07:国王との会食
部屋に戻り、汗を流してから使用人に今日の夕食がどうなるのか聞いてみると、「時間が近くなればお呼びいたしますので、それまで部屋でお寛ぎください」と言われた。
時間が微妙に空いたので、椅子に座って自分の中の魔力を確認してみる。
どんなことをさせたかで魔力は性質が少し変わるため、色々と小分けしてあり、少なくとも訓練を終えてから今までに混ざった様子はない。
まずは、標準的な動作しかさせていない『純粋魔力』。少しずつ回復してくる魔力もこれと同じだったため、ほぼ同様の扱いをしている。
『純粋魔力』から変化させた六属性分の『属性魔力』と、聖属性っぽい何かへの変化を経験した『聖(仮)属性魔力』。
あとは、『純粋魔力』から直接変化させ──ようとして少ししか変化しなかった『聖(仮)属性魔力』。それだけだと少なすぎて『純粋魔力』を混ぜて水増ししたので、『実験用聖(仮)属性魔力(薄)』というべきか。
今のところどれも安定していて、純度は殆ど変わっていない。このままだと次の実験で『実験用聖(仮)属性魔力(薄)』が使えない可能性もある、か?
そんな事になったら困るので、【固定】で作った魔力を通さないボールで左手を包み、その中で魔力を変化させる。それだけでは飽きるので、他の『属性魔力』も多少なり純度を上げておく。
左手の血流を止めないように【固定】のボールには穴が開いているのだが、【魔力知覚】はそこを通り抜けて中の魔力を感知できるものではないらしい。ほんのりとした光は見えるが、そういった視覚情報や左手以外からの【魔力知覚】で魔法の発動を感じ取ることはできない。
……つまり、まぁ、なんだ。場所を弁えずに、こっそり暇つぶしができるというわけだな。
手入れをする武器もないからこのぐらいしかやることがないし、今寝ると寝過ごしそうな気がする。娯楽を求めるのも何か状況的に申し訳ないし、何もせずに待っていると眠気がひどいことになりそうだ。
そのまま左手の手遊び──もとい、『属性魔力』の純度を上げ続け、徐々に余裕が出てきたので、複数の魔法を制御する方法を考えながら寛ぐことにした。
しばらく続けているとドア越しに足音が聞こえたので、魔法を中断する。
ちなみに、翻訳の仕様かどうかはわからないが、中断は中途で断絶させる意味らしい。いつでも再開できるように止める場合は停止と言うのだそうな。日常でよく言うイメージとは逆な気もするが、たしか日本の法律だとこっちの意味だったはずだ。
余計な事を思い出しながらだったが、【固定】の中の光が消えたところでドアをノックされた。
「シライ様、起きておられますか?」
「はい、起きてますよ。どうぞ」
「失礼します」
そのまま【反固定】で更に片付けながら返事をすると、先程予定を聞いた使用人が入ってきた。良くは知らないが俺を担当する女中さん、なのかな? 毎回この人だった気がする。
名前はまだ聞いてない。ファミリーレストランのウェイトレスや、カラオケで注文した軽食を持ってきてくれる店員さんに名前を聞くような違和感があるせいだ。……メイドカフェに通い慣れてる人なんかだと、また違うのかもしれないが。
「三〇分後に会食の予定となっております。準備は……問題ないようですね。では時間が近付きましたらご案内いたします」
「よろしく」
結局名を知らないままの、顔見知りの使用人に案内されて駆、アモリアと合流。今までとは違う部屋に通される。
その部屋には誰だろうか、知らない金髪碧眼の中年が席に着いていた。まぁ、状況から考えると一人しかいないのだが。
「やぁ、よく来てくれたね、二人とも」
「はい……ええと、こんばんは。本堂駆です」
「こんばんは。白井悠理です。間違えていたら申し訳ありませんが、国王陛下でしょうか」
「ああ、私はグリフォード国王、バルダー・グリフォードに相違ない。さて、ホンドー殿、シライ殿、アモリアも席に着くと良い。食事を取りながら今後の話をしよう」
「わかりました」
「では、失礼します」
「……」
席に着くと、飲み物が用意された。促されたので飲んでみると鼻から抜ける香り。これは──
「お酒ですか?」
「食前酒さ。……苦手だったのかな?」
今まで城で出てきた飲み物は果実水の類だったので、酒類が出てくるのは少し予想外だった。
駆は最初驚いた後、物珍しそうにちびちびと飲んでいる。
質問をされているので、正直なところは述べておく。
「あまり飲み慣れてはいませんね。日本ではかなり規制が厳しかったので」
「うん? 違法なものだったのかね?」
「いえ、合法ですよ。年齢制限があったのと、飲酒後は乗り物を運転してはいけない。あとは、お酒の値段に税金が含まれていたので高価でした」
「なるほど。とするとホンドー殿は……」
「恐らく、本格的に飲んだことはないと思いますよ。あれ、本堂君いくつだっけ?」
「へ、はい、一六です。甘酒とお屠蘇ぐらいは飲みましたけど」
「あ、それがあったか。甘酒にはアルコールなんて殆ど入ってなかったはずだけど、お屠蘇は大丈夫だった?」
「はい、大丈夫でした」
「その、お屠蘇っていうのは年齢制限がないのかい?」
「年始の行事の一環として、一杯だけ飲むお酒ですね。酔うために飲むわけではないのでギリギリ対象外、といったところです。勿論、お屠蘇でも飲んだ後で乗り物を運転すると罰せられますが」
「結構強いお酒なのかい?」
「地域によって違うかもしれませんが、うちのはこれより少し強いお酒でしたね。なんにしても飲み慣れてないはずなんで、あんまり飲ませないであげてください」
「わかった、そうしよう」
それからは、料理を口にしながら雑談を重ねていった。
具体的には、現代の地球人に比べてこちらの人の体力は高いとか、訓練はきつかったがまぁ楽しかったとか。
そしてふと思い出したことがあったので聞いてみることにした。
「そういえば、私達異世界人のこの国の扱いって、どうなってるんです? バルダーさんやアモリアさんへの接し方とか、もう少し遜った方が良いですか?」
「こちらが望んで来てもらった賓客、という扱いだね。こういう個人的な場においては遜る必要はないよ」
「ありがとうございます。公の場であればどうしましょうか」
「うーん……状況次第、かな。力を示してればある程度許容されるとは思うけど」
「……そうですね。周囲に合わせておきます」
そんな話をしながら一つ一つ確かめるように食べていると、その事についてバルダーから声を掛けられた。
「随分食事に集中しているようだが、何か問題でもあったかな?」
「すみません、毒になる物が含まれていないかと、少し慎重になっているだけです」
「……どういう意味だね? 私達が毒を盛ったとでも?」
「いえ違いますよ、意図して毒を盛った等という意味ではありません」
「うん?」
ちょっと言い方がまずかったかと即座にきっぱり否定し、説明をする。
こちらの世界の住人はパッと見人間と似ている。つまりは炭素を中心として構成された細胞を持つ生命体であり、身体構造も類似、いや酷似している。大気は圧力も成分も問題なさそう。
これだけ好条件がそろっていて、食物の見た目なども大差ない時点でまず大丈夫だろうとは思うが、やはり地球人だけ中毒を起こす食品なども存在する可能性は無視できないな、と。
ちなみにこの例としては、哺乳類というくくりだけで考えてもいくつかある。
犬や猫であれば、ネギ類やチョコレート、ブドウを与えると死亡する危険がある。逆に、有名な毒草のベラドンナやウルシ科の植物などは、人には毒になるものの、鹿や兎は食べることもできるわけだ。
地球人同士でもアレルギーや体質の関係で多少(牛乳で腹を下しやすい等)の差異はあるが、これが異世界人ともなれば、同じ世界の人同士よりは極端な結果をもたらす可能性も考えられる。
というような説明をした。動物の名前がすんなり伝わって逆に驚いた。
「なるほど、そういった理由であれば、理解はできる」
「見た目が似すぎていて忘れそうになりますがね」
「……アモリア、彼ら二人にその話はしていたか?」
「……あまり詳しくはしておりませんでした。召喚への理解はあるようでしたが」
「ふむ。……私達の住むこの世界は時折、空間の歪みによって他の世界と繋がる事があるのだが、そちらにはそのような話はなかったのかい?」
「それなりにはありますが、私は……いや、俺はそういった話は全て創作だと思っていました」
「ではなぜ、君達の世界から召喚できたと思う?」
「偶然繋がった……というわけではなかったんですね」
「繋がりやすい世界だったからこそ、短時間とはいえ、君達の世界に道を繋ぐ技術を確立できたわけだ。たまたま見かけた異世界人を帰す手段もなしに呼び付けるほど、私達は恥知らずではないよ」
「という事は、こっちから地球に行くこともできるんですか?」
「消費する魔力量の関係で頻繁には無理だが、魔王を倒してくれた恩人にその道を用意する準備ぐらいはあるよ。安心してくれていい」
「そうでしたか。そして繋がり易い世界だから、どちらが先であるかは別として、遡っていけばどこかで血の繋がりがある、と」
「人間以外の動植物も含めて、ね。だから、君達にしか効かない毒というのはまず無いし、逆に私達にしか効かない毒というのも無いと考えて良いはずだよ」
「そうですか、それは……安心しました」
食物に関しては警戒を緩めて良さそうだ。
昨日も朝もばくばく食っていたのはなんだったかとふと思ったが、思いのほか白井悠理に戻された事に大して鬱憤が溜まっていたらしい。投げやりになっていたようだ。判断力が戻ってきた理由は……訓練がそれなりに楽しかったからか?
しかし、日本には戻れるのか。……今更戻れたとしても、主観で十八年も離れていた今となっては……迷うな。
そういえば、世界間の交流が偶然だろうとあったのなら、一応聞いておいた方が良いだろうか。
「一つ質問があります。俺達の世界から俺達以外に来た例というのはどの程度存在しています? 伝わった技術とか」
「そうだな……比較的新しい部類で言うと、銃があるよ。我が国では廃れているが、運用しようとしている国もあったはずだ」
「あれ、銃もあるんですか?」
……訓練の時に俺がした心配はなんだったのか。
「そのぐらいはね。だが、そんなに強い物でもないだろう? 次弾の準備に時間がかかり、持ち運びも不便。射程もさほど長くはなく、天候や環境に左右され、音が大きいため隠密にも向かない。魔力を使わなくても威力は出せるが、魔力を使うなら弓矢の方が全般において優秀だ」
「地球だと個人用の武器としては銃はかなり強い武器なんですが……魔法があればこうなると……そういえば、弓で魔力を使った射撃はまだ見ていませんね、俺は」
「君達が参加した訓練は新兵向けの基礎的なものだったからね。望むなら次回から上位の者の訓練に参加させる事もできるが、どうする?」
「できれば早めに上は見ておきたいですね。目標は定まってた方が訓練にも身が入り易そうですし」
「!? ……僕もそっちに参加した方が良いですかね?」
「うーん……本堂君はもう少し基礎をしっかり身につけた方が良いと思うよ?」
「ええぇ、白井さんだって走り込みボロボロだったじゃないですか。……それ以外は凄かったですけど」
「持久力をつけるだけなら、あの訓練に参加しなくてもできるからな。いや……魔力でごり押しできるならなくても良いのか? 内容がわからないから断言はできないが」
「上を見ておくというのは良い事だと思うよ。二人とも参加でいいんだね? 見学だけ、というのもできなくはないけど」
「俺は参加を希望します」
「ぼ、僕も参加で」
「わかった、そのようにしておく。次の訓練は明後日だから、そのつもりでね」
「わかりました」「はい」
……しかし、銃は既にあるのかぁ。運用しようとしている国があるなら現代レベルの銃は存在している可能性もあるかな?
俺は銃に詳しくはないが、弾を十数発装填できる拳銃やら、連射が効いて安定もするライフル、キロ単位の射程を持つスナイパーライフル。マグナムなんていう威力が桁違いの拳銃も存在は知っている。
次弾の準備に時間がかかる、という事は薬莢が開発されていないのか? あるいはそれでも遅いと言われているのか。
いずれにせよ、最悪を想定するなら、近距離では口径がインチを超える軽機関銃。遠距離では精度の高い大砲などだろうか。
逆に、それらにすら耐えうる防弾装備の存在も考えられなくはない。まぁ、俺の知らないスキルや素材次第だとは思うが。
「そうそう、訓練で聖属性魔法を発動する事もできたんだって?」
「ああ、あれはやっぱりそうだったんですか」
「加護があっても発動までもう少し時間がかかると思っていましたが、素晴らしいです、ホンドー様」
「いえ、僕は光属性と闇属性までしか発動できませんでしたよ?」
「えっ?」
「……うん?」
……ん? どういう話だ? これ。
俺が銃について考えているうちに進んでいた駆とバルダー達の会話を理解できずにいると、バルダーが話を整理し始めた。
「聖属性の加護を得ていたのは、ホンドー殿だったよね?」
「はい、それは確かに僕です」
「それで、今日の訓練で異世界人のうち一人が聖属性魔法を発動させたって報告を受けたんだけど、それもホンドー殿じゃないのかい?」
「いえ、僕はスキルを持ってる光属性の制御でもかなりきつかったので、今日は慣らそうと四属性と光属性、闇属性までの練習をしていただけです」
「という事は、発動させたのはシライ殿?」
「多分、そうですね。五つの属性を合わせたら威力の高い別の属性魔法になりましたけど、あれが間違いなく聖属性だったかは確認しそびれてました。すみません」
「そうか。……ここで見せてもらっても良いかな?」
……ここで? たしか訓練所以外で発動すると捕まるか殺されるかっていう話を聞いた覚えがあるんだが。
「えと、ここで魔法使っても良いんですか?」
「私だって不意打ちでないなら確実に防げる程度の腕は持っているし、何より私が求めている事だ。杖は持ってこさせよう。的もあった方が良いかい?」
「そういう事ならまぁ、わかりました。威力を見るのでないなら的は不要です。杖も要りませんよ」
「ほぅ?」
「じゃあ、使ってみせますね?」
「ああ」
使用人兼護衛? のような人が少し前に出て備えたのを見てから頷き、その場で左手を上に向け、手のひらから少し離れた空中に魔力を集めて、件の属性に変化させてみせる。
使った魔力は『聖(仮)属性魔力』という扱いで管理していた魔力。ここで確信を得たいところ。
……全員驚いているようだが、そんなに変な事をしただろうか。
「えっと、これだけですけど」
「……確かに、聖属性の魔法だね、これは」
「杖無しでそんな軽く発動できるんですね……」
「そんな……」
聖属性なのは確かなようなので(仮)は外すとして、この反応はなんだろう?
「……俺、そんなに変な事しました?」
「どうやって【聖魔法】スキルを覚えたのか、聞いていいかい?」
「え、と、スキルを覚えてるかどうかはわかりませんよ? 聖属性の魔法を使えるようになった経緯なら、アモリアさんと、訓練で監督をしてくれたリケルさんから聞いた話を参考にして、五つの属性を混ぜたんです。実演した方がいいですか?」
「あ、ああ」
了解も得たので、実演してみよう。
魔力を全部元通りに取り込んでしまってから、五つの『属性魔力』を混ぜて、先程と同じように手の上に集める。
「こんな風に、五つ分の属性に変化させた事がある魔力を集めて……」
火属性から順に五つの属性への変化をかけていく。
「各属性への変化をかけながら、暴発させないように制御してたら、真ん中の方から聖属性に変化していったんです。一番最初にやった時は属性ごとに一回ずつ、緩くしか変化させてなかったせいか光属性として安定していきましたけど、足りなくなった属性を補っていけば…………あ、きましたね」
喋ってるうちに真ん中から聖属性に変化してきた。
「まぁ、こんな感じで聖属性になりました」
「ああ、そうか、シライ殿は精神が高いんだったかな」
「はい、そうですね。この方法は、精神があまり高くない人だと苦労しそうな印象は受けました。ある程度高ければ簡単に届きそうですけど」
精神の数値、魔力を制御する力の弱い人であれば、無理やり押し込めるような聖属性への変化は難しいだろう。
「いや、驚いたよ……最初に直接変化させていたのは、どうやったんだい?」
「それはこの魔力を一度吸収した後の話ですね。どうやら聖属性に変化した事がない魔力を聖属性に変化させる場合は、妙に時間がかかるみたいでして……比較してみたら落差の激しさに驚きました」
「へぇ……って、白井さんは色んな魔力を保存してるんですか?」
「うん、混ざらないように管理するのは結構簡単だったから。変化させたことがない魔力と、火から闇まで一つへの変化だけを覚えさせた魔力六属性分、あと聖属性への変化を覚えさせた魔力で、八種類だね。実験用に細かいのもいくつかあるけどそれは省くよ」
「「!?」」
「む、僕もそうした方がいいんでしょうか」
「お勧めはしておくよ。一つの属性への変化だけを繰り返した魔力は、その属性専用としてなら扱い易いみたいだから」
「わかりました」
「じゃ、そろそろ片付けますねー」
維持するだけでも魔力を結構消費するので、宣言してから取り込んだ。
「シライ殿、ホンドー殿が聖属性の魔法を扱えるようになるまで、どのぐらいかかると思う?」
「五つの属性を合成する時が一番難しかったので、そこを超えられるかどうかになると思いますが……そう遠くはないと思いますよ? 本堂君にはスキルだってありますし」
「そうか、凄いものだな、異世界人とは……」
「それは俺も同じ感想ですよ、あちらにはスキルも魔法もありませんし、この【伝達】の便利さときたら……」
「ははは、【伝達】もなしに多言語が入り乱れる世界というのは、大変なんだろうね」
「ええ。とても」
……外国語は苦手なんだよな、俺。
エルヴァンの頃は現代日本より世界が狭く、一つの言語で済んでいたので、なんとかなった。
一つの言語を日常的に使いでもしないと中々覚えるのは難しいから、こちらで得た【伝達】はとても助かる。
とはいっても、相手側も習得している必要があるから、今の俺が地球にいって外国人とペラペラ喋るなんてのは勿論無理だ。いや、確かアモリアは一人ぐらいなら意思疎通を行う魔法があると言っていたか?
どの程度読めるかはわからないが、スキル関係の資料もあるなら読んでおきたい。
会食が終わってからは部屋に戻り、後は寝るだけという状態にはなったが、明日は外に出るので体内の【固定】の最適化を進めておこうと思う。この作業は相当な時間がかかるし、再開できるように途中で止めるのも面倒だが、確実に能力を伸ばせるからだ。
だからといっていい加減に【固定】を掛けると、酷い時には動くだけで体内を棒で掻き回すようなことになりかねないので、手は抜けない。尤も、身体から【固定】の力を掛けられる範囲ならこの力を通して認識できるので、慎重にやれば大丈夫ではあるんだが。
あとは、訓練で見せる事になったあの醜態を今後は晒さないように、脚の筋を伸ばす必要もあるな……どのへんで区切ろうか?
もう少しもう少しと調整を続けていたら、召喚されて二日目の夜は随分と更けていたので、布団に入った。