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2.賢者を追い出す

・今回のお話に登場する人物【賢者、勇者】




「なあ、勇者ー」


「んー、どうした賢者ー?」


 本日は曇天。魔王と決戦日和な昼下がり。

 勇者パーティーの知恵袋たる賢者はこの日も、勇者に語り出す。


「勇者パーティーから賢者を追い出すってのはどうなんだろうか?」


「またそれか」


 先日の一件を思い出して渋い顔をする勇者。

 だが今日は追い出される対象が自分でないことに気付く。


「って賢者を? 自分自身をか?」


「そうだ」


 勇者パーティーから横暴な理由で追放行為を行う害悪となる火種を消し去る、それが例え自分であっても――英雄足り得る賢者の鑑である。英断である。


「待て。どうしてそうなった」


「俺は賢人扱いされてはいるが勇者パーティーのネームバリュー、その効果による過大評価なのではないかと考えてしまってな」


「……どういうことだ?」


「知っての通り、俺はかしこさが高い」


「自慢かよ」


「半分な」


 勇者パーティージョーク。

 いつものやり取りである。


「俺はかしこさが高いが、魔法使いの職業に就いている者も軒並みかしこさが高い。代わりとなる人材はいくらでもいるということだ」


「そういうモンかなぁ」


「勇者も俺のことを過大評価しているのかもしれん」


 続け様に考察を述べていく賢者。

 頑張れ賢者、勇者パーティーから賢者を頑張って追い出せ賢者。


「俺は回復魔法が使えず、そして魔法ならともかく物理的な攻撃手段は苦手だ。どうにも野蛮に思えてな」


「偽平和主義者め。以前、敵の要塞を魔法で半壊させたの賢者じゃなかったか?」


「爆発は芸術だ」


「逆だろ!?」


 爆裂魔(けんじゃ)ヤバイ。

 犯罪者予備軍も恐れることなし! 勇者の師である剣聖が教える剣術道場。

 この物語は師範代チームが保障する武器屋の提供でお送りしておりません。


「世界は広い。探せば近接戦闘の心得がある魔法使いもいるだろう。ならばパーティーの穴、弱点となる俺の存在はむしろ不要。そう思わないか」


「いや、あんまし」


 そこは乗っておいた方が良かったかもしれない。

 考え直す余地は大いにありだろう。


「何故だ?」


「んー、賢者とは長いこと一緒だったからな。やっぱりお前がいないと調子出なさそうだ」


「……フム。それなら俺を追い出すには、勇者と共に追い出す必要があると」


「おいやめろ」


 勇者は交渉した。

 しかしうまくきまってしまった!


「確かに二人もパーティーの人員が欠落しては活動がままならなくなるな」


「ホッ……わかってくれたか」


 説得に応じた賢者は思い直すことにしたようだ。

 なんとかなったと胸を撫で下ろす勇者。


「いや待てよ、先んじて補充要員を用意しておけば――」


「お前のような勘のいい魔法使いはごめん被るよっ!」


 結局、勇者パーティーから賢者自身を追い出そうとする考えをお蔵入りにした賢者は勇者の前から退散した。

 一人となった勇者はぽつりと呟く。


「ったく、お前は自分を過小評価し過ぎだっての」




・今回のお話に登場した人物紹介


 賢者……頭のおかしい危険な人物。勇者とは長い付き合い。パーティー内でぶっちぎりでイかれたヤバイ男。

任務開始(ミッションスタート)。爆裂的に制圧する」


 勇者……外面も中身もイケメン。生まれ故郷に仲の良い幼馴染がいる。言わずと知れた勝ち組なイケてる男。

「元気してるかなぁー。早く帰りたいもんだ」

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