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取り巻き令嬢たちのメタモルフォーゼ

取り巻き令嬢コレットの冒険と幸せ

作者: 城壁ミラノ

 あぁ、たいへん、たいへんですわ〜!


 次のダンスパーティーまでに、お相手を見つけなければいけませんわ!


 とりまきの一人として、いつものように令嬢たちと並んで。

 とりまいた男の人や、パーティーにいる男の人が、お声をかけてくれるのを待っていればいいと思っていたら。


「今度のパーティーは自分から、お相手を探して見ませんか?」


 とりまき令嬢の一人がそういって、


「そうしましょう〜」

「そうしましょう〜」


 みんな、笑顔で楽しそうにいうから。


「そうしましょう〜」


 わたくしも笑顔でいっていましたわ。


「では、今度のパーティーでお会いしましょう〜」


 手を振って、パーティーから帰ったら。


 一人になって、不安になってしまいましたわ。


 とりまきの輪の中から出て。


 一人で歩くのも冒険なのに。


 ダンスのお相手を探すなんて。



 大冒険ですわ〜!!



 どこを探したらいいのでしょう?


 ダンスをする貴族の男の人がいるところ?


 ダンスというと、ドレス。

 服屋さんに行ってみましょう!



 ショーウィンドウにはキラキラのドレスとスーツ。


「キレイですわ〜」


 キラキラした瞳で見つめてから。


 お店に入ると、たくさんのキラキラした服たち。

 お客さんもキレイな女の人がたくさん。

 男の人もいるけれど、女の人と一緒。


 きっと、ダンスのお相手ですわね……


 一人でスーツを探している男の人が、いてくれたらいいのですけど。


 ダンスのお相手がまだいないかもしれませんもの。


 ドレスとスーツと一緒に、お相手も見つかれば幸せ!


 ダンスパーティーで着たいドレスは見つかりましたわ。

 白いレースとリボンのついたピンクのドレス。

 可愛いですわ〜!

 これを着て、ステキなスーツを着た人とダンスを。

 夢は広がっていきますが、叶えられないまま。


 服屋さんを出て、次はどこを探しましょう?

 ダンスパーティーというと、ダンスのための靴!

 靴屋さんに行きましょう〜


 ショーウィンドウには、ピカピカの靴たち。

 お店に入ると、ダンスのための靴が並んでいますわ。

 小さな宝石が散りばめられて、キラキラ光る靴。

 足首にリボンを結ぶ靴は、脱げなくていいかも。

 どれにしましょう〜!


 選んでくれる、お相手がいてくれたら。


 ここにも、男の人はいるけれど女の人と一緒。

 わたくしみたいに一人で、お相手を探している人はいないみたい。

 わたくしみたいに、キョロキョロしている男の人がいてくれたら。

 目と目が合って、笑顔になって、ダンスのお相手になってくれたら。


 見つからないまま、靴も決められないまま。


 次はどこを探しましょう?


 ダンスパーティーというと、ダンス!

 ダンスの練習をするために教室に行きましょう〜


 町の中にある、貴族のためのダンス教室。

 たくさんの人が練習してる。とても上手にワルツを練習する人たち、先生に手とり足とり教えていただいている人たち。

 わたくしは手とり足とりの中に入りましょう〜!


「いいですか、お相手の顔をみたまま、動きにあわせてください。転ばないように、いちに、いちに」


 いちに、いちに、ステップを少しづつですわ。


「ワルツはリードとフォローが大事です。リードの人がダンスしやすいようにみちびいて、フォローの人があわせます。息ぴったりを目指しましょう」


 先生の上手なリードに、わたくしのフォローは?


「お上手です!」


 褒めていただけましたわ〜!


 夢中で練習しているうちに、足のステップが早くなって、クルクル回っていて。

 楽しくなってきましたわ〜!


「次は、お相手と練習しましょう」


 お相手?


 キラキラした瞳の、優しい笑顔の、カッコイイ男の人が、わたくしの練習の、お相手になってくださるようですわ。


「レオン•スノウという者です。よろしく、お願いいたします」

「コレット•フローラですわ。よろしく、お願いいたします〜」


 笑顔でおじぎして、練習スタートですわ!


 右手をとりあって、左手はお相手の肩において。

 お顔をみたまま、ステップ、ステップ。

 レオンさまの上手なリードに、わたくしのフォロー。


 息ぴったりですわね。


 ステップもかろやかに、クルクル〜


 楽しいですわ〜!


 本当に、ステキな人。


 ここが、ダンスパーティーに思えてきましたわ。


 本当の、ダンスパーティーのお相手になってくれたら……


 胸がドキドキしてきて、何も言えなくなって。

 お誘いできないまま、練習はおしまい。


「ありがとうございました」

「ありがとうございました〜」


 笑顔で、お別れして。


 家に帰ったら、不安になってきましたわ。

 せっかく、お相手を見つけたのに。

 それは、わたくしの心の中だけのこと。

 レオン•スノウ伯爵さまの心の中には?

 わたくしではない、お相手がいるかもしれませんわ。


 せめて、レオンさまとダンスをしている夢を見ながら……

 眠りましょう〜……



 さて、今日もダンス教室ですわ。

 道のとちゅうに、服屋さんに通りかかって。

 ショーウィンドウのドレスを眺めましょう〜


「キレイですわぁ」


 わたくしの着たいドレスは?

 売れてしまってないか見ておきましょうかしら?

 お店の中に入ると、


「あら?」


 レオン•スノウ伯爵さまがスーツを選んでいますわ。


 一人で。


 目があうと、


「こんにちは。コレット•フローラさま」

「こんにちは〜、レオン•スノウ伯爵さま」


 笑顔で、ごあいさつ。


「コレットさまは、ダンスパーティーに着ていくドレスを買いにきたのですか?」

「はい〜、ちょっと見てみようかしらって。レオンさまも?」

「はい。どれにしようか決められずにいるんです」


 黒いスーツも、白いスーツも、青いスーツも。


「どれも、お似合いですわ〜」

「ありがとうございます」

「これも、こちらも。決められませんわね〜」


 わたくしまで決められなくて。

 レオンさまは、おかしそうに笑っていますわ。


「わたしのはあとにして。コレットさまはどれにするのですか?」

「わたくしは、ピンクのドレス……」


 マネキンがまだ着てくれてましたわ。


「これですわ〜!」

「コレットさまに、とてもよくお似合いです」

「ありがとうございます〜!」


 うきうき笑顔のわたくしとは反対にレオンさまは、まじめな顔になっていますわ。


「コレットさま」

「なんでしょう?」

「ダンスのお相手は、もういますか?」

「いいえ〜! まだですの〜! レオンさまは?」


 ドキドキですわ。


「わたしもまだ見つかっていません」

「そうですの……」


 レオンさまのようにステキな人が、まだ一人なんて。


「遠い町から来たばかりでして」

「そうでしたの〜!」


 今まで、レオンさまに気づかなかったのも。

 そのせいでしたのね。


「知らない町をウロウロしながら、ダンスのお相手を探していたところです」

「レオンさまも〜!?」

「えっ?」

「わたくしもですの〜、ダンスのお相手を探して服屋さんや靴屋さんやダンス教室をウロウロしていましたの」

「コレットさまもでしたか!」


 びっくりした気持ちと嬉しい気持ちで、私たちは笑顔になりましたわ。


「一人で冒険している気分でしたの〜。知らない町に来たレオンさまのほうが大冒険ですわね〜!」

「大冒険。そうですね。冒険する気持ちで町まで来ました」

「冒険仲間に会えた喜びでいっぱいですわ〜!」

「あなたに会えて、冒険してよかったです!」

「わたくしもですわ〜!」


 笑いあっていると、レオンさまが片手をさしだしてきました。


「コレットさま。どうか、ダンスパーティーで、お相手になっていただけませんか?」


 ダンスパーティーのお相手!


 わたくしが、レオンさまの。


「もちろんですわ〜!」


 理想通りの、探していた人が見つかりましたわ。


 レオンさまの手に手をのせて。


「喜んで」


 答えると、手からドキドキが伝わっていきますわ。


 レオンさまのドキドキも伝わってきますわ。


「ありがとうございます。コレットさま」

「こちらこそ、ありがとうございます。レオンさま〜」


 嬉しくて、ダンスしたくなりますわ〜!


「そのドレスに似合う、わたしのスーツも一緒に選んでいただけますか?」

「もちろんですわ〜」


 さわやかな冒険者、レオンさまに似合うのは。


 晴れわたる空色のスーツ!


 わたくしのピンクのドレスとも、お似合いですわ。


「そうですわ! 次は、靴を一緒に選んでいただけますか?」

「もちろんです」


 靴屋さんに入って、ダンスの靴たちのもとへ。


「こちらとこちら、どちらがよろしいかしら〜?」

「そうですね……」

「リボンで結ぶほうが、脱げなくていいんじゃないかと思っていますの〜」

「それは、その通りですね」


 宝石の靴とリボンの靴。


 わたくしの足元に置いて、レオンさまは真剣なお顔で見くらべていますわ。


「わたしが転ばないように、やさしくリードします。だから、宝石がついた靴にしてはいかがでしょう? キレイに光り輝いていて、とてもお似合いですよ」


 宝石を散りばめた靴が、わたくしにお似合い!?


「ありがとうございます〜! こちらにしますわ!」


 この靴は、一生の宝物にしましょう〜


 キラキラのドレスを着てキラキラの靴をはいて。

 もっと、キラキラしているダンスのお相手と一緒に。

 冒険の末に無事、お城のダンスパーティーへ。

 お相手と一緒の、とりまき令嬢たちの中に戻って。

 楽しくやさしいダンスを、いつまでも。


 めでたし、めでたし。ですわ〜〜!

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