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仕様違いの魔法使い  作者: 赤上紫下
第 1 章

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13/238

12:上位者との模擬戦 前編

 ………………

 …………

 ……



「慣れて、きたのかな」

 目が覚めてから、そんな言葉が思わず口に出た。今日は起きてからの倦怠感が薄い。睡眠時間もやや長かったようだ。

 理由は、昨日色々あった出来事が楽しかったせい、だろうか? エルヴァンだった頃を寝ている間は思い出さずに済んだ。

 しかし、寝覚めが良くても結局、エルヴァンだった頃を思い出すわけだな。……腹立たしい。筋違いだとわかっていても、な。

 今日の訓練でも昨日と同じぐらい暴れられればスッキリと……いや、それは悪いか? ……他の参加者次第か。


 身だしなみを整えてから、今日も【魔力操作】と【固定】を使ってみる。なんとなくだが、身体に馴染む魔力も増えているように感じた。

 情報が少ないので断定はできないが、『精神』と表示されていた、魔力操作の力強さと持久力が関係している気がする。そして昨日の戦闘からもわかったことだが、魔法は強力な戦力になり得る。できれば、蓄えられる量は増やしておきたい。

 幸いにも俺は、【固定】のお陰で魔力的な絶縁体を好きなように作れる。通すか通さないかの設定が後からでも自在という、なんとも都合の良いものだ。

 とりあえずと、邪魔にならないようにカバー付きスマートホンぐらいの大きさで試作して、魔力を流し込んでみた。


 この世界の魔力というものは、空気に乗って流れてしまう。だから体の外に出た魔力は、【魔力操作】を使い続けて保たなければ、制御を離れて拡散していく。

 空気の流れの少ない空間であれば散り難いのかもしれない。だが、魔力というのは熱が伝わるように、濃度の高い所から濃度の低い所へ伝わりもするようだ。

 では今作った【固定】製容器の中と外ではどうなるか。まずは、その実験からだな。

 わかり易いように、かなり濃くなるまで魔力を注ぎ込んだ容器の注ぎ口を塞ぎ、持ったまま部屋の中を歩き回って、振り回してみる。


 結果、少なくとも、認識できるレベルでは流出も減少もしなかった。つまり俺なら、【魔力操作】を使わずに高濃度の魔力をそのまま保持できるわけだ。

 ということでなんとなく、作った【固定】製容器内の空気圧を少し高めてから、出入り口を塞いで放置しておく。……分子の量が増えれば蓄えられる魔力も増えるかもしれないからな。

 そして、蓄えられても利用できなくては意味がないので、【固定】の力で魔力の通り道を作ってみる。

 体内、皮膚辺りを通すように──しようとしたら、痛みを感じた。高濃度の魔力を扱う場合、身体自体に魔力を通すのは危ないようだ。

 いったん閉じてから改めて。容器からの魔力の出口を空中に向けて作ると、そこから魔力が勢いよく流れ出た。流出した魔力はいつものように操作できるようなので、一応は成功か。

 次に、操作用端子とでもいうのか、魔力がゆっくりとしか通れない針を作ると、流出を防ぎながら内部の魔力を操作することもできた。これで最低限の運用は可能だろう。

 時間経過でどうなるかを実験できていないが、それは今できることではない。


 ひとまず、空中の魔力を魔力の輪で吸収し、『属性魔力』を水増ししながら押し込んでいく。勿論、混ざらないように内部は属性ごとに区切ってある。

 名前はあった方が便利そうなので──ぱっと思いついただけの名前だが、『魔力容器(マナケース)』と呼んでおくことにした。



 使用人が呼びに来たので『魔力容器(マナケース)』との接続を切る。

 付いて行くとアモリアが待っていて、程なく駆も到着し、今日も三人での朝食となった。

「傍から見てたら、白井さんがすごい飛ばされて驚いたんですよね」

「オーガの攻撃を受けたんですか? その、大丈夫でした?」

「俺が負わされた怪我は腕の内出血ぐらいで、問題なく動けましたよ。一応、本堂君に治してもらいましたけど」

「派手に飛ばされていた割に全然怪我をしてなくて、使う魔力の少なさにまた驚きましたよ……」

「あはは、でもあの時は重症な獣人族もいたんだから、俺の怪我は少なくて良かったろう?」

「それはそうなんですけどねー。むぅ」

 昨日のことを話しながら、朝食の時間は流れていった。


「ではお二方とも、今日は上位の方との訓練ですね。頑張ってください」

「はい」「うん」

 どんな訓練か、楽しみだ。



 訓練着に着替え、使用人の案内で訓練場に来た。

 前とは別の場所にある訓練場で、広さは前と同じ縦八〇、横一〇〇メートル程度だが、置かれている物が異なっている。

 具体的には、直径十数メートルほどの円状の台が三つと、その倍ほどの直径の台が一つ。残りのスペースには何かの道具類。人数は少なく、置かれている物の高さもそれほどではないせいか、前の訓練場より広く感じる。

 台の置かれていない場所に人が集まっていたのでそちらに向かうと、見覚えのある人が俺に気付いた。

「おう、来たか」

「おはようございます、エドワルドさん。今回も監督を?」

「それでも間違ってはいないがな、今回は参加もする予定だ」

「そうなんですか、それでええと、この訓練ってどんなことをやるんです?」

「聞かされてなかったのか?」

「聞いてたのは、上位の方々の訓練、という程度ですね」

「……そうか。まぁ、やることはそう難しくない。武器を選んで、身を守るための魔道具を首にかけて、そこの闘技台(リング)の上で戦うんだ」

「魔法とかもありなんです?」

「ついでに弓もだな。闘技台(リング)自体が巨大な魔道具で、風の壁で流れ弾を防ぐ。身に着ける方の魔道具もそれに対応したもので、闘技台(リング)から魔力を受け取って風の鎧を貼ってくれる。これで覆うのは首の辺りだけだがな。その鎧を壊せば勝ち、壊されれば負けだ」

「へぇぇ……」


 闘技台(リング)と呼ばれた台を見ながら、便利な魔道具もあるもんだと感心していると、体格の良い人が走ってきて話し始めた。

「そろそろ時間ですし、設営始めましょうか、エドワルドさん。と、そっちの二人が今日参加する新人ですか?」

「そうだ、でかい方がユーリで、若い方がカケルだな。よし、お前らも手伝え」

「何をすればいいんです?」

「そこの(ポール)闘技台(リング)まで運んで、指示に従ってぶっ刺すだけだ。(ポール)は向きを合わせる必要はあるが、穴を見れば向きはわかるからお前らでも大丈夫だろう」

「わかりました」


 エドワルドの指示に従って(ポール)を一本ずつ運ぶ。一本の重量は一五キログラムぐらい、長さは一五〇センチメートル近くあるので地味に疲れる。

 刺す側の先端付近は赤く塗られていて、かまぼこ型に整えてある。小さな闘技台(リング)で六本、大きな闘技台(リング)には一二本刺して、動作確認を終えた。

 三メートルほどの高さの、ほぼ透明な壁ができた時は口から思わず感嘆の息が漏れる。

「凄いですね」

「必要になる魔力が多いせいで、初心者の訓練には回せないのが残念だがな」

「なるほどです」


 設営は終わったので、次は装備を選ぶ。

 俺が選んだのは、皮鎧を除けば小さな盾と短剣と弓矢。ぶっちゃけた話、オーガと戦った時と比べても重装備である。

「……鎧はいいとして、武器はそれでいいのか?」

「ええ、大丈夫ですよ。用意されてた装備から選ぶなら、これが一番戦い易いと思います」

「……そうか」

 全力で【固定】を活用するなら服だけでも構わないんだが、それはいくらなんでも見映えが悪いからな。

 駆は悩んだようだが、前と同じ重装備に落ち着いた。


 全員が装備を選び終えたところで、小さな闘技台(リング)に、適当に振り分けられた。俺と同じ闘技台(リング)は一〇人。駆もエドワルドも別の闘技台(リング)だ。

 闘技台(リング)ごとに戦い、それぞれで二名を選出、最後に計六名が大型闘技台(リング)と呼ばれていた大きな闘技台(リング)でまとめて戦う、という流れらしい。

 人数が少ない時は総当たりで選ぶこともあるそうだが、今回ぐらいならトーナメント形式で進めるそうだ。

 他の闘技台(リング)の決着が遅れている場合は追加でいくらか戦うこともできるとも聞いたが、あまり狙うことでもないので一戦一戦しっかり戦おうと思う。



「舐めているのか?」

「え、俺?」

「ああ、お前だ。その軽装でこの訓練に参加するなど、何を考えている?」

 割り振られた闘技台(リング)に集まり、参加者であると名乗った途端、絡まれた。

 皆大なり小なり俺の装備を見て不思議に思っていたのか、意識を向けられているような気がする。……まぁ、パッと見は軽装だしな、俺。

 ちなみに絡んできた相手はヴェイルと名乗っていて、この闘技台(リング)に集まった人の中では重装備な方だ。確かにこういう装備をしている人から見れば舐めているように見えるのかもしれない。……っと、答えないとな。

「用意されてた装備ですよ? それに重い装備を着込むと動きが鈍り過ぎるんで」

「機敏に動けるようには見えないがな。……その慢心、打ち砕いてやる」

「ええ、楽しみにしてます」

 今の俺はオーガの一撃ぐらい受け止められるはずなんだが……もしやこの人はあのオーガに匹敵する膂力で刃物を振るうのだろうか。

 変な方向に妄想しかけたところで、注目を集めるためか監督らしき人が手を叩いて注目を集めた。

「そろそろ始めようと思う。やる気が溢れてそうなヴェイル、ユーリの二人から行ってこい」

「ああ」

「はい」

 俺は返事をしてから、ヴェイルというらしい相手とは別の階段に向かった。


 闘技台(リング)で戦う際の流れとしてはまず、階段がいくつかあるので、対戦する相手とは別の所から上る。階段の数は、小さな闘技台(リング)は三つ、大きな方は六つである。

 参戦者が入ってしばらくすると壁が発生し、身に着けていた魔道具からも鎧が発生する。と、うん、無事に発生した。

 その後更に数秒待つと開始の合図も鳴るとかなんとか──プァーンと、気の抜けたクラクションのような音が鳴った。これが合図らしい。ヴェイルも剣を抜いて向かってくる。

「早さが頼みではないのか? 速攻を仕掛けてくるかと思ったのだが」

「速さを捨てる気はないが、それだけを頼みにしているつもりもないよ。では」

「……ッ!」

 ギンッという音と共に、首筋を狙った俺の初手は剣で防がれた。

 反撃で振られるヴェイルの剣は、身を(かわ)しつつ、キンという程度の音を立てて俺の短剣が逸らす。ヴェイルの膂力は、いや、腕だけじゃないな。全身を使っているが、それでもやはり、オーガに届く程の力ではない。

 続けて連続で振るわれたヴェイルの剣を避け、逸らし、盾で受け止めて短剣で切りかかる。今回は相手の盾で止められた。

 そのまま力を込めているとヴェイルが再び剣を叩き付けてきたので、盾で受け止め、その直後に膝蹴りを叩き込む。

 ヴェイルは後ろに跳んで俺の蹴りの衝撃を逃がしたようだ。


「少し甘く見ていたよ、異世界人」

 また攻めてくるかと思って備えていると、ヴェイルは声を掛けてきた。

「そうですか」

「ここからは、本気で行く」

「お待ちしております」

「ハッ!」

 笑みを浮かべて先程と同じ言葉を返すと、ヴェイルは腰から短い杖を抜き、声を上げながら水属性らしい魔法の球を放ってきた。

 盾で受け止めると重い音と共に盾ごと後ろに押され、俺は体勢を崩した。ゴブリンの貧弱な魔法を基準に考えるのは流石に失礼だった模様。

「ゼヤァッ!」

「おぉっ?」

 体勢を崩した俺を見て、ヴェイルが飛び掛かってきた。体重の乗った剣を盾と短剣で支えるが、それだけでは勢いを止めきれず風の鎧にカツンと剣が触れたのがわかる。

 ヴェイルもそれに気付いたのか、更に押し込もうとしてくるが──まぁ、こんなところで負けてやる気もないので、蹴り飛ばす。

 今回当てに行ったのは足の裏だが、筋は伸ばしていたので、イーリアと戦った時のように転ぶこともない。

「クッ……水よ!」

「……フンッ!」

 同じ魔法を放ってきたので、盾で弾き散らす。そのまま切りかかろうと思ったが、ヴェイルは距離を取りつつ魔法で攻めるつもりらしく、俺が近寄ろうとすると離れていく。


 しかしこれは、なんと言えばいいのだろうか……魔道具から出る風の鎧ってのは、こんな威力でも割れるのかねぇ?

 実戦用の杖なんかが存在してるなら、もう少し殺傷力の高い魔法を撃ち易くなったりするのかな?

「炎よ!」

「おお、本当に炎っぽい?」

「バッ……はっ!?」

 初心者用の訓練で見た色が違う程度の火属性ではない、本物の火でできたように見えるハンドボール大ぐらいの球が飛んできたので、思わず左手で掴んで止めた。勿論、左手は【固定】で固めた空気を使って守っている。

 干渉できるかと試してみるが、制御下に置くには時間がかかり、吸収する前に魔法を構成する魔力が尽きそうだ。

 手首周りに魔力の輪を出して回しながら、魔法を握り潰してみる。形がつぶれた分吸収し易くなったらしく、吸収の効率も上がった。数秒吸収すると燃えカスのようになり、吸収効率も落ちてきたので放り捨てると、空気に溶けるように薄れていった。

 魔力の輪で奪った魔力はしっかり制御下に置けているようなので、自分の魔力を少しだけ核に、残りは奪ったヴェイルの魔力で、赤くなった程度の火属性の魔法の球を作る。

 ヴェイルを見ると自失しているようだったが、俺が魔法を放とうとすると反応はあったので、ゆっくりと放ってみる。

 ヴェイルは俺の魔法を盾で防ぎ、よろめきながらも弾いた。が──

「杖無しの魔法には驚いたが、この程度では──」

「まだ制御は届いてますよ?」

「む? ッ!」

 弾かれただけで壊れていなかったので、そのまま魔法の球を制御してヴェイルに当てる。その衝撃で風の鎧がパンという音を立てて崩壊、俺の魔法の球も弾かれるように壊され、そのすぐ後でプァーンと音が鳴った。つくづく、どこか気の抜ける音である。

 しかし決着がついた時点で外側に向けて破裂させ、攻撃をはじき返す仕組みが組み込まれているとは思わなかった。変なところでハイテクだとは思うが、材料さえあれば思いつき易いものではある……のか?


 何やら周囲が妙に静かだったが、とりあえず試合は終わったので闘技台(リング)を降りて元の場所まで戻った。そのまま監督に確認してみる。

「えと、俺の勝ちですよね?」

「あ、ああ。それは間違いない。……手は、大丈夫か?」

「全然平気ですよ?」

 布のグローブも取って見せる。火傷をしているようには見えないし、グローブの方も焦げ目すらない。

「杖を仕込んでいるわけでもないんだな……」

「そりゃあ、輪を出すところから自前ですけど、なんでです?」

 正直に言っただけなのだが、溜息をつかれた。

「そういう真似ができる人は中々いないんだ。怖さは子供の頃から教えこまれるし、実際に魔法の暴発で痛い目に合う人も多いからな」

 呆れたような言い方をされたが、リケルに監督してもらった時のことを思い出して納得した。たしかあの時は、指が飛ぶぐらいの覚悟はしておけと言われたんだったか。

「まぁ、俺はこの世界に来た時点で知力も精神も高かったですからね」

「……その分暴発時の被害も大きいだろうから、あんまり無茶はするなよ?」

「怪我をして喜ぶ趣味は持ち合わせてないですよ」

 俺の言葉を聞いた監督は笑い返してきた。


「さて、一〇人だからトーナメント形式だと二戦多くはなるんだが、今の戦いも多くなった一戦扱いにして大丈夫か?」

「構いません」

「そうか」


 残りの枠は(クジ)で決まったが、俺がやることは単純である。

 自分の番がきたら闘技台(リング)に上がり、開始の合図で前に出て、相手の鎧を砕いて終わる。ただそれだけだ。

 速さで翻弄しようとした相手は、確かに俺より動きは速かった。しかし、俺の反応速度でも捉えられる程度の速度だったので、相手に合わせて隙を突けば簡単に終わった。

 矢を放ってきた相手もいて、矢はゴブリンのものより圧倒的に速かったが、弾道は読み易かったのでゴブリンの時と同じように掴み止めた。相当に驚いたのか動きが止まったので、ヴェイル相手に使ったのと同じ魔法で決めた。


 この闘技台(リング)での勝者になったところで、ヴェイルが俺の近くまで歩いてきた。

「全く……ここまでされては認めざるを得んな」

「あっと、どうもです、ヴェイルさん」

「砕けた口調で構わない。敬意を払うべきは私の方だ。魔法や矢を掴み止められる程とは思わなかった」

「ありがとうござ……ありがとう。ちょっとした奇策ってやつだね」

「ちょっと、どころではないぞ。普通は、正面から止められるなどとは思わんよ」

「それは……問題かなぁ」

「……何が問題なんだ?」

 ヴェイルには俺の意図が上手く伝わらなかったらしい。

「俺達異世界人が呼ばれた理由ってのは、魔王を倒すことだよな?」

「そうだな」

「で、昨日一緒だったバクスターさんから聞いたんだが、魔王の実力はランクで言えばS相当だとか?」

「……ああ、狩人(ハンター)組合(ギルド)に行ったのか。確かにそうだと言われている」

「だろ? で、SどころかBぐらいのランクの魔物だってあのぐらいの魔法や矢の一発二発では終わらないだろうし、止められたぐらいで驚いてるようじゃあ、ダメじゃないか?」

「…………」

「魔法も剣も、俺が今日見せた程度なら軽く上回ってきてもおかしくはない以上……あんなので一々固まってたら死ぬだけだと思うんだが……」

 反応を見る分には面白かったが、それについては黙っておく。

「ああ…………頭が痛い問題だな、全く。確かに、ユーリの言う通りだ」

「だよな。魔王ってぐらいだし、それこそ、攻城用の巨弩(バリスタ)みたいなのを正面から受け止められたっておかしくは──」

「いやいやいやいや、それは流石にないだろう」

「S相当ってぐらいだし、そんな簡単なもんじゃないと思うぞ? まぁ少なくとも、俺ごときに驚いてちゃダメなはずだ」

「…………そうかもしれないな」

「俺は死にたくないんだ。そして、強い奴と戦うのは恐らく決定事項。なら、味方がこの程度で驚いて隙を晒す可能性は潰さなきゃな。土壇場で絶望されるよりは、拍子抜けするぐらいの方が良い」

「あ、あはは……はは……、すごいな……」

 周囲で聞いていた人達も俺とヴェイルの話を聞いて、自分達の想定が甘かった可能性に気付いたのか、引きつったような表情を見せていた。

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