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彼方からのメール

何の変哲もない朝



そう 世界という時間の中では



何の変哲もない瞬間の羅列



その一瞬





「佑樹!」

「佑樹!」

「いい加減に 起きなさい!」




母はキレ気味に下の部屋から叫ぶ



「起きたよっ!もう!」




『白井 佑樹』


高校三年生


特技や趣味はこれといってない


最近はやりの ヒッキーだ




女子からは全く相手にされていない


決して外見に問題があるからではないと勝手に思っている


俺は女子には興味がない


だからクラスの女子と積極的には話をしない


そんな理由からだろう



「早くご飯食べないと また遅刻よ!」



母は機嫌が悪い



「はいはい」



階段を下りて 食卓に向かう



「おはようっ! お兄ちゃん!」



妹の碧が嬉しそうに迎えてくれる



碧は高校一年生



俺と違って 頭が良く 進学校に通っている



趣味もバスケと俺とは正反対の健全少女だ



俺たち兄妹はまるで『恋人』のように仲が良い



こんな俺なのに慕ってくれる



大事な妹だ




早々に朝食を済ませ


制服に着替えて家を出る



学校まではチャリ通だ


20分ほど 空を眺めながら学校へと急ぐ


案の定 校門では教育指導の担任が待ち構えている



「し・ら・い ~ !!!」

「いい加減にしろよ!」



これもいつもの風景だ



滑り込むようにクラスへと入る


もちろん 後ろのドアからそっとだ



「はい!白井君!遅刻ね!」



担任の後藤先生が間髪入れず 大声で叫ぶ


それに反応してクラス中が爆笑する



「佑樹!シャツのボタンが!」


隣の席の優子がそっと声をかけてきた


よく見ると シャツのボタンが段違いだ



「ああ・・・ まあいいんじゃあね?」


優子はあきれ顔で俺の顔を眺めている



「今日はまずは、マリリン・マンソンあたりから~♪」


すぐさまiPodを取り出し ヘッドフォンをつける




日常は光の速度を超える錯覚さえ覚えるような速さで過ぎてゆく





5時限目も終わり ヘッドフォンをしたまま帰宅しようとした時


隣の席の優子が話しかけてきた


『臼井優子』


可愛いのだが どこかつかみ所がない ふわふわした感じの女子


自分で言うのもなんだが 彼女は俺に気がある


と これまた勝手に思い込んでいる


にしても 名字が似ているせいでかなり迷惑しているのだ



彼女は『うすい』


俺は『しらい』




「○○○○○ても良い?」



「はぁ?」


ヘッドフォンを外すと 優子を見つめた



「もうっ だから~ ちょっと話せる?」



「あ~・・・何?」


ぶっきらぼうに答える




「ここじゃあ・・・」



「じゃあ 何処よ?ベッドの上ってか?」



「佑樹ってサイテイの変態!」



そう叫ぶと、優子は教室から出て行ってしまった。



「う~む・・・ ま いっか・・・」



さすがに気にはなったが 


女子の心理に深く関わる気など持ち合わせていない



家に帰ると 早々に自分の部屋へ直行




妹の碧は まだ帰ってはいない


バスケの練習に夢中なのだろう



「ったり~」



何をしたわけでもないが これが俺の口癖らしい



ベッドに横たわりながら 携帯ゲームで時間を消化する



と いきなりメール着信のバイブが手に響く




『aoi413@・・・・』




「ん?」



「だれ?」




登録されているクラスの仲間ではないようだ




『私、貴方のことが好きです』


『一度、会ってもらえませんか?』





「ほうほう! 俺ってやっぱモテるじゃ~ん」





この時の俺はお気楽だった




しかし 彼女との接触から



俺の時間は大きく揺れ動くことになった

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