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二十九部

「ええ!強盗事件解決したんですか?」

 藤堂が大きな声で言ったので、加藤も高山も驚いた。

『ああ、伊達の部下の片倉って人が捜査に加わった瞬間に一気に進展して、違法薬物関係の取引のための事件でコンビニ強盗はその目くらましだったそうだよ。』

 三浦が説明して、藤堂が

「じゃあこの事件の捜査は終わりってことでいいんですか?」

『いや、まだ被害状況の把握と被害者に薬物中毒者がいないかの確認等もろもろの後片付け的な捜査は続くから、そっちで起こった事件の方は大阪府警に引き継いで、空港の方の事件の捜査に集中して欲しいって黒田さんが言ってた。』

「わかりました。じゃあ、そのように行動します。・・・・・・はい了解しました、失礼します。」

 藤堂は電話を切って高山に

「一応、残務整理的な捜査を大阪府警にお願いすることになったみたいですので、そのように府警の方に頼んで頂けますか?

 詳しくはうちの課長代理の方から依頼があると思いますので。」

「了解しました。それにしても、東京は優秀な刑事さんが多いみたいでいいですね。捜査に加わったらすぐに事件解決なんてかっこええですよ。」

「片倉さんって伊達の部下だった人だから北海道警の人だよな?」

加藤が藤堂に聞き、藤堂が

「そうですよ。独断龍の両腕が異動して来たんで、もしかしたら正規の手段で捜査してって感じじゃないかもしれません。」

「ああ、独断龍なら竹中さんから聞いたことありますよ。

犯人ボコって証言出したとか、詐欺グループを詐欺に引っ掛けて捕まえたとか、あとはあまり大きな声では言えない手段で情報集めてるとか。」

「警部を助けた時、鉄パイプで犯人の顔面を強打したって聞いたよな」

加藤が言い、藤堂も

「そのあと組に捜索かけて、何人かケガ人出してましたよね。」

「とんでもない人って事やね独断龍は。」

「その両腕なんだから片倉さんも松前さんもやばい人なんだろうな。」

「えっ、松前って松前小十郎ですか?」

「高山さん知ってるんですか?」

「ええ、府警に一度在籍してたことがあるんですけど大人しいくせに力は強いし、犯人投げ飛ばして全身打撲させたのが理由でどこかに飛ばされたって聞いてましたけど北海道警にいたんですね。」

「そんなに強いんですか?」

「たまたま投げた先にトラックが来て犯人が轢かれただけなんですけど、まあ結果的には松前が投げたから怪我したってことになりまして・・・・・」

「ああ、そういうことですか・・・・」

 藤堂も何となく不憫な感じで言う。加藤が

「でもパソコンの技術が高いとかなんとか聞いてますよ。」

「そうなんですか?それは知らんかったですね」

 高山が言い、藤堂が

「そうなんですか、警察の中で一番のって聞いてますよ。」

「うちから出た後にそのスキルを身に付けたんかもしれないですね」

「へえー」

 藤堂が行った時に、電話が鳴った。見たいことのない番号だったがとりあえず出てみると、

『あ、トウドウさんですか?私ですハンです。』

「ああ、ハンさん。どうしましたか?」

『実はグエンから連絡がありました。

警察に行くように言ったんですけど、警察は信用できないということだったので、藤堂さんの番号だけ教えておきました。

 ただ、中国系のマフィアが関連している可能性が出てきたからあまり簡単には連絡ができなくなってるみたいです。』

「そうですか・・・・・・、他には・・・・どこにいるとか、何人くらいの人がいるとかそんな情報はありましたか?」

『いいえ、アジア系の人がたくさんいたとしか言ってませんでした。

相変わらず公衆電話からなので、場所まではわからないです。』

「わかりました。グエンさんからの連絡を待ってみます。

もし、先にそちらに連絡があるようでしたらまた教えてください。」

『わかりました。』

 ハンはそう言うと電話を切ってしまった。

「グエンの情報ですか?」

 高山が聞き、藤堂が

「はい、でもあまり情報と呼べるものではないですね。

ただ連絡が来たというだけでした。あとは・・・・・そうだ、高山さんアジア系の外国人が集まりそうな場所ってありますか?」

「観光スポットとかも含めるとかなりの量になりますよ?」

「今のところ手詰まりですし、とりあえず思いついた場所でグエンさんを見たことないか聞いて回りましょう。」

「わかりました。」


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