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五十六部

「どう思う?質の悪いクリエーターが悪ふざけでCGとか使って作った偽物やと思うか?」

 大阪にいる加藤と藤堂を除いた全員が集まり、動画を見終わったから竹中が聞いた。松前が

「できないことはないですが、波に合わせて船が揺れていることや全体的は画の同調具合から考えると、実際のものである可能性の方が高いですね。

 ただ、この船の燃え上がり方や沈んでいくところはおそらく加工されているものなのではないかと思います。」

「どういうことや?」

「実際にはこんなに派手な映像ではなかったということですよ。」

 片倉が言い、伊達が

「こんなに燃え上がるためには何かしら爆弾かあるいは密漁船に大量に火薬が積んでいないとここまでの爆発はなかったと思いますよ。」

「格好よく見せるための工夫ってことか?」

 竹中が聞くと、山本が

「民間人であっても、日本の海域を犯せば容赦しないということを前面に押し出すための演出と考える方がいいかもしれませんね。」

「これ・・・・・・まずいですよ。」

 大谷が言い、竹中が

「何がや?」

「ちょっといいですか。」

 大谷はそう言いながら、パソコンを操作し、動画を早送りして止めて、

「ここを見てください。」

 大谷はパソコンの画面を指さす。全員がのぞき込むが小さな画面なので大谷がどこを指さしているのか全員が見ることができなかったので、伊達が

「コージ、プロジェクター。」

「はい。」

 松前が答えて、準備をはじめ、プロジェクターを用意して、線をパソコンに繋いで、大画面で写し出された。松前が

「大谷君、どこですか?拡大しますよ。」

「ああ、ここです。」

「ここですね。」

 松前はパソコンを操作して、大谷が指さした点を拡大した。大谷が

「これ、海上自衛隊の船を表すマークですよ。」

「最悪のパターンってことだな。」

 山本が言い、上田が

「あの消えた自衛隊の巡視船がこの動画の犯行に使われたと決めつけるのはまだ早いんじゃないですか?」

「もし消えた巡視船じゃなかったとしても、日本の自衛隊の船が人命を奪ったことに変わりはないんですよ。

 こんなことが公に報道されれば、かなりまずいことになるのは間違いないですよ。」

 大谷が言い、山本が

「でも、これで敵が『平成攘夷軍』ってことはわかったし、まだまだ何か仕掛けてくることも宣言してるわけだ。警察が捕まえて事件を終わりにしないと日本存亡の危機ってやつになりかねない。」

「これは俺らが調べてる、不法滞在者の襲撃事件にも関連してくるともみて間違いないやろな。

 どうする黒田ちゃん、全員で一致団結して捜査にあたった方がよさそうやで?」

「そうですね。山本警部達も竹中さん達の捜査に加わってください。

この状況はかなり危険な状況であるというほかありません。

 しかも、当初の密漁船襲撃事件の捜査段階で自衛隊側が使われた銃の形状や船内から押収したであろう弾丸等から、自衛隊の所有していたものであったことがわかっていなかったとは思えません。

 つまり、自衛隊側は意図的にその事実を隠蔽しようとしていたと考えるのが妥当と考えます。

 最初っから自衛隊の船が襲撃に使われていたことを把握していたからこそ、警察の介入を拒んでいた可能性すらあります。

 早期の事件解決が日本の存亡にかかわる以上は、上からの指示など待ってはいられませんし、何よりも上が高度の政治上の問題で動けないうちに取り返しのつかない状況になることは避けたいと思います。

 全員で捜査をお願いします。」

「了解しました。」

 全員が言い、黒田が

「私は総監のところに行ってきます。色々と確かめたいこともありますので。

捜査の指揮はこれまで通り、竹中さんと山本警部でお願いします。」

 黒田はそう言うと足早に出て行った。

「とりあえず、何からやる山本?」

「そうですね、この動画の投稿元は確認できないのか?」

 山本が聞き、松前が

「難しいですね。他人のパソコンを経由したり、外国のサーバーを経由したりされると出元にたどり着くにはかなり時間がかかると思います。」

「とりあえずやってみてくれ。

 他で言うと、この『平成攘夷軍』っていう名前から何かつかめないか、自衛隊が巡視船を奪われたと仮定して、そんな方法があったのか。

あとは・・・・・」

 山本が考え込むと、竹中が

「こっちの殺人事件とかも調べた方がええんちゃうか?

 もし外国人を日本から追い出すためにやってるとすると、まだまだ犠牲者が出ることになるで。」

「自衛隊の船が奪われた問題に関しては、自衛隊にその時の状況を聞かない限り真相は出てこないと思いますよ。」

 大谷が言い、伊達が

「警察に教えたくないからこそ、今まで隠して来ていたと考えるべきじゃないですか。防衛省は一番情報を隠したがる組織ですからね。」

「そのへんは上層部が文句を言ってくれるだろう。

 次に狙われそうな外国人にあたりを付けて、警察全体で捜索・保護を行いましょう。まずは不法滞在者、それから前科のある外国人、もしかしたら観光客だってその標的になってるかもしれない。

 範囲が広いので、手分けしていきましょう。関西は加藤達に、こっちもできる限りはしていきましょう。

詳細な役割配分はまた後で考えるとして、まずは情報共有と捜索手段の模索から始めていきましょう。」

 山本がそう言うと、殺人事件などの情報共有と対策会議が始まった。


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