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春の出会い
プロローグ
「健太くんっ!!まってよ~!」
「あいか!はやくっ、はやくっ!!」
健太くんはまだ覚えてますか?
幼稚園の頃、こんな風にお話していたことを…。
一緒に買い物に行ったり、ピクニックや、キャンプをしたこと、などなど…
例を挙げればきりがないけれど、これだけは言いたい。
“いつも手を繋いで一緒にいた”
ということと、“これからもあの頃みたいに一緒にいたい” ということ。
でも、健太くんはもうおぼえてないよね。 きっと。
だって、10年くらい前の話だもん。
今は健太くんに手を振ったりしないけど、本当はあの頃みたいに仲良くしたい。
むしろ、あの頃よりも仲良くしたい。
だって、好きだから。ずっとずっと好きだから。
わかってるよ。片想いだって。
それに、今まですごく仲良しだったし、家も隣だから、気まずくなりたくない。
だから、今さら“好き”なんて言えない。
それに、健太くんにはあいかなんかより、もっといい人がいると思う。
だから だから、このままでいい。自然消滅の仲でいいんだ。