4.おっさんを追い出す
・今回のお話に登場する人物【おっさん、賢者】
「おい、おっさん。ちょっといいか?」
「わしゃ、まだ四十四じゃ!」
「おっさんじゃねーか」
本日は快晴。天空城に攻め入り日和な昼下がり。
勇者パーティーの賢者はテントの外で火を熾していたおっさんと会話する。
「なんじゃい賢者。なんか用か?」
「ああ、勇者パーティーからおっさんを追い出すってのはどうなんだろうか?」
「内容に反して、ちょっと酒買ってくるノリの如く気軽に話すんじゃな……」
やれやれと溜め息混じりに返答するおっさん。
賢者はそんなおっさんに聞く。
「あんまり驚かないんだな」
「年の功じゃ」
「やっぱりおっさんじゃねーか」
まだまだ若いもんには負けんわいと謎の気合いを入れるおっさん。
もし、本当に戦力外通告を行われたとしてもお変わりないことを祈ろう。
「賢者のことじゃろうから、またクソ真面目に妙なことでもおっ始めようとしちょるんじゃろ?」
「失敬な」
おっさん的中。
不服そうにしながらも説明を行った賢者。
「うーむ、マイブームとな……」
「そうだ。おっさんはぶっちゃけ言うと戦闘面ではあまり仲間の役に立っていないだろう?」
「言うのぅ。ま、確かにな」
斧使いのおっさんは力持ちではあるので荷物持ちとして活躍中である。
背が低いことを気にせず強く生きろ、おっさん。
「強いて言うならば料理上手ってところだが」
「世界が平和になったら故郷で食堂でも開こうと思っちょる」
「おいやめろ。それは死亡フラグだ」
縁起でもないことを言うなと注意する賢者。
勇者パーティーは験をも担ぐのだ。
「なんじゃい。別にいいじゃろ、こんくらい」
「そうだな。勇者パーティーのメンバーは死んでも蘇生すれば生き返るからな」
「便利な世の中になったもんじゃのう」
デスゲームの後ろに括弧笑いが付けられそうな会話を行う賢者とおっさん。
二人とも命とは何なのか聖女に小一時間程お説教されて差し上げろください。
「でも実際は良くやってるよな、おっさんは」
「な、なんじゃ急に……少し気持ち悪いぞ」
「失敬な」
執事ギルド本部長も尊敬!
勇者パーティーの女騎士が描く、従者の心得絵巻。
この物語はのどかな牧場でメエメエと育つ羊達の提供でお送りしておりません。
「年長者としてパーティー内の雰囲気を安定した状態に保ってくれてるじゃないか」
「……気付いておったのか」
「まあな。細かい所に気を遣ってくれるのはありがたいことだ」
「フン、別にお前らの為じゃなく酒が不味くなるからじゃわい」
ツンデレか。おっさんのツンデレとは誰得なのだろうかと使い古されているだろう何番煎じのネタである。
「俺の交渉事も手伝ってくれるし、物資の調達も進んでやってくれるからいつも助かっている」
「ほ、褒めても何も出んぞ」
「ただ、酒の買い付けが妙に多いのが……」
「わし、ちょっと散歩行ってくる」
おっさんは逃げ出した!
散歩という名の徘徊に出かけたおっさんが逃走した方向を見やりながら賢者は独り考察する。
「すばやさが低い癖に、あの逃げるの成功率の高さ……恐るべし、おっさん」
・今回のお話に登場した人物紹介
おっさん……ドワーフ?
「朝から酒を飲まねば身体が動かんのじゃあああ!」
賢者……頭、大丈夫?
「うるせっ、酒代がどれだけかかると思ってんだ! 飲む金くらい自分で稼げっ」




