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青春パズル  作者: 凛
7/13

言いたいこと

『あいかへ

 今日の放課後、話があるんだけど…

 今日大丈夫ですか?

 もし良かったら、川のところで待ってます。

              健太より』


我ながら良くできたと思う。よく書けたなと思う。と、安心していたがそれは一瞬の話。

よーく考えてみろ、健太。小さいときは手紙のやり取りなんて当たり前。

でも、最近は全くと言って良いほど話していなかったんだぞ?

それなのに再会したその日に『話がある』なんて手紙…バカじゃないか俺!

再会してテンションが高いのは俺だけかもしれないのに。

(あーあ…ドン引きされてたらどうしよう?もう話せなくなったりしたら?…一生後悔するかも。

ああ、神様どうかあいかにドン引きされませんように…!!!) もう祈るしかない。

そう思っていたけど、案外大丈夫だった。


 『健太君へ

  今日大丈夫だよ!

  ていうか、あいかなんかで良かったらいつでも話し聞くからね!

  遠慮せずにどうぞ(^^¥)笑

  それより、健太君からの手紙なんて久しぶりだし珍しいね!

  なんかうれしい。(*^^*)

  じゃあ、放課後! 川に行くから(^^)

                  あいかより』

なんて返事が返ってきた。あれ?意外とあいかって俺のこと…

ダメだって!バカ!何考えてんだよ…変な期待を頭から追い出しつつ違うことを考える。

あいかの字って綺麗だし可愛い。字があいか本人を表してるみたいだ。

春の暖かい日差し…と言いたい所だが、そう言うには暑すぎる。(気がするのは俺が緊張しているからか

)という帰り道。

といっても、今日は普通の帰り道じゃあない。

そう、俺の運命がかかっているのだ!!

「おまえさぁ、ほんとに大丈夫なの?ちゃんと言えるのか?」

と、帰り道の沈黙を破ったのは優希だ。心配だから途中まで一緒に帰ると言い出したのだ。

心配されるほどコドモじゃねぇ!!といったが無視スルーされたのだ。

「さあな。人生なんてどうにでもなるもんだぜ?なんとかなるって!」

と笑い飛ばしはしたものの、顔は引きつっていただろう。

優希は またお前はそうやってカッコつけて と呆れている。カッコつけるくらいいいじゃないか。

そうやって俺を非難するお前だってカッコつけることあるじゃん。

「じゃ、また明日」と別れを告げる。そうさ、ここからが本番だ!!


川辺の砂利に腰を下ろす。あいかが来るまでの時間潰しは砂利投げ。

てきとーに石を取って川に投げる。 ポチャンと音がして波紋が広がる。この風景を眺めていると暑いときも涼しく感じる。気持ちがいい青空と涼しい音、そこに駆け寄ってきたのは俺の初恋の人。

「ごめん!今日、掃除当番だったんだ。待たせちゃってごめん。」

あいかは申し訳なさそうな顔をしながら、俺の横に座った。その瞬間俺は脈拍が速くなった。

「あのさ…」と切り出したいいがその後がうまくつながらない。

ああ、どうしよう?言えない。

『今』俺の気持ちなんて言えない。呼び出しといてやっぱ何でもないなんて言えない。

どうする?どうしよう?「あのさ」って言ってから何分たった?

きっとほんの数秒なのに、どうしてこんなに長く感じんだ?  まず落ち着け、落ち着くんだ。

冷静になればどうにかなる。大丈夫、大丈夫… あれ、どうしよう。隣にあいかが居るんだよ?

どうしたら冷静になれるんだよ。 冷静になれるわけねーだろ。 どうしよう…



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