表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/110

プロローグ……5

エルは古魔製品店の前までくると本当に大丈夫なのかと思ってしまい中に入ることを躊躇っていたが……。

 ここはサリドデの町。エルは古魔製品店の出入口の前に立っている。

 決心しここまで来たものの、店の中に入ることを躊躇(ためら)っていた。

 そう、本当にあのグリモエステルス(魔導書)を手にして大丈夫なのか、自分に使い熟すことができるのかと思ってしまったからだ。

 そう思い両手をみながら、エルは自問自答している。


(……何をやってる。なんで躊躇ってるんだ。決心したはず。魔導書を手に入れて、あの冒険者を探すって……。大丈夫……うん、入ろう)


 パンッと両手で両頬を叩いた。

 母親と村の人たちの墓に誓い、決心したことが嘘になる。そう思い気合いを入れ直すと店の中へと入った。




 エルは店の中に入ると周囲を見渡す。


「来たわね。まあ、分かってたけど」


 その声がした方をエルは驚きみた。


「分かってたって、どういう事ですか?」

「私はみた人のことが、大体みえるのよ」

「みえるって……先の未来が、ってことなのか?」


 そうエルが問うとカルネアは、コクッと頷く。


「そうね。断片的、ぼやけた感じにみえるの」

「じゃあ、俺の村で何があったのかもか?」

「ええ、そうね。エルが、この店を出ようとした時に貴方が泣いてる姿がみえた。うっすらとだけど」


 それを聞いたエルの感情は変貌し怒りを露わにする。そして、カルネアのそばまでくると胸ぐらを掴んだ。


「おい、それが分かってたんなら……。なんであの時、教えてくれなかったんだ!」

「ちょっと離しなさいっ! そのことを貴方に教えたって、どうにもできなかったはずよ」


 そう言われエルは、カルネアを開放する。


「……そうだな。ごめん……だけど……」

「まぁいいけど。それよりも……ここに来た訳は、あのグリモエステルスが目的なんでしょ」

「ああ、勿論だ! それもみえてたのか?」


 そう聞くとカルネアは、首を横に振る。


「いいえ、それはみえてなかったわ。でも、そうね……今なら大丈夫かな?」

「どういう事だ? 訳が分からない」


 そう問われカルネアは、グリモエステルスが置かれている棚を指差した。


「危険なのは変わらない。だけど今の貴方なら、あの魔導書を手にしても耐えられる……そう思ったの」

「そういう訳か。じゃあ、あの魔導書……そういえばお金。どのくらいするんですか?」

「そうね……あの魔導書は、かなりの値打ちものだから……五億グベルでどうかしら」


 そう言われエルは、ガクッと肩を落とす。


「そんなに高いのかぁ。やっぱりそれだけの価値が、あの魔導書にはある……」

「そういう事……。だけど、どうしようかなぁ。貴方が、あの魔導書を手にする資格を持っているか分からないし」


 カルネアは考えた。どうしようかと思いエルを見据える。


「そうねぇ。もしあの魔導書が扱えるようなら、分割でもいいわよ。それと探求者になって、情報を送ってもらえるかしら」

「探求者か……。そんなことでいいなら構わない。だけど、どんな情報を送ればいいんだ?」

「それは貴方が実際に、あの魔導書を扱えるようなら教えるわ」


 そう言われエルは、一瞬だけ考えた。だが、それでもあの魔導書……グリモエステルスを手に入れたかったため頷く。


「その条件で構わないです」

「じゃあ、商談成立ね。但し、分かってると思うけど。あの魔導書は人を選ぶから、覚悟して触れること」

「勿論、分かってます」


 エルはそう返事をすると、グリモエステルスが置かれている棚の方を向き歩き出した。


(大丈夫……それに駄目な時は、恐らく死ぬ。これは俺にとっての賭け……いや、覚悟だ!)

読んで頂きありがとうございますヽ(^o^)


では、次話もよろしくお願いします∩^ω^∩

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ