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探求者ロジタールの苦悩  作者: 石たたき
第一章 封印された男
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第23話 新たな方向性

「今日は襲って来ないのか?」


 男はどことなく気力がない。


「まあ、な。そちらこそ、俺を排除しないのか?」


「俺の方はもともと敵視していない。前回は襲われたから防衛したまでだ」


「……それもそうか、そうだったな」


 やはり変だ。男は覇気もなく、むしろ意気消沈といった具合だ。


「何かあったのか? 今日は一人なのか?」


「ああ、俺だけだ」


「奥で話を聞こうか」


 無下に追い返すのも気が引ける。男は何とも返事をしなかったが、俺の後を付いて部屋までやって来た。そこでおもむろに椅子に腰を掛け、小さく声を漏らす。


「……飲み物はないのか?」


「あ、ああ、すぐに用意しよう」


 読めない奴だ。俺は適当な飲み物を用意して、再び部屋に戻る。


「マダイの国、だったな」


「ああ、俺の名前はフィッシャー。この前の二人はガルンとソール。知っていると思うが、あんたの命を狙った」


「それがどうして、たった一人でこんな所に戻って来たんだ」


「今後の先の身の振り方を考えている。前回のあんたの態度を見て、ちょっと不信を覚えてね」


「国に対してか?」


「まあ、な。他にも色々とあるが……」


 この男、前回と異なるのはこれだけではない。前回は何というか、ちょっと戦隊モノのノリだったが、それが今や全く普通、顔も相まって、ガタイの良いイケメンの部類となってしまった。


「正直、俺としてはありがたいが」


 漏らすべき言葉でないかも知れないが、疑いようのない我が本音だ。誤解で命を狙われて面白いはずがない。


「今回はその件で、少しあんたの話を聞きに来た」


 これは嬉しい誤算だ。マダイの国の者達、それこそ俺を完全に敵とみなしていた唯一の勢力。その姿勢が軟化したことは素直に喜ばしい。


 加えて、俺は彼らの王子が封印されていというのが気になっていた。王子とやらの封印を解く為に、俺を倒す必要がある、という話だ。


 そして最後にツァルキーアの言葉。この屋敷を抜けて外に出られるのが一度だけとなれば、 正直な所、既に答えは決まっているようなものだ。


「詳しく聞こうか」


「前にも言ったかと思うが、我が国の王子は、この不気味な屋敷に住み着いた悪魔の化身により呪われ、封印されてしまったとされている」


「されている?」


「ああ、王女の名の元、国内にお触れが出ているんだ」


「王女様ねえ」


「どうかしたか?」


「いや、その王女様は、何を根拠にそのようなことを言ったのか、と思ってね。一つ尋ねたい。もしこの先、王子が封印されたままであれば、王女が国を継ぐなどということがあるか?」


「ああ、そうなるだろうな」


 どろどろなドラマなんかで聞きそうな設定だ。王女の裏に怪しい奴がいて、もしくは継母だったりで、権力抗争がある。それしかない!


「なるほど、話は見えた!」


「なに、本当か!?」


「恐らく、裏で糸を引いている奴がいる。その者を探し出し、俺が自身の潔白を証明すれば、そちらも俺を攻撃する理由もなくなり、国の姿も見えて来よう」


「なるほど。歓迎すべき事態ではないかも知れないが、言っていることは分かる」


「また、俺には他にも目的がある。俺たちが共に行動するには、互いに利のある話と思うが、いかがか?」


 この提案で誰かが損をすることはない。きっと男は乗って来るだろう。


「ふむ、まあそれでいいだろう。今はまだ互いに信頼があるとは言えない状況だが、おいおい話し合っていこう。よろしく頼む」


「行動を共にする内に、少しでも信頼を得られるよう頑張るよ」


 今後の為にも、ここで協力関係を築いておくことは悪くない。俺はフィッシャーと行動を共にし、封印を解く手だてを探すべく、マダイの国へ向かうことを決意した。


「さて、それでは善は急げ。早速行動しようか」


 確かにフィッシャーとしてはそれで問題ないだろう。だが俺としては、パーミラたちに何も言わないまま出ていくのは忍びない。

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