ゲームスタート
光が晴れると俺はレンガで出来た街を見渡せる丘の上に立っていた。
「おぉぉ」
俺が惚けた声を出したのは、壮大な街並みだったからだ、例えるなら小説で出てくるローマ風って感じだ。
俺以外の初心者組もいたのでここが初期スポーン地点って事だと思う、ちなみに全員顔がポカーンと言う効果音がが似合う顔をしていた。
「さてと、総合ギルドを探しますか...誰か知ってる人はいないか? 」
そう言い、探がし始めた。
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総合ギルドを知ってる人を探して1時間、知ってる人が居なくて近くにあったベンチに座って途方に暮れてた、“総合ギルドを知ってる人”はいたのだが“総合ギルドの場所を知っている人”は一人もいなかったのだ。
「ハァ、総合ギルドどこにあるんだよ……あいつ、NPCに聞けばわかるって言ったよな? 」
どうしようかと頭を抱えて、一人呟いていると。
「あの〜すいません」
ふとそんな声がしたので顔を上げると、20代中頃の猫人女性が俺に話しかけていた。
「はい、何でしょうか? 」
「総合ギルドに行こうとしてるんですよね? 私、今から総合ギルドに向かう予定なので一緒にどうですか? 」
まさに渡りに船とはこの事だ。自分の答えはもう決まっている。
「すいません、お願いします」
俺は頭を下げて言うと猫人女性は
「いえいえ、困った時はお互い様ですよね」
と微笑んで返してくれた
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俺は猫人女性の後をついて行くと巨大な大な建造物が目に入ってきた。
「到着しました。あそこの巨大な建造物が総合ギルドです」
で、その総合ギルド前で人が集まっているのはなぜだろうか。
気になったのでと見に行くと1人の女性が居て、現在進行形で筋肉質なオッサンに絡まれていた、つかお願いされてた。女性の方は犬人の拳闘士ぽい服装の人達だ
「なぁ、俺達とクエスト行かないか? 連れは後でくる、ちょっとだけで良いから。」
「うるさい、どっかに行って、どうせそんな事してるから彼女なんかできないんでしょ? いたら、ナンパされったと言うだけだけど」
「コレでも妻いるんだけど? って妻にナンパされたとか言われたら殺されるどころじゃないから辞めてくれぇ! 」
犬人女性が物凄く面倒そうに返答をするとオッサンは謝り倒し始めた。
「え? 妻いたの? 奥さんいたのにナンパしたって知られて大丈夫?」
獣人の女性が引き気味ながら言うがオッサンに効果があったようで、
「すんません、マジ勘弁してください、妻に殺されてしまいます」
とオッサンは土下座し始めた。このオッサン、奥さんに敷かれているんだな...。
そんなことを考えてると先程、道案内してくれた猫人女性が近寄り、オッサンの近くにしゃがんだ。
「ジェイ君? なにしてたのかな? ナンパって聞こえたんだけど?」
猫耳女性は静かに、だがその言葉にはタップリの怒気と言うか殺気が込められている声で、思わず遠くから見ていた俺も身震いするくらいだ。
あとあのおっさんジェイって名前だったんだな。
「い、いやチョット難しいクエストがあるから手伝って誘っただけだぞ...うん」
「フーン、わかったわ、今回はそれで良いとしましょうか...ですけど、つ・ぎ・は・な・い・で・す・よ」
「は、はいぃぃ!」
先程までジェイと呼ばれたオッサンに嫌なものを見る目線を向けていた人達も今はスッカリ同情した視線を向けていた。そんな事を気にした様子もなく猫人女性は
「すいません、うちの夫が...しっかりと言っておきますので、では私達は行きますね」
「は、はいどうぞ」
さっきまで急な乱入者に呆然としていた犬人女性は急に周りを見渡しはじめ、コッチを向くと満面の笑みを浮かべて走ってきた、なぜコッチに来るんだ、と思っていたら直ぐにわかった。
「零くん! やっと来たね、2時間も待てせ何やってたの! 」
うん、この口調は茜だな、
「すまん、道にまよってた。後、リアルネームを出すな! 」
と俺は謝ると同時にアカネの頭を平手で叩いた、スパーンと良い音がなると茜は頭を押さえて、大声でツッコミを入れてきた
「じゃあアバター名教えてよ! 」
そういや教えてなかったな。
「じゃあゲーム内で初の自己紹介するか、俺のアバター名は『ゼロ』だ、ジョブは魔法使い、種族は狐人だ。」
「あーだから狐耳と尻尾があるんだね!私は『アカネ』!ジョブは拳闘士で種族は犬人だよ!後で耳触らせてね!」
お前!リアルネームだろそれは!まぁ俺も最初は『レイ』って付けようとしてたので人の事言えないが...
今はそんな事よりも大事な事がある、
「後でなら良いぞ、ここは目立つから離れるか」
そう先程、アカネとオッサンが言い争い(?)をしていたため、周りの人たちがこっちを見ているのだ。
だが、アカネは気付かなかったようだ。
「目立ってるけどなんでだろ? 」
アカネは首傾げたが直ぐに納得したような顔をした。
「ゼロくんがカッコイイからそこに嫉妬してるんだね! 」
アカネが問題発言をした瞬間、周りから俺の方に射殺さんばかりの視線が送られてきた、だが俺の顔は普通だぞ?
「おいおい、俺の顔は普通だ」
俺が反論すると近くにいた男のプレイヤー数名が胸を押さえて崩れ落ちた、何故だ。
「そんな事よりも総合ギルド案内するから付いて来て! 」
茜はそう言うと俺の手を掴んで引っ張り出した、引っ張られる力に抵抗せずに俺は引っ張られ、総合ギルドの中に入っていった。