表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

タケゾウの旅

作者: sordmany

【プロローグ】

 今は昔、肥後の国にシンメンタケゾウという男がいた。東に強き者がいれば戦いに応じ、西に強き者がいれば戦いに応じた。積み重ねた戦いの結果、タケゾウの名を知らない者はいなくなった。南に弱き者がいれば助けに向かい、北に弱き者がいれば助けに向かった。積み重ねた善行の結果、タケゾウを慕う者が増えていった。タケゾウの来た道に光があり、タケゾウの行く道に光が差していた。


【侍】

 肥後の国、豊富な資源に恵まれた活気あふれた場所である。道を行き交う人々の中に刀を担いだ男が歩いている。男は茶店に立ち寄る。団子を食べながら歩いていると、向かいから刀に手を置き歩いてくる男とすれ違う。その時、茶店から悲鳴が上がる。中から男衆が走り出す。「盗人よ!誰か捕まえて!」すぐに二人の侍が追う。男衆の行く手に侍が立ち塞がる。「お前!そこをどけ!」「どかせたければ力づくでどかせてみな」向かって来る男衆を侍が一網打尽にする。駆けつけた町奉行が男衆を捕らえる。「君、礼を言う」「お安い御用だ」もう一人の侍が腕組みをしながら言う。「拙者の出番はなかったでござる」「お前、只者じゃないな。一度、手合わせ願おう」「いいでござる」二人の侍が向き合う。「行くぞ」刀と刀が衝突する。「強い。が、甘い」「何!?」もう一本の小刀が相手の首元にかかる。「拙者の負けでござる」「お前の居合抜き、凄かった。名を聞こう」「オサフネでござる。お主の名は何という?」「シンメンタケゾウ。只の旅の者だ」「覚えておくでござる」二人の侍は別れる。


【宣教師】

 タケゾウが泊まった宿で朝を迎える。「外が騒がしいな」窓を開ける。外には、人だかりが出来ている。タケゾウは刀を携え、外に出る。「何の騒ぎだ?」人だかりの中心に一人の外人がいる。「ワタシ、宣教師のボルサリーノ・ボランティーノです。ユーも信じてみませんか?」ボルサリーノはタケゾウに一枚の紙を配る。タケゾウが紙に書かれた文字を読む。「のあ?誰だ、こいつは」ボルサリーノが答える。「この方は神様です。ワタシたちを不幸からお救い下さるお方です」「何が神様だ。嘘くさい」一方で、人々は“のあさま”と叫び、喜び合っている。「おいおい、そんな簡単に信じちまっていいのか?実際見たわけでもないだろ」タケゾウの言葉に人々が疑問を抱き始める。ボルサリーノは様子を見てタケゾウを危険視する。ボルサリーノは決心してタケゾウに話しかける。「ユーは“ノア”を信じられないですか?」「当然だ。某は実際に見ていないものは信じない」「ワタシ、ユーに見せて差しあげます。本物の“ノア”を」「本物だと!気になるな」「ワタシについて来てくれますか?」「いいだろう。但し、嘘なら承知しない」そこに腕組みをする侍が言う。「拙者も嘘か真か見極める為、参るでござる。一人増えても問題ないでござろう」「構いません。では、行きましょう」三人は肥後の国を出る。


【海賊】

 タケゾウとオサフネとボルサリーノは船に乗り、海を進む。「のあさま、って奴は一体どんな奴なんだ?」「それは見ての楽しみです」「言えないとは嘘と言っているようなものでござる。タケゾウ、お主もそう思わぬか?」「まあ、見たら分かるんだ。楽しみにしよう」「そうでござるな」向こうから船が来る。「お?旗を立てた船とは珍しい」「確かに。拙者も初めて見たでござる」「ワタシ、聞いたことあります。この辺りには海を荒らす賊がいると」その時、船の側で水飛沫が上がる。激しく船が揺れる。「おっと!いきなり攻撃してきやがった。成敗してやる」「どうするつもりですか?」「やっつけるんだ。ボルサリーノ、お前は船を守れ」「わかりました」「行くぞ、オサフネ」「応でござる」タケゾウとオサフネは海に飛び込む。ボルサリーノは船を操舵し、砲弾を避ける。「タケゾウ、オサフネ、お願いします!」海賊船に二人の侍が現れる。「お前ら、覚悟しろ」「海の荒くれ者、成敗するでござる」海賊たちが次々と倒れ、残すは船長のみとなる。「良い事を教える。だから勘弁してくれ」「分かった。良い事って何だ?」「もうすぐ大きな嵐が来る。早く離れた方が良い」「そうか。ありがとよ」タケゾウとオサフネは泳いで船に戻る。「2人ともご無事で何より」「ああ。それより刀が濡れちまった。錆びちまう」「拙者は刀鍛冶でござる。帰ったら鍛え直して進ぜよう」「そいつは助かる」海が荒れ始める。「例の嵐でござるか?」「ボルサリーノ、全速力で離れろ」「わかりました」激しい風と雨が船を襲う。「まずい!水が入って来やがった」「沈むでござる!」「ノアよ。ワタシたちをお救い下さい」三人は海に沈んでいく。


【神様】

 ボルサリーノは思う。“ノア”という作り上げられた存在を見せると嘘をついた罰が当たったと。オサフネは思う。神様でも救えないものがあると。タケゾウは思う。ボルサリーノは嘘つきだと。神様がいるとしたら不幸を救ってくれるはずだからである。(某は国に妻と子を残してきた。まだ死ねない。いるんだったら、救ってみろ…のあさま)その時、海の中に光が現れる。光が大きくなり、巨人の形を成す。(のあさま…?)光の巨人は大きな手で三人を掬う。海を進み、陸地に三人を静かに置く。タケゾウが意識を取り戻す。「あれ?ここは?」タケゾウの目に飛び込んだのは、現実とは思えないほど栄えた都の景色である。「ここが神様の地か。本当に神様はいた」その後、タケゾウとオサフネはボルサリーノの船で肥後の国に戻る。二人は誰よりも“のあさま”を信じ、自分たちの体験を伝説として各地に広めたという。


【エピローグ】

 今は現代、シンメンサトリという少年がいる。シンメンタケゾウの子孫である彼は、宇宙空間で未知の存在に襲われ、死にかけた時、神様に救いを求める。タケゾウの時と同じく光の巨人が救う。それを見たタランティーノ・ボランティーノという男がいる。ボルサリーノ・ボランティーノの子孫である彼は、“のあさま”が実在するという噂を広め、人々は信じるようになる。彼らは未知の存在との戦いに身を投じることになる。戦いは危険だが、彼らの未来はきっと明るい。タケゾウの来た道に光があり、タケゾウの行く道に光が差すからである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ