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二十二部

「コンビニの方はどうやったんや、三浦?」

 竹中達は集まって、捜査状況の確認をしていた。

「防犯カメラの映像には、犯人グループの特徴を映し出しているようなものはありませんでした。被害に遭ったコンビニ全てのカメラを確認しましたが、有力な物はなしです。

ただ、店員の話では袖の間から見えた腕が黒人のものだったという証言は得られました。」

 三浦が報告をすると、竹中はため息をついて、

「そっちも黒人か。

 山本らの事件となんか関連してるんやったらアジア系が混じってるかと思ったけど、こっちもそっちも黒人の腕を見たって証言があると俺らと山本の事件には関係はないんかもしれんな。」

「そうですね、路上の強盗とコンビニ強盗の手口は一致しいるところがありますから、この二つは関連があると思います。

 ただ、山本警部達の方の事件とでは犯罪の種類も手口も違いますから関連付けは難しいですね。」

 今川が言うと、竹中が

「他に何かわかったことあったか?」

「犯行当時、コンビニに居合わせた客が一人いたんですけど、その人はサッカーが好きでブラジルとかによく旅行に行くらしいんですよ。」

 三浦が言い、意味がわからないと言った感じで竹中が聞き返す。

「それがなんやねん?」

「三浦さん、大事な部分が抜けてますよ。

犯人グループ間で話されていた言語がブラジルで聞いたものと一緒だったとそのお客さんが言ってたんです。

 そうなると、犯人グループはポルトガル語を話していたということになるんです。」

 大谷が説明し直し、

「ということはやで、犯人グループはブラジル人の可能性があるってことか?」

「可能性の段階で言うとありえると思います。

 法務省の統計で言うと、昨年度のブラジル人の在留者は18万3583人となってます。これは正規の在留資格を持っている人数なので、もっとたくさんいるのかも知れません。ポルトガル語を話す黒人となると他にもいると思うので特定はできませんが可能性は高いと思います。」

 大谷が言うと竹中が

「難しいことはええねん。とりあえず、在日してるブラジル人から調べて行こか。

 18万人って、どうやって調べたらええねん。」

「犯行後、走って逃げているところを店員が見たらしいですけど、そこそこ速く走ってたので、年齢はそんなに高くないのではないかという話でしたから、20代・30代くらいを中心に調べてみればいいと思います。」

 三浦が言い、竹中はため息をついて、

「それも日本全国のってことやろ?犯行は全国で起こってるわけやし、交通機関が発達した現代で、その時だけこっちに来ることも難しいことやない。

 しかもハーフの人とかも交じってたら、もっと捜査対象が広がるわけやな。」

 竹中が一段と大きくため息をついた。三浦が

「竹中さんの方はどうなんですか?

なんか一人捕まえてきたって聞きましたけど?」

「ああ、違法薬物つかっとった会社員や。

色々と聞いてるけど、あんまり事件に関係するような話は出てきてないねん。」

「あっ、でも、犯人グループがその違法薬物も持ち去ってたらしいんですよ。

普通、強盗が金品以外のものを持ち去るのは怪しいから、もしかしたら犯行グループの中でその薬物を使用していた奴がいたんじゃないかってことで売人を今探してるところです。」

 今川が補足するように言う。三浦が

「それって、売ったクスリをただ取り返してるだけなんじゃないんですか?

例えばですけど、お金と交換でクスリを渡す形にしておいて、クスリだけ回収すれば、品を渡さずに金だけが手に入るという形になるわけですから。」

「アホか、そんなんわかっとるわ。とりあえず売人探して、全部そっからはじめんとアカンことくらいわかってんねん。

 問題は売人を探す方法がない事や。」

竹中の苛立ちを感じて、それ以上誰も何も言わなかった。少しの間、沈黙が流れた後で、落ち着いた声がドアの方から聞こえてきた。

「それなら私にお手伝いさせて頂けますか。」

 その場にいた全員がドアの方を振り返ると、そこにはインテリヤクザを思わせる格好の男が立っていた。


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