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モニター  作者: 倉名依都
15/17

15.行こう、千人とともに

 

 契約の最終日、反町美希は眠っているうちにオランダのホテルに戻された。ホテルには来た時と同じ女性が訪れてスキポール空港まで連れて行ってくれ、チケットを渡されてビジネスクラスでフライト、成田に着いた。成田でも迎えが来て、それにはPAのスタッフが同乗していた。


「反町さん、お帰りなさい。無事な姿をみて、本当に安心しました」

「ありがとうございます」

「体は大丈夫ですか、問題はありませんか?」

「いたって健康ですよ、待遇は悪くありませんでした。

 安全に二年間務めさせていただき、雇用主からは役に立ったとお墨付きを戴きました」

「ああ、それはもう、何よりのことでした」


 美希は、二年間の報酬二億円が振り込まれているのを確認、アイザックに教えられたツイン・タワー・マンション、セレシオン成島に賃貸の部屋を探して入居した。

 これからセレシオン・ピープルが行く先を知っているのは、地球上でただ美希ひとり。


 手動式の洗濯機、災害用濾過式浄水機、フリーズド・ドライの各種食品、サバイバル系統の書籍など、思いつく物を買い込み、ベランダには植木鉢を並べて各種ハーブやトウモロコシを植えた。念のために、通信販売で稲の育成ポットも小学校のひとクラス分くらい買い込んで、万一移住者がどうしようもなく行き詰った時に備えた。



 アイザックからはモニター全員でできうる限りの援助を引き出した。間違いなく専門家と専門家に対する初期援助を準備してくれているとは思うが。文明に慣れ、一人当たり平均の食料生産量が機械に依存するようになり、人口が爆発的に増えた後に生まれた、すでに動物というのも難しくなりかけている人類が再び未開の地に置かれ、自分自身の食料を自分で生産できるようになるのか。


 美希には、それは不可能に思えた。


 知らない星で再び現代にいたる文明を築くとか、気が狂っているとしか思えない。だが。

 無力で放置されるわけではない。人類はしぶとい生命体だ。アフリカ大陸の小さな谷から、何万世代をも生き継いで、海を渡り、空気すら薄いというのに高地を征服し、熱帯から寒帯まであまねく惑星の隅々まで居住域を拡大した。ついには、他の知的生命体からの援助なく、自力で衛星・月まで到達したではないか。


 普通、突然環境の違う場所に移された生物が、初期数千なら、どんな生物でも大概全滅するだろう。でもすぐに追いかけて移住者が来て、最終的には一千万になるという。地球大の惑星なら、生き残れるかもしれない。おそらく、第一世代は大変な苦労をするだろうが。


 だが、その惑星の生活しか知らない第三世代ならば。


 アイザックが予告した五月の連休、美希は遺影を抱きしめて母の墓を訪れた。

「おかあさん、私、美輝星に行くのよ。大丈夫、ひとりじゃないから。着いたらすぐにベランダから外を見せてあげる。 応援してね。おかあさん、大好きだよ」


 “セレシオン”選ばれた人々、か。

 アイザックはこのツイン・タワー・マンションを名前で選んだわけじゃないだろうけれど、皮肉なことになっちゃったわね。彼らは、いや私たちは新しい文明の始祖になりに行くのだもの。


 明日の朝四時。美希はセレシオン成島に住むおよそ千人の人々とともに太陽系外惑星に行く。

 神の護りあらんことを、いや、どの神が太陽系外までついて来てくれるというのだ。 

 頼りにするのがアイザックだってところが。確かに少々不安ではある、あるのだが、第三世代が成熟し、第四世代が生まれるころにはきっと。


 人類はきっとやり遂げる。 I believe.



 Do YOU want to be selected?

 Granite


「モニター」は、ここで終わりです


本作は、本来は三章+叙事詩一篇で構成されていたもので

「モニター」はその第一章に当たります


第二章は、理不尽に異星に飛ばされたおよそ1,000人の日本人集団が生きていく、すごーく登場人物が多いお話で、これは来月、アップします

ただいま“なろうバージョン”として構成変更中デス


第三章が、アマネとサクヤのお話で、ここでようやく全体像が判明するように作ってありました

ですが、「モニター」第五話のあとがきで述べたように、この部分に“次元転移”と“量子力学的転移”が混在してしまい、お話自体がSFとして崩壊状態になりました


第三章に続く最終部分が、500年に渡って地球と10の移民星を見守り支援してきたアイザックが、天の川銀河に別れを告げ、次のプログラムを担当しに去っていく際に、アイザックを見送る地球側の責任者が静止衛星で唱い上げる叙事詩


という構成になっていました





そもそも、このお話構成を思いついたのは、「シロクマを絶滅の危機から救おう」という、TVのプロパガンダを見ていた時でした。まだコロナで外出自粛してた頃だったかな~


倉名の意見は、

シロクマは、ヒグマとの共通の祖先から分かれた熊種で(およそ15万2,500万年前、遺伝子解析でわかる)、現在でも混血が可能な程度にしか分岐していないのに、シロクマが絶滅? 姿は変わる(白じゃなくなる)かもしれないけど、種の絶滅はちょっとないんじゃないかな~、むしろ混血して、新種が発生するかもね、(と思って調べたら、実際すでに混血しているらしい。毛色は茶色とのこと)

という感じだったのです



現に、ロットネスト海進、日本語名を平安海進と呼ばれる惑星全体が温暖な気候の時期、およそ西暦1100年代頃は、海面は現在より平均50cm高かったと推定されています

つまり、北極海の海氷は今より相当溶けていた、ということですね


他にも海進は何度もありました、それには地質学的証拠が多数あるようです

平安海進に関しては、平安時代の古文書、和名類聚集わみょうるいじゅしゅう二十巻本の12.國群部、も海面50cm上昇説を裏付ける文書証拠として挙げられています


それでもシロクマはすでに15万年以上生き延びているよね


シロクマにとって、人類が指定する絶滅危惧種とか、シロクマの視点から見れば大きなお世話じゃないのかな? というところからスタートし、


じゃあ、シロクマを人類に、人類をエネルギー生命体・地球外知性体にと立場を交換して考えれば

人類よりムチャクチャ高度な知識と技術を持つ知性体が、今の地球を観察して、「うーむ、あと300年位でヒト種は絶滅するかなー」とか思いつくとかもありじゃないかな~


そうしたら、誰かが、“肉体を持つ知的生命体”でありながらも、”自力で衛星(月)に到達した希少種“(真空と無重力を科学と技術で克服する離れ業を披露した集合生命体的な?)を保護しなくちゃなんない、とか考えるかも~

生き延びればいつか自力で星系外に出るかもしれない、勿体ない、とかね、いや、地球外生命体に“もったいない”なんて割と日本的な概念なんてあるかどうか不明だけど~


で、仮に、そういうおせっかい地球外生命が存在したとして

ムチャクチャ技術と演算能力は高いけど、イマイチ感情というものが理解できない生命体が

ヒト種の保護という名目で人類を異星に移動させたとしたら

“保護・救済”された人はうれしいかな?

という思考過程をたどって、基礎設計ができあがりました




さて

なろうピープルならきっとアマネとサクヤの出会いと関係性を気にしてくれるだろうと思います

なんてったって、地球の日本女性と太陽系外生命体の出会いですからね!

そこで、まず「モニター」を作り直し、強制移民に至るアイザック側の事情を入れ込み

さらに、第三章をすごく短く作り直して、二話分にまとめました

明日、その二話を投稿します、よろしくです


長い説明をお読みくださり、ありがとうです!

11月には、惑星・美輝に飛ばされた日本人1,000人をどうぞ応援してやってくださいませ

倉名


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