ミユキちゃんと冬の花火
瞬くと、五歳になる妹のミユキが両手一杯こぼれんばかりに花火を抱え、ベソかきながら立っていた。
ぼくがお風呂から上がってくるのをどうやらずっと待っていたらしい。
季節は冬、年の瀬だ。
頭を撫でると乾ききっていない子供らしい柔らかな髪が冷たくなっていた。
髪を拭くぼくの前を彼女は何も言わず歩いてリヴィングを目指す。
きっと後ろに僕がいるだけで心強いんだろう。
冷たいフローリングを裸足でヒタヒタ歩く足取りは確かだった。
★★★
ミユキはその年の夏、初めて家族でキャンプに行き、魚釣りや虫採りをして遊んだ。
中でも花火は別格だったらしい。
帰って来た後も、事あるごとに花火がしたいと両親にせがんだ。
間も無く彼女は祖父母に取り入り、信じられないくらいの量の花火を手に入れた。
だから妹は夏が終わるまで、毎日のように花火が出来たのだった。
それでも季節はめぐり、夏が薄れ秋色が濃くなった頃。
「あたしの花火は?」
ミユキは必死に思いつくまま家の中を探す。
「預かりました」
でも母さんは首を振って取り合わない。
「なんで?」
「だってもう秋なのよ」
「アキには花火、しちゃいけないの?」
「しちゃいけないわけじゃないけど、もう誰も花火をしている人なんていないわ」
「いなくてもいい。あたしは一人でもいい。花火がすきだから」
「この頃、暗くなるのも早いし」
「いつもくらくなってから花火してるじゃない」
ミユキは頑張って母さんに反論した。
母さんがその真剣さに根負けしそうになったとき、父さんが重い口を開いた。
「深雪。花火は暑い夏、涼むためにやるもんだ。だから寒くなってからはやるもんじゃない」
「さむくっても、いっぱい着ていればヘイキよ」
「確かにそうかもしれないね。でも、風邪を引いてからでは遅い」
父さんの少し強い口調に、ミユキはベソをかきはじめた。
いつもはびっくりするくらいマセていて、涙なんて見せたためしがないのに。
稀に見せるときも泣き声は上げず、顔をクシャクシャに歪ませてベソをかくのだ。
「どうしても花火がしたいのなら、特別な日くらいはしてもいいよ」
だからその姿を見ると、家族の誰もが―――父さんですら―――ミユキのことを許してしまう。
そう言う意味では彼女は我が家で最強だった。
「トクベツな日って、どんな日?」
「そうだな、例えば深雪の誕生日とか・・・」
その言葉を聞いた途端、ミユキの表情が一気に花開いた。
「ミユキのおたんじょうびね? おたんじょうびならできるのね? おたんじょうびに花火ができるなんて・・・」
彼女はその光景を瞼の裏に思い浮かべ、それまでの花火の我慢を受け入れたのだった。
ミユキの表情を見て頭を掻く両親の姿を僕は面白く見守っていた。
★★★★
「今度は味方を連れてきたな」
ミユキの後ろに立つ僕を見るなり父さんは苦笑した。
誕生日の前日、ミユキは満を持して見つけておいた花火を抱え出した。
「あした、花火する」
一回目のその申し出はあっけなく却下された。
「明日はキャンプに行くから無理なんだよ。ごめんな」と父さん。
「おたんじょうびには花火をしていいってパパ、いってた」
「そんなことまだ憶えていたのか。深雪は頭が良いな」
おだててごまかそうとするも、ミユキはあからさまに膨れっ面をしてみせる。
五歳にしてそれ相応の迫力のある目つきだ。
「そんな顔しても、無理なものは無理だよ。雪の上で花火をするなんて聞いたことが無い」
なあ、と言って同意を求められた母さんも深く肯く。
「ミユキちゃん。冬に花火なんて変よ?」
「明日は雪が一杯あるところに行くんだ。雪だるまはもちろん、カマクラだって作れるぞ」
両親はこぞって娘を説得に当たるが、ミユキはどんどん肩を怒らせ、目に涙を滲ませる。
「大人はいつもそうです」
だから僕は一つダメもとで助け舟を出してやろうという気になった。
「父さんは花火を取り上げた日、確かに特別な日になら花火をやっていいと言いました」
そうだったかな、ととぼけても、顔にはしっかり憶えていると書いてある。
「そして特別な日はどんな日だというミユキの問いに、誕生日と答えていました」
妹は僕の目の前で大きく、うん、と同調して見せる。
「それを聞いたからミユキはその日まで花火を我慢しようと思ったわけです」
うんうん、と今度は二回、頷く。
僕は持ち上がったその小さな肩に手を置き、引き寄せる。
「今までずっとお利口に我慢できてたよな?」
「ガマンした」
「ずっとしたかったんだもんな」
「したかった」
「明日だけは特別で、明日できたらまた夏まで我慢できるよな?」
「ガマンする」
頷きを繰り返しながらもその目は片時も両親から離されていないのだろう。
父さんと母さんは困り顔で顔を見合わせる。
「明日は夜、キャンプファイアをやる予定ですよね? それまでの間、僕らは特段やることがないはずです。少しの時間で構いません、ミユキの誕生日のお願いを叶えてあげてくれませんか」
「夏に買った花火なんて、もうきっとみんなシケって火もつかないわよ」
母さんは尚も納得ができない様子で、つまらないことを言い出す。
「シケってできなかったら諦める。全部キャンプファイヤで燃やす。それでいいよな?」
僕の問いに従順に頷いたミユキは最後に、
「あした、花火、する」
と途切れとぎれに、でも確言的に宣言したのだった。
花火のお許しが出たミユキは目を爛々とさせ、自ら進んで明日の準備に取り掛かった。
さすがに両手一杯の花火を持っていくことは許可されず、彼女のリュックサックに入るだけの量の持参を許された。
そしてもちろん彼女はこれでもかという位に花火をリュックに詰め込んだ。
だから小さなリュックの口から豪快に色とりどりの花火が飛び出す結果となった。
両親は苦く笑い、僕はにこやかにその姿を見守りながら準備をした。
―――そして明朝。
まだ真っ暗なところを僕は叩き起こされ、ミユキは眠ったまま車に運び込まれ、家族は出発した。
出発直前、両親は花火をどうするか最後の相談をしたようだが、どうやらリュックは無事、車内に載せられたようだった。
懸命な判断だ―――現地についた際のミユキの反応を想像すれば、持っていかないという選択はあまりに危険すぎる―――僕はそんなことを思いながら寝ぼけまなこのまま延々と移り変わる窓外の風景を眺めていた。
★★★★★
僕達家族四人を乗せた車は信号の無い道路を延々と進み、途中二回の休憩を挟んで目的地であるキャンプ場へ辿りついた。
空は雲ひとつない晴天だったが、辺りは一面銀世界で、照り返しに目を細めるほどだった。
「おにいちゃん、雪がいっぱいだよ」
ミユキは無邪気にはしゃぎながら車を降りる。
僕は身を縮め、黄色いつなぎのスキーウェアを目で追いかけた。
息を吸うと肺まで冷たさが届いて、でもなんというのだろう、とても空気が澄んで清々しい気持ちにはなった。
さむいな、とブルブルすると、ミユキは全然寒そうじゃないのにその真似をして笑った。
キャンプ場にはすでに何組かの家族が到着していた。
今回は募集を見つけて集まった数組の家族が昼間は各々で遊び、夜にはロッジのすぐ近くにある広場でキャンプファイヤを囲むというメインイベントのある冬キャンプだった。
僕は昼間、同僚とワカサギ釣りをするという父さんについていった。
ミユキと母さんはソリ遊びやカマクラを作ると言って別行動となった。
「なあ、お前はミユキの花火、したほうがいいと思うか」
釣果の無かった湖を後にするとき、父さんがぼんやりとそんなことを言った。
今更どうしてそんなことを子供である僕に訊くのか疑問に思ったが、僕は無言で頷くだけにとどめた。
「なんだ、ぜんぜんまだ出来てないじゃない」
キャンプ場に帰ると、まだ母さんは雪集めをしているところだった。
額に汗して、もううんざりという顔で僕に雪かき用のショベルを押し付けた。
聞けば、どんなに雪を盛ろうとも、その大きさにミユキが納得してくれないのだという。
「もっとおっきく」
遠くから走ってきたミユキはそう告げただけでまたどこかへ去っていった。
「もう十分でしょ」と母さんが弱音を吐く。
「いや、折角だ。本格的な奴を作ってやろう」
意外にも父さんがやる気を出し、ショベルを手にして雪に向かい始めた。
そこからはキャンプ場のオーナーの指導のもと、男手も加わって見るみるうちに雪の山が出来がっていった。
フワフワの雪を集め、時々水をかけ、ショベルで叩いて硬くする。
最後に塩水をかけるとしっかり固まるよ、とオーナーが得意そうに教えてくれた。
無尽蔵に雪があり、土汚れの一切無い雪山が出来上がり、僕はそれに少し感動した。
ミユキは雪山の中がくりぬかれている最中も疲れ知らずにキャンプ場を走り回った。
絶対に母さんの目が届かないところまでは行かないという約束をスレスレのところで守っていた。
雪山の中をくり抜く作業は大人たちに任せ、僕はミユキとキャンプ場の周辺の辺を散歩することにした。
遠くに行くなと言われたが、雪が深すぎていきたくても行けそうに無かった。
妹は鼻が少し赤いだけでちっとも寒そうではなかった。
僕も動いたせいか、寒さが心地よくさえ思えていた。
「なあ、ここらへんでおにいちゃんと写真を撮ってみようか」
除雪されミユキの背と同じくらいに積み上げられた雪の道で僕は立ち止まる。
「カメラ、もってきたの?」
その問いにニンマリしながら頭を振ると、僕は万歳をして、側道にわざと倒れこんだ。
そしてそっと立ち上がり、どう、と訊きながら振り返る――――そこには僕が万歳した形が雪で象られていた。
「あたしも、あたしも」
目を輝かせてねだるミユキを落ち着かせる。
「足を曲げないで倒れるのがコツだ。かかしの気持ちで倒れるんだ、わかったな?」
両手を一杯広げた格好にさせ、言い聞かせる。
彼女はウキウキが抑えられない様子で体を大袈裟に硬直され、倒れこんだ。
「ふわふわ!」
倒れたままそう叫ぶ。
「ぜんぜんいたくないね!」
「よし、そのままゆっくり起き上がるんだ。手を突かないで。できるか?」
その小さな手袋を引っ張って立たせてやる。
「上手くできたな」と笑顔を向けると、
「できたね」と満面の笑顔が返ってくる。
「じゃあ、こういうのはどうだ」
僕はそう言って今度は膝立ちになってゆっくり顔だけ雪面に押し当てた。
ミユキの笑い声を尻目にできるだけそっと顔を離すと、そこには自分の鼻や口の形が綺麗に象られた顔型が出来上がっていた。
「あたしも、あたしも」
彼女は興奮して、すぐにでも顔を押し付けたがったが、やはりなだめてコツを伝えた。
一度上手くいかないとすぐに拗ねてしまうから、僕は慎重にコツを教えた。
「できるだけゆっくり顔を埋めて、その間は絶対笑ったりしないこと。三つ数えたらゆっくり顔を離してごらん」
僕の忠告に従順に彼女は顔を埋め、そして離した。
雪は毛糸の帽子に少し付いただけで、彼女の顔には全く付いていなかった。
「おにいちゃん、これ、あたし」
ミユキは雪で出来た自分の顔を指差し飛び跳ねて喜んだ。
「じゃあ最後に、二人でやってみよう」
僕はそう言い、二人で並んで雪に顔を押し付けた。
顔を離すと、冷たいね、と気持ち良さそうにミユキは言った。
「おにいちゃん、雪のなかでわらってたでしょ」
そう訊く妹にぼくも笑って、ミユキもわらってたな、と言った。
そこには楽しそうに破顔する二つの笑顔が並んでいた。
★★★★★★
雪山の陽は短く、まもなく薄闇が辺りを染めていった。
僕達がロッジに戻ると、カマクラは見事に完成しており、中でロウソクが灯されていた。
疲れを知らない様子のミユキはそこまで走り寄り、母さんの手を取り早速その中に入った。
「今日は一杯遊んだし、花火はもういいよな」
カマクラの中で四人で外が暗くなるのを眺めている時、父さんはそう切り出しました。
「なんで? せっかくもってきたのに」
その言葉に過敏に反応し、一気にミユキの表情は曇った。
「やっぱりやりたいの?」と諦めたように母さんが問うと、ミユキは一点の曇りも無い表情で頷いた。
「もういい、多少変に思われてもやるって決めたんだ。好きにさせようじゃないか」
父さんはどこか穏やかにそう呟いた。
僕達は一度ロッジに戻り、花火をキャンプ場へ持ち込んだ。
一段闇が濃くなり、一際空気が冷たく澄んだ広場に賑やかな花火の袋は異様に映ったが、僕はどこかそれを可笑しく思えた。
「いいか、シケッてできなくても泣くんじゃないぞ」
花火を取り出しながら僕は言う。
父さんはカマクラ用に用意されていたロウソクを一本拝借し、風除けのバケツにそれを立てた。
ミユキは僕らの周りを走り回り、はやくはやく、と急き立てる。
すでに闇は充満し、広場を囲む木々の間にも色濃く埋め尽くされていた。
「もうすぐ五時よ。五時にはみなさん集まってくるから、それまでには終わらせるのよ」
そう言って母さんも準備を手伝う。
五時にはキャンプファイヤの火が点され、このキャンプのメインイベントが開催される予定だった。
時間にして十五分くらいだろうか。
短い気もしたが、やはりそのくらいがちょうどいいと僕は思いなおした。
「いっぽんめ、つけるよ」
渡された花火の先をロウソクに近づけながらミユキが言う―――
「あれ、あれ」
―――しかし花火はいくら火にかざしても点かなかった。
「もういっぽん」
ミユキはすぐに品を変え、試すがやはりそれも点かなかった。
太陽の温かみを失った空気はスキーウェアの中の体温も容赦なく奪っていくようで、僕は言いようのない寒さに見舞われた。
四人の吐く息だけが闇に吸い込まれていくのが分かる。
「もういっぽん」
ミユキは諦めず、また違う一本を束から抜き出す―――が、それも結局、点くことはなかった。
「だから嫌だったんだ」
嘆く父さんを尻目に彼女は一本いっぽん、それが点火しないか確かめていく。
一本でも点くものがあれば、ミユキはそれで満足なのだろう。
でも、花火は一向に点く気配を見せなかった。
そして彼女は涙で溜まる瞳を大きく見開いて、最後になってしまった一本を抜き取った。
周りには、点火できずに放られた花火がみじめに散乱していた。
「これが最後だね」
ぼくは言い聞かせるように言ったが、ミユキは何も言わずにそれをロウソクに近づけた。
父さんも母さんも、それが点いてくれるのを願っていたに違いない。
でも僕らは、きっとどこかでそれが点かないのだろうと諦めていた。
そして――――――僕達の願いも虚しく、とうとう花火はその役目を果たせなかった。
長い間、物置にしまわれていた間に、花火はすっかり湿気てしまっていたのだった。
その結末を予期していた僕らはもちろんそれを受け入れられたが、その結末を目の当たりにしているミユキの小さな心を思うと、どうにもやるせない気持ちになった。
「なあ深雪、少しの間、目を瞑っていてくれないか」
すると父さんは、どういうわけかそんなことを言い出した。
放心状態の妹は、ベソをかきながらも言われるままに目を閉じる。
母さんはなにやら腕時計を睨んでいる―――もうすぐ五時。
「花火は残念だったけど、かわりに深雪にプレゼントを用意したんだ」
「花火の代わりになるかは分からないけどね」
父さんと母さんはそう言って辺りを見回す。
無言で僕も迫るような暗闇を見た。
―――――すると次の瞬間、お腹の中に響くくらいの鐘の音と共に、バッという鋭い音がした。
「お誕生日おめでとう、深雪。目を開けて」
父さんの声で目を開けたミユキは、その光景に一瞬息を飲み込んだ。
―――――僕達は三百六十度どこを見て渡しても満たされているイルミネーションの木々に囲まれていた。
広場を囲む木々たちは色とりどりの光を身にまとい、闇の中でやさしい光を滲ませていた。
わあ、とだけ短く感嘆してミユキはそれを見ながら回転を始めた。
五時を知らせるどこかの鐘の音が、ぼくには祝福の音色に聞こえた。
「きれいだな」
父さんは短く、母さんは絞りだすようにそんな言葉を呟いた。
★★★★★★★
キャンプファイヤの火が燃え盛る頃には、ミユキはすっかり機嫌を取り戻していた。
妹は母さんに抱っこされ、毛布もかぶされ夢見心地のようだ。
今回は両親の完勝だな、と一歩引いた感想を抱きつつも、僕は木の爆ぜる音を心地よく聞いていた。
「深雪、光は好きか」と父さん。
「うん、だいすき」
「イルミネーション、気に入った?」
「うん、いるみねーしょん、すき」
その応えに満足そうに、母さんはミユキのおでこを撫でる。
「じゃあ、もっとすごい光があったらどうする」
イタズラに父さんはそんなことを言う。
うとうとしていたミユキの目が、一瞬、見開かれる。
「そしたら、すごいな」
彼女はキャンプファイヤから視線を動かさずにそう応える。
「見たい?」という問いに、うん、と頷く。
「じゃあ、イルミネーションは消すからね」
「え、何で?」
「その光を一番きれいに見るためだよ」
父さんはそう説明すると、手でミユキの目を覆い、母さんに腕時計で時間を確かめさせる。
まもなく、ライトアップされた木々から光が奪われた。
キャンプファイヤの火だけが辺りを照らしているが、一瞬で闇が僕達に迫ったようだった。
「ねえ、暗くなっちゃったよ?」
ミユキは不安げな声を上げるが、すでに僕はその光の正体を突き止めていたから、思わず、
「ミユキ、空をみてごらんよ」と勧めずにはいられなかった。
―――――見上げると、視界一杯に星で埋め尽くされた夜空が目前まで迫っていた。
手を伸ばすと届きそうなくらいの迫力で、知っているものはもちろん、見たこともない星達も輝いていた。
「あ、流れ星!」
僕が叫び終わる前に、また新たな流れ星が夜空に一文字を描いて消えた。
「今日はちょうど、流星群が見える日なんだ」
父さんもまた夜空を見上げながら僕にそう告げる。
「あ、また」と僕は何度か流れ星を指差したが、あまりに頻繁にそれが現れるため、わざわざ指差すのをやめた。
もう僕達の頭上に流れ星がたくさん流れているのは、誰でもわかっていることだったから。
「きれいね」
母さんに抱っこされ仰向けになったミユキは何度もそう呟いた。
そして、キャンプファイヤの火と母親の温かさに抱かれ、いつしか彼女は満天の星空に包まれながらスヤスヤと寝息を立て始めたのだった。