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シェアハウスシリーズ

空き巣パーティー

作者: 駿河留守

どうも、駿河ギンです。

このサイトに来て初の短編です。

主に登場人物はシェアハウスの住民です。

かなりの走り書きで勢いだけのお話になっています。楽しんでもらえれば幸いです。


いつもと文章の形式を変えてみました。

こちらの文章形式がよければ意見ください。

 どうも、三根です。年は23です。大学を卒業して1年以上たってもなお仕事が見つからず皆にニートニート言われて続けている。まぁ、確かにこうして昼間から仕事もしないでパチンコやゲーセンをしたりしている時点で真っ当の一般人とは誰も思わないでしょう。親にも「いい加減に仕事見つけろバカ」と言う怒りのメールがたびたび送られてくる始末。これでも一生懸命仕事を探しているつもりなのだ。でも、この生まれ持ったツンツンの金髪頭のせいでどこの職場でも書類審査で落とされます。いや、確かに黒く染めないとどこにも就職できないぞって大学の教授に言われたのですが、これは死んだ母の形見なのだ。

 母は確か20年ほど前にガンで他界してしまったらしい。2歳だったから覚えていないのが現実である。おやじはその3年後に再婚してその後再婚相手の間に3人の子供を持った。もちろん、俺はその中で取り残された状態になった。おやじと新しい母と半分血の繋がった3人の兄弟を前にしても自分がここの家族じゃない気がして自然と疎外感に襲われた。

 今、こうしてシェアハウスに暮しているのも実家にいずらいからというのが大きな理由だ。

 だが、シェアハウスに来てよかったと思っている。なんせ楽しいのだ。ひよこくんといるのが榎宮さんといるのが山下くんといるのが八坂さんといるのが藤見さんというのが喜海嶋さんというのがすごく楽しくて最高なのだ。だから、俺、三根和樹はあのシェアハウスを守る番人としていつまでもあそこに居続ける。あの家を守るためにしっかり警備をするための仕事を頑張って探している。と、ひよこくんにアピールすると。

「それってさ、ただの自宅警備員。つまり、ニートのことだよね」

 こんな風に突っ込まれる。

 俺はこう返す。

「テヘペロ」

「いいからさっさと仕事探しに行きなよ」

 という会話をひよこくんと毎日のようにしている。探してるよちゃんと。

 で、今日も収穫なし。全くどいつもこいつもなんでこの天然の金髪が気に入らないんだよ。この世界中に人々の髪が金髪になればいいのにと思う。人類金髪化計画。これいいかもな。

 そんなどうでもいいことを抜かしながらおそらく一番乗りでシェアハウスに帰宅。

 榎宮さん、八坂さんは学校。ひよこくん、藤見さん、喜海嶋さんは仕事でこんな早い時間帯に帰ってくるのはニート・・・・じゃなくて・・・・絶賛人生の迷路を迷走中の俺くらいだ。

 マジで自宅警備員になろうかと真剣に悩む。

「ん?なんだ?」

 俺の住むシェアハウスの玄関近くに横付けして駐車してあるワンボックスのワゴンが止まっていた。住宅地なので路駐というのはよくあるのだがなんでシェアハウスの前に止まっているのか不思議だった。

「まさか、空き巣?」

 昨晩の定期会議のときだ。我がシェアハウスでは定期的に全員集まって小さな会議を行う。それは主に掃除当番の割り当てとか近所のクレームとかいろいろだ。今回の会議では風呂場に隠しカメラを仕掛けたひよこくんの処罰と最近近隣で空き巣が多発しているから戸締りをしっかりしてほしいというものだった。どうも、その空き巣の手段は巧妙でばれないように集団で家の中に侵入して中の金品をネゴ削ぎ奪って車で逃げるというものだ。車はナンバーが毎回違って張り替えているらしく車では犯行グループの特定はできないらしいと山下くんが言っていた。さすが警察。

 そんな空き巣の手段とよく似た車が止まっている。

「まさかね」

 気にしないで玄関のかぎを開けて中に入る。

「ただいま~」

 そんな風に陽気な感じで中に入るとそこには黒ずくめの格好をした若い男たちがたくさんいた。

「へ?」

 それが例の集団空き巣だったんだな~。



「親分。こいつどうします?」

「とりあえず、このままにしておけ。後で証拠隠滅に海にでも沈める」

「了解」

「了解じゃねーよ!」

「うるさいな」

 俺は玄関前の廊下に縛られて身動きが取れない状態になっている。まさか、空き巣に入られているなんて自宅警備員として失態だ。どうする?携帯の通信機器は奪われてしまった。向こうはナイフや警棒といた武器も所持している。俺にはどうすることもできない。

 こうなったらこれから帰ってくるメンバーにすべてを託すしかない。

 幸い玄関前だから時計があって時間の把握はできる。まず帰ってくるのは榎宮さんだろう。でも、彼女はきっと何もできずに気付いたら隣に居そうだ。

「三根さん、これはどういうことですか?」

「って!あれ?榎宮さんいつの間に」

 なんか宣言通りすでに俺と同じように拘束された榎宮さんが隣にいるんだけど。

「この子かわいいな」

「いいから仕事をしろ」

 黒ずくめたちはそれぞれ各々物色を再開する。

「自宅警備員として失格ですよ」

「だから、勝手に自宅警備員にするな。ニートじゃなくて就職難民だ」

 榎宮さんにだけはなるべく悪い印象をつけたくない。

「どうするんですか?」

「これから帰ってくるメンバーにすべてを託すしかない」

「この状況だとそうですね」

 時間は6時になろうとしている。

「もうすぐ、ひよこさんが帰ってきますね」

「ひよこくんか・・・・・・・」

 無言になる榎宮さんと俺。そして、ひとつの結論に至る。

「戦力外だろうな」

「雑魚ですね」

 ひよこくんは所詮ひよっこだしね。

「ただいま~」

 あ、帰って来た。

「あれ?三根くんと榎宮さん何してるの?」

 戦力外でも雑魚でもきっとひよこくんも役に立つ。そう信じている。

「ひよこくん!シェアハウス内に空き巣がいる!急いで外に連絡を!」

「え?」

「親分!」

「捕まえろ!」

「え?」

 ひよこくんの戦績。「え?」と言って現状を理解できずに高速で拘束。

「まったく、ひよこくんは全然使えない。ひよこ以下だ」

「期待外れ。最低です」

「そんなに言わなくてもいいでしょ!」

 三人仲良く拘束されて玄関前の廊下に座っている。空き巣たちは好き勝手に家を荒らしていく。

「高速で捕まるとかありえない。少しは抵抗しろよ」

「うるさいな~。そういう三根くんはどうなの?」

 速攻で捕まったなんて言えない。

「秒速で捕まったわ」

「ちょっと!榎宮さん!」

「ふんだ!三根くんのことだからそうだと思った!」

 ひよこくんに言われるなんか腹立つ。

「ちなみに榎宮さんは?」

「音速で捕まったわ」

「その表現だと三根くんよりもすぐに捕まったことになるよ」

 まぁ、事実その通りだけど。

 さて、こんな風に身内で争っている場合じゃない。今、この時もどんどん家じゅうが荒らされて俺たちの宝物(エロ本、ひよこくんの秘蔵映像)とかにまで手を付けられたら大変だ。

「とにかく、今のひよこくんでは何もできない」

「それは三根くんもでしょ!」

「これから帰ってくるメンバーのこの空き巣たちをどうにかして退治してもらう以外方法なない」

「それは同感よ」

「確かに」

 二人も納得してくれた。

「この時間だとそろそろ豊香さんが帰って来るわね」

 八坂さんならこの空き巣たちを退治してくれるかもしれない。彼女は大学で剣道をしている。しかも、ただ剣道をしているだけじゃない。家も道場で幼少の頃から剣道をやってきている秀才だ。大学にも剣道の成績で進学しているくらいの実力者だ。そんな八坂さんへの期待は俺以外も同じだ。ただ、問題がひとつ。

「竹刀を手に持ってないとなぁ~」

 ひよこくんの言うとおり。八坂さんは竹刀を抜いていないと意味がない。

「竹刀をすぐに抜くように私たちが誘導するのよ」

「どうやって?」

「とにかく竹刀を抜くように叫ぶのよ。手も足も使えないけど口なら使える」

「なるほど」

 使える者は全部使って行こうってことか。よし、やることが決まれば後は実行だけだ。

 それから数十分後、予測通り八坂さんが帰って来た。その瞬間だ。

「八坂さんの竹刀で!」

「と、豊香さん。しないで」

「八坂さん!僕を抜いて!」

「・・・・・・あんたら何言ってるのよん?」

「なんだ?あ!親分!」

 八坂さん拘束。

「何やってるんだよ!八坂さん!」

「そうだよ!あれだけ僕らがアピールしたのに!」

「あんたらのアピールは一体なんなのよ!」

 赤面して激怒する。

「まずは三根!私の竹刀って何!」

「竹刀♂って意味じゃないぞ」

「後で殺す」

 そんなつもりで言ったつもりじゃないんだけど。

「蛍子。しないでって何?」

「・・・・・・そ、そういう意味じゃないですよ」

「そういう意味って何!顔を赤くして何考えてるの!」

 なんか榎宮さんはテニス部に入部してから反応が謎になった。主にエロい方面で。

「それとひよこ~。僕を抜いてって何?」

 目元を真っ暗にしてひよこに迫る。対してひよこくんはのんきに。

「も~。八坂さんって変態だな~」

「すみませ~ん。こいつをその刃物で口を裂いてくれませんか!」

「じょ、冗談だよね?冗談だよね!その目は一体何!」

 マジの目だ。

「そろそろ、山下さんが帰ってくる頃」

 榎宮さんは次の対策に切り替えている。

「山下くんは警察だよ。刑事だよ。こんな空き巣集団なんか簡単に捕まえられるよ」

「余裕ですよね」

「余裕よ」

「その通りだな。逆に空き巣たちに玄関に待ってもらった方が早く済むかもな」

「なら、玄関で待て貰おうよ。空き巣さ~ん」

「なんだ?」

 ひよこくんに呼ばれてひとりの空き巣がリビングから出てきた。

「もうすぐ刑事さんがこの家に帰ってくるから玄関で待ち伏せたほうがいいよ」

「何だって!親分!」

「フフ。これで空き巣たちは山下くんにとって一網打尽になるね」

「これでよかったのか?」

 空き巣たちがこぞって玄関に集まってくる。そのタイミングを見計らうかのように山下くんが帰ってくる。

「ただいま~」

「今だー!」

『うりゃー!!』(空き巣の皆さん)

「え?ちょ!何!」

 山下くん拘束。

「何やってるんだよ!刑事だろ!」

「山下くんには失望したよ」

「それでからいつまでも下っ端のままなのよん」

「だから、ひよこさんの方が先に賞を取られるんですよ」

「あの状況からお前らは一体どんな展開を望んでたんだ!」

 手足を縛られた状態で文句を言い張る山下くん。

「そもそも、あんな大人数で一斉にかかってこられたらどうしようもないだろ!」

「連邦の白い悪魔はいくらザクに囲まれても倒してたよ!」

「人をモビルスーツみたいに言うな!そもそもお前らも捕まってるだろ!」

「僕は高速で」

「俺は秒速」

「私は音速」

「私もすぐに捕まったわん」

「お前らな・・・・・・」

 こうなるとこのシェアハウスで最も頼れる人物にすべてを託すことになる。引っ越し業者で働いてケンカ慣れしていそうな最年長藤見さん。シェアハウスいち謎多き最強の女性喜海嶋さん。このふたりの右に出る者はいない。

 問題があるとすれば、今日帰ってくるかどうかだ。

「藤見さんと喜海嶋さんは帰ってくるかな?」

「さぁ~」

 ひよこくんは全く分からないようだ。

「芳美さんは帰ってこない気がします」

「蛍子に一票」

「藤見さんもこんな時間まで帰って来てないってことは今日は帰ってこないと自分は思います」

 絶望的だな。

「でも、ふたりのどちらかが帰ってこればこんな空き巣たちを冗談抜きで一網打尽にできるよね?」

「そうね。山下さんの時とは次元が違うもの」

「それだと自分がまるで役立たずの刑事って言う風に聞こえるんだが?」

「確実に山下よりは役に立つわん」

「おい、みんなして自分をなんだと思っているんだ!」

「役立たずの新人刑事」

「出遅れたダメ刑事」

「出世街道から外れた無駄刑事」

「存在自体が定かではない影薄刑事」

「刑事やめよっかな・・・・・・」

 ちょっといじめすぎた気がする。

 すると空き巣たちが玄関に荷物を集め出した金目の物全部だ。

「さて、そろそろずらかるぞ。こいつらの口とか全部塞げよ」

 やばい。このままだとマジで口封じのために海に沈められる。

 返ってくる望みは薄いが最強のふたりが帰ってくるまで時間を稼がなければ。でも、どうやって・・・・・。

「仕方ないですね。かくなるうえは・・・・・」

 榎宮さんが何か考えがあるみたいだ。それに託そう。

「空き巣さん」

「何だ?かわい子ちゃん」

 こいつ、完全に榎宮さんに気があるよな。でも、例の変態部長の件以来、精神的に強くなった気がする。こんな状況でも冷静だ。

「1階にあるひよこって書かれてある部屋のパソコンの中にエロ動画がたくさん埋もれてますよ。主にお風呂を覗いた動画が」

「な、なんでそれを!」

「前回の風呂場に合った隠しカメラのことであんたのパソコンを勝手にいじったら大量に出てきたわよん!」

 八坂さんもご立腹だ。まぁ、俺は関係ない。

「あなた私に興味あるでしょ。・・・・・・そ、その私の着替えとか・・・・・・裸の動画も・・・・・あるのよ」

「親分!俺!まだ、この家の宝物を探してきます!」

 それに続くように俺も俺もひよこくんの部屋に飛び込んでいった。

「や~め~て~。お願いだから僕のお宝映像を漁らないで~」

 ひよこくんが涙ながらに訴えるが空き巣にそんなことを聞く耳を持つはずがない。

「日ごろの行いが悪いからだ」

「ひよこさんが言えた義理じゃないと思うけど。ちなみに私を含めたシェアハウスの女性の着替えとか裸とかの動画は削除済みよ。他にもたくさん動画あったけど」

「え?」

「あんた、覚えておきなさいよん」

「え?え?」

「ひよこくん。後で自分といっしょに署まで」

「ちょっと待って!なんで僕ばっかり!」

「だって、ひよこくんが悪いんじゃん」

「何を!三根くんだって僕のあげた動画全部小学生じゃないか!」

「おい!バカ!何言ってんだ!」

 やばい、冷たい!ひよこくんを除く3人の目線が冷たい。

 山下くんやめろ!手錠を探すのはやめろ!

「おい!なんか山下っていう奴の部屋にも小学生のお風呂の動画が!」

「何~!」

 同志たちが次々と俺の部屋に!

「やめろ~!」

 なんか俺とひよこくんばかりひどい目に合っているような気がする。それならば俺たちにだって!

「おい!泥棒!2階は女性陣の部屋だ!下着とかたくさんあるぞ!」

「何!」

 そういうと何人かの空き巣たちは2階に行ってしまった。

「三根さん、後で首吊りの刑ですよ」

 え?何?その笑顔?

「三根。後で練習相手になってよ」

 怖い!なんで俺と同じ目に合っているはずなのにこの仕打ちの違いはなんだ!

 すると玄関の方でガチャガチャと音がした。誰かが扉の向こうでカギが掛かっているのを確認したのだ。帰って来たのだ。最強のどちらかが。お互いのつぶし合ったが結果的に作戦は成功した。

「どっちだろ?」

「藤見さん?」

「芳美さんでもいいねん」

「どっちでもいいよ、この際」

 そういえば、山下くんだけなんか無傷な気がする。

 しかし、玄関から誰かが入ってくるのに何人かの空き巣が気付いてナイフと警棒を構える。なかなか、切り替えが早い。さすが、ここら一帯を空き巣し回っているだけはある。でも、それも今日で終わりだ。

 玄関のカギが開きゆっくりと扉が開く。緊張の瞬間だ。

「だ~だ~い~ま~♪」

 帰ってきたのは藤見さんだった。千鳥足で顔を真っ赤にした。


『今日に限って飲んで帰ってくるなよ!』(捕まったシェアハウスの住民)


 藤見さんはそのまま玄関で寝てしまい同じように拘束。

「やばいって。頼みの藤見さんまで捕まったよ!」

「ドドドどどっどどどうする!」

「落ち着いてひよこさん」

「蛍子?すごい手足が震えてるわよん?」

「そういう、八坂さんだって」

「山下もそうでしょ!」

「zzzzzzzz~」

 やばい!マジでやばい!このままだとマジでシェアハウスメンバー仲良く海の底にやられる。喜海嶋さん帰ってくるよね?俺たち信じてるよ。

「さて、お宝映像も。生下着も手に入れたし。帰るか」

 やばい。もう、これ以上ないくらい満足してる。このままだと本当におしまいだ。

「お母さん。今までありがとう。楽しかったよ」

「ひよこくん!あきらめないで」

「最後に家族に会いたかったな~」

「榎宮さんまで!」

「もうすぐ大会なのにな~。私抜きでどこまで行けるかな~」

「結局、このまま刑事人生も終わりか・・・・・・」

「zzzzzzzz~zzzzzzzz~」

 ・・・・・・・もうダメだ。

「あんたたち何やってるの?」

 もう、奇跡というしかなかった。縛られ拘束されている俺たちを不思議そうに玄関で見つめるのは最後のシェアハウスの住民、喜海嶋さんだ。

 その瞬間、遺言まで行っていた住民が復活。

「喜海嶋さん!信じてたよ!帰ってくるって!」

「芳美さん!」

「助かったわん」

「とにかく紐を!そうすれば自分も!」

「・・・・・・ん~。やかましいな。・・・・・・なんで縛られてるんだ?」

 藤見さんも今頃になって掴まっていることに気付く。しかし、待ち構えていた空き巣が襲い掛かる。

「相手は女だ!さっさと捕まえろ!」

 警棒を持った空き巣が飛び掛かる。喜海嶋さんは床を蹴り一気に空き巣との距離を詰めてその腹部に向かって渾身の一撃をお見舞いする。そのパンチは空き巣の腹にめり込みバキバキと嫌な音を立てる。そして、あたりにパンチの勢いの風が発生するほど強力で空き巣は白眼をむいて殴り飛ばされていっしょにいた空き巣もろとも飛ばされて気絶する。

「女だから何?」

 ば、化物だ・・・・・・。

 喜海嶋さんは気絶した空き巣からナイフを取り上げて俺たちの紐を斬る。

「藤見。これはあんた向きの仕事でしょ」

「いや~、今日は久々に飲んでから帰って来たかな~。気付いたら捕まってた」

 半分くらい笑いながら喜海嶋さんに言い訳を垂れ流す。

 だが、喜海嶋さんの一撃の音のせいで散らばっていた空き巣が集まって来た。そして、仲間も惨状を見て。

「よくも!仲間を!」

 襲い掛かって来た。

「やばい!」

「どうする!三根くん!」

 手にはナイフ。やばい。死ぬ。

 だが、空き巣がナイフを握る手に向かって竹刀が振り下ろされてナイフを空き巣は落とす。そこには鬼の形相で竹刀を構えた八坂さんがいた。

「あんた。そのポケットにあるのは何?」

 黒色の派手な下着である。

「それは私のだー!」

 八坂さんの竹刀が男の脳天を直撃してそのまま気絶する。

「テメーよくも!」

 次々と襲いかかってくるがそれを交わして武器を持つ手を竹刀で打ち付けて落とさせてから脳天を叩き斬る。だが、背後ががら空きになる。

「そこだー!」

 そこに間に入るように山下くんが入り武器の持つ手首を握りひねらせる。痛みに耐えかねなかった男は武器を落とす。

「刑事舐めるな!」

 そのまま背負い投げで空き巣のひとりを気絶させる。

「ありがとう」

「一応刑事だし」

 そのまま、八坂さんは竹刀を使って、山下くんは絞め技や投げ技で空き巣をバッタバッタと倒していく。

「おお、すごいすごい」

「さすが、最強の女剣士と一応刑事ね」

「一応刑事ってどういうこと!?」

 完全に傍観者のふたり。

「う、動くな!」

 すると空き巣のひとりが榎宮さんを人質に取った。

「しまった!」

「この女がどうなってもいいのか!」

 手にはナイフ。これでは八坂さんも山下くんも藤見さんも喜海嶋さんも動けない。

「危ないのはあんたよ」

 と喜海嶋さん。

「え?」

「殺すならやって見なさいよ」

「はい」

「あなたに私は殺せない。知ってるわよ。あなたが私のことが好きだったって」

 榎宮さんは空き巣の手をその手を自分の胸に当てる。やわやわと胸を触る。なんて羨ましい!

「でも、私は胸を触っただけで自分の目的を失うよう人は嫌い」

 榎宮さんはそのまま握っていた手からナイフを奪い取り、空き巣に向けると空き巣は現実に戻ったように恐怖の形相に変わる。榎宮さんが突き付けたナイフは空き巣の眼球に向けられる。

「歪んだ恋をやってみる?私のためならその眼球を私に捧げてくれない?いいのよ?遠慮なんてしない。頂戴」

 泥棒は後退してつまずいて転ぶ。そこに榎宮さんが馬乗りする語りでどんどん迫る。

「さぁ、さぁ、さぁ!」

「榎宮さん!そこまで!」

「ダメだよ!これ以上!榎宮さんは壊れちゃダメ!」

 俺とひよこくんが止めて何とか止まる。そのころには空き巣は泡を吹いて気絶していた。

「な、なんだ!この家は!」

 何人かの空き巣が逃げ出す。

「ちょっと待てよ。まだ、俺は見せ場なしなんだよ」

 逃げる空き巣をぼっこぼっこと倒していく。酔いから覚めた藤見さんはやっぱり強かった。ナイフを持っていても何の恐怖もなく倒していく。

「逃げろー!」

 喧嘩から逃げるのを断念した空き巣の何人かは庭から外に逃亡して外に停めてあったワゴンに乗り込む。

「早くしろ!」

「急がなくてもいいじゃない」

「え?」

 すでに喜海嶋さんが車に乗っていた。

「ぎゃー!」



「何があった?」

 通報したら山下くんの職場の先輩である桧山という人がやって来た。

「何って捕まえたんですよ。空き巣を」

 全員が全員ぼろぼろだった。

「もう、2度と空き巣なんてやらない」

 それが空き巣が最後に言った言葉だった。

 まぁ、これがシェアハウスに起きたどうでもいい小さな事件だ。毎日がお祭りのよう騒がして楽しい。そして、みんなどこか普通じゃない。それが今のシェアハウスに住む家族なのだ。

 以上がとある日に起きたシェアハウスのパーティーでした。

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