告白
愛されることが幸せなのか
愛することが幸せなのか
そんな事を考えるようになっていた
「おはようっ!」
優子だ
『気まずい』
妹との件は知っているんだろうか?
聞きたくても 聞けない
それに 何故 彼女は あそこまで言い切れたのか?
真実を知りたい気持ちと
聞くのが怖い気持ち
どっちも選べないから 優柔不断なのだ
「どうかした?」
優子が心配そうに 顔を見つめる
なんか変だ
今まで 何にも気にしなかった優子のそんな仕草が
妙に ドキドキ する
「ねえ いつでも良いから時間とれない?」
優子が不意を突く
「前から 言ってるでしょ」
怒られているような気分だ
まるで 妹とデートしたことを責められているような
知るはずもない と信じたいだけなのだが
「あ ああ いいよ いつ?」
少し声が震えていた
「う~ん じゃあ 今週末!」
「わかった」
俺は優子を意識している
何故だろう?
あんなに ウザい と思っていたのに
妹の 『蒼』
彼女の存在からなんだろうか?
週末 俺は優子と会った
優子は真っ白なコートを着て どこからみても上品なお嬢様
俺は汚いジーンズに革ジャン
どう見ても お嬢様につきまとうチンピラだ
「ねえ 妹と会った?」
いきなり ノーガードの顔面にストレートパンチがヒットした
「あ いや 知らなくて・・・」
しどろもどろ
「違うの 責めているんじゃなくて」
「なんて言うか」
今度は優子が しどろもどろだ
沈黙
「あの子 本当の妹じゃないの!」
「え!?」
「父が 他の女の人に生ませたっていうか」
「腹違い っていうの?」
「だから なにを考えているかわからない所があって」
俺は 理解する 思考回路がストップしていた
「だから何よ」
おねえ言葉になってるし・・・
「要するに 気をつけてほしいの あの子には!」
そう言うと 優子は顔を伏せた
「なんで そんな事 お前が心配すんだよ」
優子は俯きながら か細い声で言った
「わかっているくせに!」
「いじわる」
俺は事態が把握出来ずにいた
わかったのは 優子とその腹違いの妹に好意を持たれている
それだけだった
でも 腹違い って
じゃあ 彼女の本当のお母さんは?
家に帰ると 妹の碧が出迎えてくれた
「お兄ちゃん 最近 モテモテじゃ~ん」
こいつも どこかの男に恋して ずっと好きです
とか言っているのだろうか?
あ!
彼女もうちの妹と同じ名前だな 字は違うけど
単なる偶然にしては 良くできている
「なに?人の顔じーっと見つめて」
「私のこと 好きなんでしょ」
碧は無邪気に 笑いながら そう言った
「ああ 妹だもん 何より大切さ」
「マジでかえさないでよ~ 照れる~」
そうさ
他人より身内が大切に決まってる
どんな愛した人より
この時の俺は そう信じていた