はじまり様物語
私の作品の世界の最も位の高い神様のお話と、少しだけ世界の歴史を。他の作品を読む際のうっすらとした参考になればと思います。
星は道標 はるか彼方から行く先を示し
太陽は恵み 暖かな光は大地を富ませる
風は誰かのつぶやきをのせて
雨は誰かの涙を隠し
木陰は旅をする鳥を休ませる
これは、世界を創った神様のお話
はじまり様の物語
どこまでも闇が広がっていた空間に、はじまり様はいた。
彼は何を思ったのか、その空間に生命を抱く星を創った。
その星に、植物を生やした。
その星に、数多の生命を生み出した。
そして、その星が自立できるように昼を司る神と夜を司る神を創った。
その二柱は少し抜けたところのあるはじまり様に代わり、一柱の神を作った。理を司る神である。
彼を作るときに溢れた力は、数多の神々を生み出し、そして星を守るように包みこんだ。
はじまり様は星の生命の全てを愛した。
だが特に、他の種族とは違い、自ら居場所を作ろうとする人にとても興味が湧いた。
彼は緑の芽吹く大地に降り立ち、人々の生活を近くで観察した。
そんな彼を人々は温かく迎え入れ、そして彼を崇拝した。
そんな時代がいつまでも続けばよかったが、そんなことはなかった。
彼を神として崇拝していた当時の人々が亡くなり、彼が居るのが当たり前となった人間は、彼を神とは信じなかった。
そして、信仰してくれる人がいなくなったことにより、はじまり様は少しだけ力が無くなった。
それは、彼を妬む神々にとても都合が良かった。
創造主を妬む神たちは集い、彼を拘束するための強力な呪いを作った。
はじまり様から言わせてみればそれはあまり脅威でも無いし、出ようと思えばいつでも出れるのだが、わざわざ出る必要も無いので、その中にいることを受け入れた。
そうして人々は完全に彼の存在を忘れていった。
はじまり様は、どこまでも見通すことのできる瞳で、密かに人々を観察し続けた。
あるとき、人々は同じ種族であるにも関わらず殺し合いを始めてしまい、やがて大地が枯れ、瘴気に溢れた。
その瘴気が心地よかったのか、そこには瘴気を好む魔族達が、住み始めた。
その地を惜しんで、人びとは何も起こるはずがないのに大地を人柱で癒そうとした。
贄にされた4種族の少年少女は、偶然膨大な魔力を秘めており、その魔力が大地を癒すという奇跡が起こった。
あるときは、星の歴史を刻む大図書館が作られた。
あるときは⋯、他の星から召喚された人間が勇者として魔族を滅ぼそうとしたので流石に少し焦った。
はじまり様は、星を観察し続けた。
そして、これからもきっと星を観察し続ける。
彼は生命を愛しているから。
ここまで読んでいただきありがとうございます。