表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
可愛い双子の子育てと契約妻は今日で終了予定です【書籍化決定】  作者: 氷雨そら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/70

王立学園と助手 3


 メリッサは、ラランテスの研究室にたどり着いていた。

 ラランテスが出迎えてくれる。機嫌が良いようだ。


「あの……ますます高価なものばかりになっていませんか?」

「ロイフォルト伯爵に礼として貰ったものだ。彼が直接手に入れたのだから、貴重すぎて値段はつけようがない」

「……」

「値段がつかないということは、値段などないに等しい」

「……同意できかねます」


 ――紫色の溶液の中で泳ぐ金色の魚。

 以前からラランテスの研究室にいる魚だが、銀色の魚が増えている。


 魚もフェリオが捕まえてきたというのか。


 先日見た、今にも切れそうな七色の蜘蛛の巣。そこに真珠のような丸いものがいくつもくっついている。

 卵なのかと目をこらしてみたが、どう見ても宝石のようだ。


「ああ……そちらは宝石蜘蛛の作ったスパイダーパールだよ。人工的飼育で作るのに成功したのは私が初めてだろう」

「宝石……なのですか?」

「そこにいる蜘蛛は魔獣の一種だ。体内の魔力を蜘蛛の糸と練りあわせて宝石にするのさ」

「まあ……!」

「宝石としての価値も高いが、どちらかといえば魔道具の動力源として優れている」


 メリッサは興味深げに研究室内を見渡した。ルードとリアは普段は大人しいが……子ども連れでは何かを壊してしまうかもと落ち着かなかった。


「この糸は案外丈夫でね」


 ラランテスが蜘蛛の巣の一部を引っ張り糸を引き出した。虹色の糸がスルスルと引き出される。


 ラランテスはさらにスパイダーパールを一つとり、机の上で穴を空けた。

 魔道具を扱う彼は、とても器用なのだろう。


「ほら、一つ差し上げよう」


 ラランテスはスパイダーパールに空けた穴に虹色の糸を通す。

 あっという間に完成したペンダントは世にも美しい。


 しかし、ラランテスが近づいてメリッサの首にかけようとしたときだった。

 研究室に小さな旋風が起こる。

 小さな魔石が一つが飛んできて、ラランテスの手にコツンッと当たった。


「……別に他意はないのだがなぁ」


 ラランテスはため息をつくと、糸を束ねてネックレスをメリッサの手に握らせた。


「大事にしたまえよ……」

「綺麗です」

「これはちゃんと値段がつけられる程度の安物だ。王都に小さな家なら建つ程度の」

「えぇっ!?」


 ラランテスが悪戯っぽく笑う。

 冗談か本当か判別できない。

 メリッサは返そうとしたが……。


「貰っておけば良いのです。そして慌てた旦那様にもっと価値あるものを贈ってもらうのです」

「奥様を助手にするのにそれっぽっちでは足りませんわ……これ以上の物を贈るのも許しませんけれど」


 ひそひそ話であったが、間違いなくマーサとメアリーの声であろう。

 研究室の天井裏にも潜む場所があるのだろうか。

 彼女たちの実力は、やはり底が知れない。


「ふーむ。魔道具でセキュリティは完璧にしたつもりだが、まだまだ一流には敵わないか」


 ラランテスは考え込みながら奥に置かれた机の前に座った。

 机の上に乱雑に積み重ねられた書類。

 そこには魔道具の設計図らしきものが多数書かれているが……。


 ラランテスは新たな魔道具について考え始めてしまった。

 彼は机の上を片付けるつもりはないのだろうか。


 助手の初めての仕事は研究室の掃除と整理であろう。

 メリッサはそう決めて、貴重品を壊さないように気をつけながら、部屋の片付けを開始するのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ