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平民が貴族になっても幸せとは限らない

掲載日:2020/06/19

平民だった女の子が侯爵家に引き取られたお話。 @ 短編その31

平民だっと思っていたら、侯爵家の血を受け継いでいたそうで、いきなり貴族になったレイアです。


貴族の暮らしなんか知らないのに、牛か馬みたいにドナドナ引きずられ、連れてこられました。


大好きな隣のエディとも離ればなれ、お友達ともお別れ、近所のエステルばあちゃんや、バダッシェ先生、ああ、みんなとお別れ言えなかったよぉ!!


で、連れてこられたら勉強ずくし!!

家庭教師に馬鹿にされ、『平民が』と侮蔑の目で蔑まれ、マナーがなっていないと溜息を吐かれ・・

いかない、お金くれれば良いって言ったのに!!


そして貴族の学園に放り込まれた。

当然、あたしが元平民と分かってて、口も利いてもらえないの。


あたしがなにしたっていうのよ、ひどいよぅ、ひどいよぅ・・・




と、泣いて過ごす事2年。

いまあたしは3年生。あと数ヶ月我慢すれば、卒業だ。

父とか言ってる侯爵は、あたしをどこぞの貴族に嫁がせて、自分の家を盤石にするつもりらしい。


もう、いやだ。

貴族に嫁ぎたくないよ!!いまだにマナーも作法もうやむやなのに!!

勉強は頑張ったけど、幼少のみぎりから勉強している方々に勝てるはずもなく、180人中61番。

平民にしては頑張った方でしょ?


どうやったら貴族との結婚を避ける事ができるか、それがあたしの悩み。いや、人生の選択!!



「やあ、レイア嬢。頑張っているかい」


クラスメイトで王族のカイン殿下が気安い雰囲気で話しかけてきます。


・・・・やめてっ!!勘弁してっ!!!あんたが話しかける度、令嬢達が睨むし意地悪するし、良い事ないから!

でも無視したら不敬罪だ。詰む。あたしが、詰む。くるなよぉ、これは新手のいじめか?そうなのか?

笑顔になんとかみえる程度、もう引きつっています。怒鳴りたいやら、土下座するから行って欲しいやら。


貴族、死すべし。





あと4ヶ月で卒業・・そんなある日、偉い神官があたしを訪ねてきた。


「貴方は聖女だ」


いきなり言われたよ。

いいよもう。

あたしは侯爵家に入れたからって、ちっとも幸せじゃなかった。

聖女はなんと。王族と同等の権力があるそうだ。


・・・だから?

父だと言っている侯爵が、これは旨い汁が啜れるという顔している。

こいつが全ての元凶だ。


・・・・そうだ!!

あたしはこいつの家、侯爵をお取り潰しさせちゃえば良いんだ!!!

そしたらあたしは村に戻れる!!

みんなに会える!!



それからのあたしは頑張りましたよ。

嫌いな貴族にはばんばん嘘予言でビビらせて、王族にもチクリと反撃して、そして、あいつをやっつけてやった。


「この男をのさばらせていたら、王国は大変なことになります。神のお告げです」


やったーー!!王族が調べたら出るわ出るわ、あいつの悪事!!

他国と繋がっていて、情報を漏洩していたとか、国のお金を不当に手に入れていたとか・・・

あのくそ、そこまで悪いことしてたのか!!あいつは貴族籍を外された!よし!よくやった、王家!!

さあ、仕上げだ・・・王様の前であたしは嘆願した。


「こんな人でも、あたしの父です。父と同じく、あたしも罰してください!貴族籍を外してください!」


さあ、あたしも平民にしてくれ。この男はどうやって生きていくかは知らんが、あたしは元平民。

なんとでもなる。

なのに王様が言った一言に、あたしは呆然とした・・・


「なんと心の清らかな娘だろう・・・父であろうとも、悪事を見過ごさない勇気。其方はこの国に必要な人材だ。この国に支えてくれないだろうか」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

嫌ですと言いたい。

いやと言わせてくれ。

ああ、そうだ、これなら聖女でいいや。

神殿でひっそりと生きるわ。


「あたしは聖女なので」

「聖女は王家と等しく権限がある。そうだ、我が息子、カインの妃はどうだ。まだ婚約者もいないから、ちょうど良いではないか?」


おーーーい!!息子の相手を『ちょうど良い』で決めるんかーーーい!!

良い人だよ。カイン殿下は。

私に声をかけてくれるのは、カイン殿下だけだったよ。

でも好きとか、そういう気持ちは無いでしょ?貴族の婚姻だから恋愛はないだろうけど、あたし元平民だよ?

その辺考えてもダメでしょ?


あたしはカイン殿下を目力と気合を込めて、『どうなのよ、殿下!!いやと言ってよ!!』と睨んでみた。


ふっ・・・

カイン殿下は柔らかく微笑んだ。あらなんて美男子なの、じゃなーーーい!!


あたしはやだよ!!まだまだいじめがエンドレスな貴族社会に、何を好き好んでいてたまるか!!

私に僅かでも好意があるなら、断って!!こんな平民なんか汚らわしいって!!頼む!!


ぎゅうぎゅう両手を握り祈っていると、誰かが手を包んだ。


「そんなに緊張しないで、レイア。私は君を見捨てないよ。私の妻になってくれ」


え。

緊張じゃないんだよぉ、必死で祈っていただけだよぉ、殿下と結婚回避って、祈ったんだよぉ・・

でも物凄く甘い微笑みで、私の頭の中はとろんと溶けて、つい。

気がつくと言ってしまっていた。


「はい・・カイン殿下・・」


そして返事をしたことに気がついて、正気に戻って、目眩がして・・気を失った。


うおおーーーーーん!!あたしのばかばかばかーーーーー!!!





と、泣いて後悔した私だったけど、今はとても楽しく過ごしています。


カイン殿下はあたしがずっと虐められているのを知っていて、あたしを王城に住まわせてくれて、


「これで手出しが出来なくなっただろう。もう安心すると良い」


ちゃんとみててくれていたんだな、と思った。


マナーの先生は、殿下の母であるお妃様が教えてくれる事になったけど、すっごく優しいの!!

私の母は7歳の時に亡くなったから、お妃様がまるで自分の母のようで、本当嬉しい!!

お茶の作法も、優しく教えてくださるの。そのうちお妃教育が始まるそうだけど、この調子なら大丈夫みたい。


殿下の父上である王様も、いろいろなことを教えてくださるの。

この前はダンスのパートナーになってくださったの!すごく上手なの!!

『娘が欲しかったので、レイアさんが来てくれて嬉しい』って・・思わず泣いてしまった。

カイン殿下もダンスの稽古に付き合ってくれるけど、まだふくれているの。


「初めてのダンスは私が踊りたかったのに!」

「じゃ、いっぱい教えてください!私はまだ下手ですから!陛下の足を3回も踏んでしまいました」

「あはは!それは良かった」

「え?良いのですか?」

「私を差し置いて踊った罰だ」


まあ。こんなにお茶目だったのね、カイン殿下は。




聖女としての活動ですが・・週に1日は神殿で祈祷。


ああ、神様。


この国が安寧を続け、豊かになりますように。聖女としても頑張ります。

カイン様をお支えしていこうと、やっと思えるようになりました。




あたし、やっと幸せになれたかな?




ほぼ毎日短編を1つ書いてます。随時加筆修正もします。

どの短編も割と良い感じの話に仕上げてますので、短編、色々読んでみてちょ。


pixivでも変な絵を描いたり話を書いておるのじゃ。

https://www.pixiv.net/users/476191

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[一言] 他の感想欄にも書きましたが、ローファンタジーは現実世界にファンタジー要素を入れるというジャンルなので (そういうのが読みたいのでローファンタジー短編のランキングを漁ってる) 話の展開からして…
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