プロローグ 私・・・・素面だもん(大嘘)
いや〜、新連載ですよ皆さん。
この作品はギャグに全振りしているので楽しんでもらえると幸いです!
カクヨムも始めましたのでそちらもよろしくお願いいたします
「ユーちゃん・・・・今日を持って貴女を勇者パーティーから追放します」
【勇者】
それは魔王を唯一討伐できる人類の希望であり憧れの対象
ユー・シャーのこと私は四代魔王の一人である【憤怒】の魔王 サタンを仲間と共に討伐し生まれ故郷の王都 ハジマーリに戻って来た。
国王陛下に謁見した後は凱旋パレードと各所への挨拶を終えた。
その後に夜に同じく勇者パーティーの【賢者】のケル・マジッカーに自室に呼び出されそんな事が告げられた・・・・
「ケル・・・・」
「何?ユーちゃんこれは決定した事だから変更は無理だよ」
ケルの瞳は本気の目だ。
ケルは昔からこの目をした時は魔王でも曲げられない強い覚悟があるので私は逆らえないがそれでも言わなきゃいけない事が私にはある!
それは
「私・・・・【勇者】なんだけど」
そう私は人類の希望の光である【勇者】に選ばれた人間なのだ。
【勇者】のいない勇者パーティーってどうなんのよ
「うん、知ってるよ」
「なら!」
「でも、クビ♡」
ケルは柔らかい笑顔を浮かべる。
「なんでじぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!」
こうしてユーは【勇者】なのに勇者パーティーから追放されたのであった。
✖️
私は追放され全ての装備をひん剥かれあまりの悔しさから泣きながら行きつけの酒場に駆け込み酒を煽る。
「ユーちゃん・・・・そろそろやめた方がいいぜ。スピリタス二瓶はまずいぞ」
「ぐへへッぇぇぇ・・・・ゼーンぜんしらふぅでちゅ~」
ユーは素面だと言っているが96度のスピリタス二瓶を飲み切ったユーはベロンベロンになっている。
アルコール中毒で死なないのはユーが【勇者】である所以なのか?
「ところでユーお前なんで勇者パーティからって寝てるし」
酒場のマスターがカウンターに涎を垂らしながら爆睡しているユーを抱き上げる
✖️
自身の店舗兼住宅の二階にある自身の住宅のリビングにあるベットに寝かせマスターはため息を吐きながらユーに毛布を掛けユーの綺麗な金髪を撫でる。
「全く・・・・昔から世話が焼ける」
ユーは5歳の時に家族を失い偶然ユーの父親と幼馴染だったマスターがユーの親代わりに此処まで育て上げた。
血は繋がっていないが本物にも勝るほどの絆がそこにはある。
「父さん・・・・」
ユーは寝言でマスターを呼ぶ
マスターは呆れ顔を浮かべ業務に戻る。
✖️
翌朝・・・・私は極度の二日酔いでマスターに介抱してもらっていた。
「オロロロロロロロロロロロロ」
「おいおい・・・・だからあれだけスピリタスはやめろって言ったんだ」
私は背中をさすられながら|全てを飲み込む流水の大穴に嘔吐する。
「俺は買い物行ってくるから食べたいものあるか?」
「一緒に行くもん」
「そんな真っ青な顔の【勇者】連れて行きたくねぇよ。休んでな」
「タスキ屋の唐揚げが食べたい」
「はいはい。これでも食って待ってな」
マスターは私に水分補給用ゼリーと補給食を渡して買い出しに出かける。
私は小さなガキンチョだった頃に想いを馳せる。
ー10年前ー
「わたちゆーしゃになってみんなをお助けする!」
「そうかそうかなら沢山修行して強くならないとな」
小さい頃の私は魔族の襲撃で両親を失ったショックで暫く言葉が喋れなかった。
そんな私でもマスターは嫌な顔一つせず私と一緒にいてくれたお陰で少しずつではあるが喋れるようになった。
だが、完全に喋れるようになったのはあの人のお陰だ。
その日、私はマスターに内緒で家を抜け出し行ってはいけないと言われていた近所の森へと遊びに出かけた矢先に魔物に襲われた。
勿論、声なんか碌に出せない時期だ
「た・・・・・たす」
「ウヘィ!」
緑色の肌を持ち5歳児ほどの背丈にボロボロのナイフに腰に薄汚い布を巻いた魔物ゴブリンに襲われていた。
1匹のゴブリンが私に飛びかかろうとしたその瞬間・・・・
「魔物の生き方に否定はしないがぁ。こんな小さな未来ある子供に手を出すとは如何せん症の根が腐ってるみたいだな【アイシング・0】」
ゴブリンの群れが一瞬で氷の柱に呑み込まれ
「砕け散れ氷の柱よ」
その人の言葉が紡がれた瞬間砕け散った。
そして、その人が私の方に歩き出し目の前でしゃがみ手を伸ばす。
私は怖くて目を瞑った。
「大丈夫かい少女よ」
コクコク
私が頷くとその人は微笑み私を抱き上げ立ち上がる。
「おうちはどこか言えるかい?」
「酒場ルルノス」
「じゃあ帰ろう」
◉
その日、私はこっぴどく叱られたが助けてくれたあの人の事が知りたくて酒場がある一階に駆け降りて奥のテーブルで酒を飲んでいたその人にお礼を言った。
「あ、あの」
「どうしたんだい少女」
「ありが・・・ございます」
「どういたしまして」
そう言うと再びテーブリに置かれている料理を摘みながら酒を煽る。
私は勇気を振り絞って言った
「な、お名前をおしえてください」
「名前?フフ・・・・私は【勇者】エレンだ。今は諸事情で放浪しているけどね」
エレンさんはフードを深く被っているので顔が見えなかったが口元は哀しそうな笑顔を浮かべていた。
「わたし・・・・エレンさんみたいになりたいです」
「そうか・・・・私みたいな人間は尊敬される器ではないが強いて言うなら・・・・勇気と優しさとそして弛まぬ努力があればすぐに追いつけるさ」
✖️
「なんでこんなんになっちゃったんだろう・・・・」
私はセンチな気分になった。
憧れのエレンさんのような【勇者】になると決めた10年前のあの日から何も変わっていない。
それどころか【勇者】になれた優越感から努力を怠り、威張った結果がこれだ。
「私って情けないな・・・・」
「ただいまあー」
マスターが帰って来たので私は玄関に向かいマスターを向かい入れる。
「お帰り~ご飯にする?お風呂にする?それともぉ~わ・た・」
「ユーお前泣いてるぞ」
マスターの驚愕した顔と声色を聴いて私は頬を撫でると湿っていた。
「なんで・・・・ヒッグッなんでこんなに悲しいのぉ?」
「今日は・・・・メシよりも風呂よりも先にお前を優先するか」
マスターは荷物を床に置き私を抱きしめる。
何度も何度も何度も抱きしめてもらった腕と体の温もりを感じて私は今まで溜め込んできた物を堰き止めるダムが決壊し
「うわァァァァァッ!わたし・・・ひっ・・・・エレンさんみたいになるって言ったのに・・・・ゴホッ・・・・慢心し続けて追い出されてヤケクソのスピリタス一瓶飲んで」
「二瓶な・・・・全くお前ってやつは」
「・・うっ・・オロロロロロロロロロロロホロホロロロロロロ」
「ギャァァァァアアアアアアァォォァァォ!」
泣き叫びながらマスターの胸板に嘔吐した
やれやれこの始末この先どうなることやら・・・・・