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可愛い双子の子育てと契約妻は今日で終了予定です【書籍化決定】  作者: 氷雨そら


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双子と王立学園 2


「おかえりなさいませ、フェリオさ……」

「「おかえりなさい!! お父さま!!」」


 出迎えようとしたメリッサを追い越して、双子がボールを追いかける子犬みたいに、フェリオに飛びついた。


「ルード、リア、ただいま」


 フェリオはひとまず双子を抱きとめて、それからメリッサに金色の目を向けた。


「ただいま、メリッサ」

「おかえりなさいませ、フェリオ様」


 二人は微笑み合う。

 フェリオがルードとリアを抱えて立ち上がった。


「「お父さま、その箱なぁに?」」


 双子の視線はフェリオが握っている可愛いラッピングの小箱に釘付けだ。

 箱は二つ、一つは金色のリボン、もう一つには黒いリボンが結ばれている。


「金色はわかる気がしますが黒いリボン?」

「間違えると大変だから、色分けしてあるそうだ」


 フェリオはそう言いながら、ルードに金色のリボンの箱、リアに黒いリボンの箱を差し出した。


「ラランテスから、君たちへの入学祝いだそうだ」

「「ラランテス先生から!」」


 二人は目を輝かせて、箱を受け取った。


「「開けてもいい?」」

「――ああ、とりあえず図書室に行くか」

「……」


 家族で話をするときには、日当たりのいいモーニングルームで集うことが多い。

 フェリオがわざわざ図書室を選択したということは、深刻な話なのだろう……。


「ねえ、ルード。何が入っていると思う?」

「うーん、箱が小さいしそんなに重くないよ?」


 メリッサは緊張したが、ルードとリアの注意は贈り物の中身に向けられているようだ。

 四人は一緒に図書室に移動した。


 * * *


 図書室は静まり返っていた。

 魔道具のランプに灯が灯されると、室内は明るく照らされた。


「……まずは開けてみなさい」

「「わーい!!」」


 ルードとリアは、早速リボンを解いて包み紙を丁寧に開けた。

 中から出てきた箱を開けると、そこにはペンダントが収められていた。


 二つのペンダントは、純金製のようだ。

 ロケット型のペンダントの表面には、杖に絡まる水とつる薔薇……ロイフォルト家の紋章が刻まれている。


「普通のペンダントですね?」


 メリッサはペンダントを見て首を傾げた。

 しかし、開けられた箱の内側には、魔法陣が描かれていて物々しい。

 ラランテスのことだ、このペンダントを贈ってくれたことにも、何か理由があるのだろう。


「開けられるみたいだよ!」

「どうやって開けるのかな?」


 ロケットペンダントは、留め具を爪で引き上げると開く仕組みだが、子どもの力で開けるのは難しいようだ。

 メリッサが手伝うと、カチャリと音を立ててロケットペンダントは開いた。

 中には、魔法陣が刻まれた宝石が嵌め込まれている。


「「わあ……かっこいい!」」

「――闇の魔石と光の魔石ですね」


 それは以前、ラランテスにフェリオとメリッサが渡した魔石だった。

 魔法陣はあまりに細かくて、回路のように入り組んでいる。

 三年間、ラランテスに魔術や魔道具について習ってきたメリッサだが、どういう内容の魔法陣なのかさっぱり理解できなかった。


 だが、フェリオは違うようだ。

 真剣な表情で、魔石に刻まれた魔法陣を確認している。


「……なるほどな」

「どんな魔法陣だったのですか?」

「俺も見たことがない……だが、魔力を抑える効果があるようだ。ルード、リア、早速首から掛けてみなさい」

「「うん!」」


 闇の魔石はルード、光の魔石はリア用のようだ。

 二人はそれぞれペンダントを首にかけた。


「あれ? ちょっとだけ体が重くなったよ」

「ほんとだ、なんでだろうね?」


 二人は至近距離で見つめ合い、不思議そうに首を傾げた。

 

「ねえ、リアの闇の魔力が感じられなくなっちゃった」

「うん、ルードの光の魔力も感じられないよ?」


 二人は不思議そうにお互いを見つめている。

 魔力を持たないメリッサには、魔力の変化がわからないが、双子にはわかるようだ。


「……フェリオ様?」


 フェリオまで、真剣な表情で双子のことを見つめている。


「本当に……消えている」

「魔力が消えてしまったのですか?」

「ああ、闇と光属性の魔力だけきれいさっぱり消えている。ラランテスの研究は、成功したようだな」


 通常、魔力の属性は、本人が魔法を披露するか、特別な魔道具を使って調べない限りわからない。

 しかし、ルードとリア、そしてフェリオは魔力の属性を感じ取ることができるようだ。


「……王立学園入学時には、安全のため、そして王家への報告のために魔力が測定される。そこでは魔力量だけでなく、属性も調べられるのだが……周囲に広く知られてしまう」


 魔力が全くないことがわかったとき、メリッサに向けられた視線は侮蔑、憐憫様々だった。

 メリッサの両親や弟妹はそのことで彼女を差別したり見下すことはなかったが……。


 ルードは土と火と光属性、リアは水と風と闇属性を持っている。

 二人合わせれば全属性を使えるが、特に珍しい光と闇属性があることが知れ渡れば、平穏な生活はできなくなることだろう。


「これならば……光と闇属性を隠すことができるだろう」

「でも、結果を謀るなど許されるのですか?」

「――二人の属性については陛下に報告済みだ。問題なかろう……あとは、学園長だな」

「学園長、ですか……」

「それは、こちらで検討しておこう。そうだ、ラランテスから三人に手紙を預かっている」


 フェリオが三通の手紙を差し出した。

 ルードとリア、そしてメリッサはその手紙を受け取った。



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