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青春パズル  作者: 凛
6/13

俺の気持ち

3時間目の後の10分休憩中、俺は隣のつばさを見た。珍しくぼんやりしている。

「なぁ、つばさ。これあいかに渡してきてくれないか?」

退屈そうに放心状態いになっていたつばさに声をかける。

ぼんやりとしていたつばさの表情がパッと明るくなった。お、引き受けてくれそう。

「いいよ!」と、つばさはあいかへの手紙を受け取った。

「おぉ、ありがとう。」本当は自分の手から渡したかった。

結局は、ただの情けない男なんだろうけど…今の俺には絶対にできない。

情けない自分に悔しさを覚えている俺に

「じゃ、行ってくるね~。分かってると思うけど、私に何か頼むときはアップルパイを私に奢るんだからね??」

「はぁ?! じゃあ自分で行くから返せ!!」

「やなこったぁ~!取れるもんならとってみな~!!」

必死に取り返そうとする俺だったが、その努力は無駄だった。

つばさが笑顔で教室からじゃ~ね~と出て行くのを見守ることしかできなっかた。

まぁ、しかたないか。次の授業は何だ?とサイド黒板に目を向ける。

ゲッ!数学?! ってことは、と思ったとき背後のドアが勢いよく開いた。

「おっ、これはこれは…赤城の健太君じゃあありませんか。」

ですよね。柴崎コーチですよね。苦笑いをしていると頭をわし掴みにされた。

「“わーい、楽しい数学の時間だぁ”くらい言ってくれても良いじゃないか。なぜそんなに俺を嫌がる。顧問だからか?」

「あはは。。。数学楽しみだなぁ…」

「お前…それ絶対、気持ちのこもった言い方じゃないよな」

(やばい、もうちょっと違うこと言えばよかった…)

柴崎コーチが俺に何かしようとしたとき、タイミング良くチャイムが鳴った。

(あぁ…助かった。危うく死ぬとこだった。)

その後の数学は最悪だった。コーチの嫌がらせで、今回の授業の8割は俺が当てられた。でも、ある意味良かったと思う。

もし当てられていなかったら、俺はあいかのことが気になって集中できていなかったと思う。

とは言うけれど、早く授業が終わらないかなと内心はソワソワしていた。

そして、ついにチャイムが鳴った。

「んじゃ、ここまで。あ、ここ宿題な。」

よしっ!次は給食。もしかしたら水飲み場であいかに会えるかもしれない…!手紙の返事を貰えるかもしれない。

ちょっとだけ期待をして教室を出た。(4組は移動教室かな?誰もいない。)

まぁ、手洗いしてたら帰って来るか。

「あ!健太君、ちょっと待って!!」

背後からの声をかけられた。その声はあいか?

振り向けば体育の後らしいあいかが教室に向かって走っていた。

ここで待っているより4組の前のほうが良いかな、と思い移動するとあいかが教室から飛び出してきた。

「お待たせ。えっと…これ…あの手紙の返事。です。」

あいかは恥ずかしそうに前髪をなでながら、しどろもどろ話した。

「おぉ…ありがとう。」

じゃあ…  とお互いにぎこちなく別れを告げた。

本当はもっと、もう少しだけでも長く話していたかった。



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