めた。

 これに伴い俺への依頼も達成された。


 秀吉はその後、他にも再生されていた犬達と共に旅に出かけてしまった。

 俺が主人のつもりだったんだが、秀吉はどうやら情けなかった俺を今まで見守っていてくれたようだ。


 そして俺は今後の自分の生き方に関して考えていた。

 秀吉が一緒に居るならそのままのんびりすごすのもいいかと思っていたが、状況が変わってしまった。


 そして、考えていたことを人工知能に告げた。

 「人工冬眠しようと思う」


 そして俺は時間という旅をする。

 いつの日か文明を築き俺と会話が出来るくらい発展する種族が現れることを信じて。


 人工知能には、その時が来たら起こしてもらえるようお願いしておいた。

 そして俺は降下艇が作成した大気圏離脱カプセルで打ち上げてもらい、静止軌道上の船で眠ることにした。



@おしまい@

<星の未来>(後書き)

読了御疲れ様でした。


後日気になった部分の修正が入るかもしれませんが、入らないかもしれません。

どっちだ!


なんというか低空飛行のまま着地したような盛り上がりのない話でしたが文才ないのでこれで精一杯でしょう( ̄ー ̄)ドヤッ


人間が再生された所為で宇宙船にとっては余計な手間が発生してしまったかもしれませんが諦めてもらいましょう。

新しい地球に幸あれ。


それでは、さようならー


ナノマシンの性

 ナノマシンの所為

星未来

 星の未来

とりあえず、

 昨日教えてもらった

秀吉は犬小屋は

 秀吉は犬小屋が

へ修正しました。御指摘感謝(後書きもコッソリ修正


はい、そしておまちかね(?)大幅加筆と修正を入れましたよー。

というのもですね、実はネットでこのような書き込みを発見してしまい(´・ω・`)


>地球人類滅亡の危機→新しい地球を作るために宇宙船を打ち上げる→新地球開発開始

>みたいな話。終わりがなんだかスッキリしないけど、これからに期待ってレベルには至ってる。


だそうなので、すっきりさせてあげたいなー。と一寸考えてみました。

ご満足いただければうれしいですね。

ではではー。


一列に

 横一列に

増殖中だそうで

 破綻の可能性があるそうで

弾に使っている鉄の供給源は人工知能に聞いたところによると、降下艇が着陸している湖の真ん中に生えてた岩山は昔落下したこの星の衛星の核にあたる場所で豊富な金属元素を含んでいるそうだ。


 弾に使っている鉄の供給源は、人工知能に聞いたところによると、降下艇が着陸している湖の真ん中に生えてた岩山で、あれは昔落下したこの星の衛星の核にあたる部分で豊富な金属元素を含んでいるそうだ。


集まっているようだ。

 集まって(集められて)いるようだ。

住居としての昨日も持たせてある。

 住居としての機能も持たせてある。

(集められすぎた)性で

 (集められすぎた)所為で

そこまで考えた時、こちらが気をそらしていたことに気付いたのか数匹のモンスターが恐ろしい勢いで俺に襲い掛かってきた。

 そこまで考えた時、こちらが気をそらしていたことに気付いたのか、それとも一番でかい個体を狙っただけなのか、数匹のモンスターが恐ろしい勢いで俺に襲い掛かってきた。

始めて

 初めて

テディベアやぬいぐるみだ。

 テディベアや動物達のぬいぐるみだ。

4つんばい

 四つんばい

純粋な金属を打ち出す

 純粋な金属を撃ち出す

人口冬眠

 人工冬眠

に修正。

句読点の位置を調整。

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