叔父、おかげさまで逃げ道なくなりました、ふざけんな!
昨日、長期休暇をいきなり茜から教えられた俺は今、俺がバイトしている喫茶店【マミヤ珈琲店】の前に来ていた。
扉を開けて入ると。
チリンチリン
「いらっしゃいってどうした? 零」
ここの店長の林間宮がカウンターでコーヒーを飲んでいたので、
「どうしたも、こうしたも、有るかぁぁぁ! 長期休暇いきなり言い渡されて、期間も教えられてないこっちの身にもなれよ! また茜の我儘に付き合わされるこっちの身になれ! 」
「ハハハ、良いじゃないか友達と遊ぶだけだろ?何か問題あるのかな? 」
「無いけどさァ! 無いけどさぁ! 」
「じゃあ良いじゃ無いか、あの子が買ったんだろ? ゲーム機」
「う……じゃあちゃんとした書類と長期休暇の期間を教えてくれ!」
「わかった、わかった、おっと、お客さんだ…おーい、富美枝ーちょっときてくれー」
そう言うと叔父は入ってきた店の常連さんをテーブルに案内しに行った。
あとこの叔父、林間宮は俺と苗字が違う理由は叔父が結婚した際に叔父の奥さんの苗字に変えたからだ。
そんな事を考えてると二階の階段からその奥さん…富美枝さんが降りてきた。
「あなた〜きたわよぉ〜、あ〜、零君こんにちは〜」
「あ、富美枝さん、こんにちは」
この緊張感が無い間延びした声の女性があの叔父の奥さんだ、叔父が接客してるし、富美枝さんに聞くか。
「富美枝さん、すいませんが叔父さんが俺に出した長期休暇の期間ってわかりますか?」
「ちょっと待ってくださいねぇ」
そう言いながら奥の書類が保管されている部屋に行き、一枚の紙を持って直ぐに戻ってきた。
「あったわぁ、えっとねぇ期間は7月26日から8月31日までみたいね〜、はい、これが正式な書類よぉ」
「ありがとうございます」
これで長期休暇の期間がわかった事だし戻るとしますか。そう思って店を出ようとすると、
「そうだぁ零君〜」
「はい、なんですか?」
富美枝さんが話しかけてきたので聞くことにした。
「私の事は名前じゃなくて、叔母さんって呼んでねぇ」
「...善処します」
「それ〜絶対に言ってくれないやつだぁ」
どう見たって20代後半にしか見えない人を叔母さんって言ったら周りからの目線が酷くなるから無理だ。
そんな会話をした後、俺は帰路に着いた。
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「よし、これでセットは大丈夫だろう、久しぶりだなゲームで遊ぶのは」
「零君は驚いてくれるかしら〜」
「きっと驚くさ」