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13話 敵襲

それからあっという間に三日が経ち入隊試験の日となった。

僕とセツナはいつも通りの恰好で来ればいいと言われていたのでいつも通りで訓練場に来ている。

すると訓練場にはレクト、ティア、エリウス、リンドウさん、ミキさんしかいなかった。

「あれ、試験は……?」

「もうとっくに終わっていてよ」

僕の言葉にティアが答える。

まさか遅刻したか?!と慌てる僕の肩をレクトが叩く。

「元々合格してるのはお前とセツナだけだ。ほかは全員不合格」

そう言ったレクトがにっこり笑う。

「え、元々合格?」

「二人の訓練の様子は見ていたのよ。それを見て合格を出したのですわ」

「そして第二期派遣隊のメンバーはリン、セツナ、リンドウ、ミキ、レクト、ティアの六名だ」

「六人?!」

思ったよりも少ないその数字に驚く。

それに今あげられたメンツは首都防衛軍の主戦力も入っている。

「あのー、リンドウさん達が抜けて首都の防衛は大丈夫なのか?」

僕と同じ疑問を持ったらしいセツナが言う。

その言葉にエリウスは頷いて答えた。

「問題ない。リンドウのおかげで異世界人の戦力も育っている今少しの間抜けたところで守りが崩されることはないと判断した」

「そうなんだ」

「それに少数の精鋭で動いた方がいいだろ?」

とレクトが言った。

そこまでアウロラへ行くことが重要視されているとは思ってなかったので内心驚きしかない。

僕は帰還方法と女神シンティグレーアについて何かわかればと思ってアウロラに行きたいと思っている。

じゃあほかの皆は?

「あの、今更なんですけど僕は帰還方法のためですが皆さんはなぜアウロラへ行こうと思ったんですか?」

「俺も帰還方法だなー」

と僕の問いかけにセツナも頷く。

「そうか、二人には言ってなかったな。アウロラは人族の国で彼らの帰りたい場所なのだ。だからアウロラの状況を調べ、奪還できるようであれば奪還する。そのための調査を君たちには任せたいのだ」

そう言ってエリウスはセツナの肩に手を置く。

「もちろん。帰還方法の捜索を最優先にして構わない」

「わかった」

「私は故郷の様子を見たくて行くのよ。あの美しかったアウロラが今どうなっているのか……この目で確かめないと……」

そう言ったティアの瞳には強い意志が感じられた。

「俺は魔族側として参加する。これは人族だけの問題でもないからな」

レクトは腕組みをして言う。

「俺とミキはもちろん帰還方法のためだな。役割としては戦闘と回復、丁度いいと思うぜ」

「えぇ、そうね」

リンドウさんの言葉にミキさんは頷いた。

「それに……」


カーン!


ティアが何かを言おうとした時、あの鐘の音が響いた。

途端に全員真面目な表情になり耳を澄ませる。

「6回……また南か!」

「しかも数が多いわよ!急がないとだわ!」

「私は指揮をとる!二人一組で行動するんだ!」

「「了解!」」

レクトとティア、リンドウさんとミキさんが返事をする。

そして南門へ向かって走っていく。

その姿を横目に僕はエリウスに言った。

「あの、僕たちも戦います!」

「あぁ!戦うぜ!」

僕とセツナが言うとエリウスはじっと僕たちの方を見た。

「……初の実戦、ミスをすれば死ぬぞ」

真剣な表情で言われる。

これは僕たちを心配しての言葉だとわかった。

「自分の身は自分で守れます。ついでにセツナも守ってみせます」

「俺はついでかよ!でもまぁ自分の身くらい守れないとな!」

僕の言葉にエリウスは頷いた。

「わかった。二人一緒に行動するように、あと天使が多い場所へは行くな。これだけは守れ」

「「はい!」」

僕とセツナは元気よく返事をして南門へ向けて走り出すのだった。

さぁ初陣だ。


城門を出て暫く南区を走っていると段々避難する人の波が増えてくる。

そこかしこで天使と騎士が戦っているのが見えた。

大通りの右側が比較的破壊されているように見える。

つまり天使がいる可能性が高い。

「セツナ、右と左どっちがいい?」

あえて聞くとセツナは

「もちろん右だ!」

と答えた。

その手には投げナイフらしきものが数本握られている。

すでに戦闘態勢に入っていたようだ。

僕も『完全結界』を発動して二人で右の路地へ駆け込む。

するとすぐにライオンに翼が生えたような天使が住民を襲おうとしている所に出くわした。

「『疾風の一矢』!」

すかさずセツナが投げたナイフがライオン型天使の目を貫く。

痛みに動きが止まった隙に襲われていた人を逃がす。

さらに動きを止める様に完全結界の盾で四方を囲った。

そして深呼吸をして魔力を練り上げる。


「『死の火炎』」


発動句を唱えると魔術が発動して手のひらから放たれた漆黒の炎がライオン型天使を燃やす。

何漆黒の炎って、中二病の魔術師が作った魔術なのこれ。

そう考えつつも魔術の威力に驚きが隠せない。

じわりじわりと炎がライオン型天使を焼き尽くしていく。

端から炭化していきしまいには形を失って灰になった。

「え、えげつない……」

「うわぁ……」

僕は初戦闘が人型じゃなくて良かったと思った。

人型を焼き尽くすとかちょっと気分が悪くなる。


――レベル2、レベル3『トリッパー』の存在を確認――


そこで今度は人型の天使が舞い降りてきた。

レベル2は祝福を二つ持つセツナの、レベル3は僕のことを言っている。

『レベル=祝福の数』だとシンティグレーアは言っていた。

つまり天使はレベルの高い者を捕まえることでカグラを探し出そうとしているのかもしれない。

でも簡単に捕まってやるつもりは毛頭ない。

僕は剣を抜いた。


――抵抗の意志を確認――


天使がその手に白い炎を出現させる。

「セツナ、こいつらの狙いは複数の祝福持ちである僕たちだ。簡単に捕まるなよ?」

「え、そうなのか?」

放たれた白い炎を盾で防ぐ。


「まぁ、狙いはリン。お前だよ」



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