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三十一部

「計画は・・・・うまくいってるのか?」

「ええ、当然ですよ。あなたが心配されるようなことは何もありません。

と言っても、まだ計画の初歩段階ですからこれから先どのようなイレギュラーが起こるかはわかりません。

 それに対応するためにもできるだけ私の立場を明確にしていただきたいのですが?」

 暗い部屋の中で男が二人少し離れた場所で話している。

「太田組の薬物事案は既に解決された。

予想よりだいぶ早い解決だ。山本警部達も新たな武器を手に入れたようだし、こちらもことを急ぐ必要があることはわかるだろ。

 お前の立場はもう少し保留だ。

先にやらなければいけないことがたくさんあるんだから、お前はそのたくさんのことを処理することで俺にお前の有用性を示すべきだと思わないか?」

「あなたのそういう所は尊敬しますよ。

人を動かすのが本当にお上手ですね。」

「嫌味にしか聞こえないな。わざとやってるんだろ。」

「何もあなたを怒らせたいわけではありません。

尊敬しているのは事実ですよ。」

「とりあえず、事を成せ。

動き出した計画に少しでも遅れが出た場合は自分の身が危なくなると思うことだ。今回の事案はお前の思い通りに進めてもいいが、それなりの責任を持ってもらわなければいけない。

 これ以上の仲間の身切りは避けたい、誰も失わずに次の段階に進みたいと思ってる。」

「お優しいですね。それではまず秀二から切るべきなんじゃないですか?

あいつは、あなたや黒木さんでも持て余すほどだ。

 今、捨てておかないと後悔すると私は思いますよ。」

「秀二については考えがある。だが捨てずに完全に引き込むことも俺はできると思ってる。捨てるかどうかはまだ決めないでおくのが得策だ。

 とにかく、計画を少し早めてくれ。中国の方も解決されるのは時間の問題なんだから。」

「了解しました。でも坂本さん、事を急いては射損じる、ですよ。

的確に、そして正確に判断を下しながら、適した場所で適した行動をする。

早さよりも正確さが一番大事ですよ。」

 坂本は何も言わずに、部屋から出て行った。一人残った男は髪の毛をかき上げながら、

「あなたが切られないようにする手段も考えておくべきですよ、坂本先輩。」

 男の口角は悪意に満ちて上がった。


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